穏やかな悪夢
畳敷きの小さな私だけの空間、あるのは本棚とちゃぶ台、外は夕暮れ、どの窓から見てもオレンジ色。
血漿のような色の西陽、電灯のない部屋で、私はぼんやりと本を眺め、決して行くことはない光溢れる国々の写真を眺め、今日の晩御飯は何を作ろうかと思ったり、ここにはないピアノのことを思ったり、言うなれば部屋と同化した私がとりとめのない部屋のなかでとりとめなく物思いに耽っていて…。
手元にはオレンジ色の表紙の分厚い本。
エンドレスでいれては飲み続ける紅茶もオレンジ色。
夕暮れは続く。永遠に終わらない黄昏時。