今の答えはYESのみです。
中心部の広場近く、長い長い直進道では。
「消滅魔法…能力消滅!」
目視されていない少年は、自分を探すことで精一杯の男の背中に直接、白く眩い光で生成された矢を突き刺した。
「ぐっ……!!
……な、なんだよこれ!!」
多少の痛みに嗚咽を漏らし、背中に突き刺さった矢を引き抜いた。
男は今絶望している、一番弱いとさえ思った少年が自分自身を追い詰めていることに。
「正直言っていい?
覇滅龍ってこんなもん?」
男が言葉に怒りを覚え、大振りの一撃を何も無いところに放ったが刹那。
その綻びを彼は逃すわけがない。
すぐさま、懐に潜り込むと威力強化で強化した拳を五連続で腹部に叩き込む。
「ぐあっ……!!
な、なんだってんだよ!!!」
男は直立で立ち、何かの詠唱をしようと、その「何か」が魔王武器発動の詠唱だと分かるのにそう長くはかからなかった。
ので、エゼルは悉くを凌駕して、詠唱の邪魔を続ける。
「ぐあっ……くっ、ダメだ、、!
ヤツの姿が見えず……速度も速いし、パンチも段違いに重たい!!クソ強いじゃねえか…!」
口から血を流しながら、真っ赤に腫れた顔を歪め、男は前のめりに倒れた。
絶対的な力の差を見せつけられたと言わんばかりに。
「はぁ……酷いなあ。
目視してもらえないなんてさ」
エゼルは帰ってくるであろう仲間の帰りを待とうと、その場に腰を下ろした。
ーーその時だった。
赤く白く黒い閃光が彼自身に抵抗など何もさせずにその場から消滅させたのは。
***
シルバーを含め、エゼルを除いた全員が中心部に着いた頃。
彼らは疑問を隠せなかった。
「……何故、エゼルと戦ってたやつは転がってるのに、本人が居ないのよ?」
「分からねえが、別の敵と遭遇。
なんてことも考えられねーわけじゃない!」
手分けして探そう!
そう言って彼らが足を踏み出そうとしたが直後。
「王の邪魔はさせないよ」
次元の歪みから現れたのは、ピエロのような容姿で顔を仮面で隠している男だった。
「俺は、黒闇の幹部、ティア・ロスティハーレさ。
王の邪魔はさせない。俺らの救いをね」
ティアが右手を大きく掲げ、指をパチンッと鳴らすと、またも次元に歪みが生じたように複数の黒いローブに身を包んみ、白い仮面で顔を隠す男達が現れた。
彼らはシルバー達を取り囲み、仮面の奥底に眠る赤い瞳で凝視する。
「なんのことだが、分からねえが!!
これは戦うしかなさそうだな…!」
全員、視野を利用して最大限にまで集中力を高めると、臨戦態勢に身構えを。
***
暗く真っ暗な場所、むせ返るような埃の匂いは口元と鼻を刺激する。
中心部で腰をかけて居たはずの僕は、何故だろうか、まるでキリストのように十字架に腕と足を括り付けられてこんな場所いた。
辺りを見回しても誰も居ない。
気配を感じろうと、視力強化を発動しようとするも、魔法が使えない。
為すすべもなく、ぐったりと顔を下に向けるとーー
「……黒の王。お帰りなさいませ」
パッ。と白く眩い光がいきなり視界に飛び込んできて、目の前が歪む。
今聞こえた声はなんだろうか?
「……く、黒の王?」
「…やはりそうでしたか。
貴方は私のことすらも知らないのですね?」
黒い仮面をつけた男は不敵にも仮面の奥底で嗤った。
「では、順を追って説明したいので、
私の質問に今から答えてください」
「お前みたいなヤツの言うことを聞く理由なんて僕にはなっ……ぐあっ!!」
否定的な言葉を述べると、男の拳は無防備なエゼルの腹部を強く抉った。
「ダメですよ。今の答えはYESのみです」
今のだけで肋骨は何本か逝ったか。
僕は考えるのをやめて、素直に質問に答えることにした。
この質問が僕を狂わせることになるとは、
予想も出来ずに。
***
「倒しても倒してもキリがないぞこいつら!
人形にしては強すぎるくらいなのに、数が多すぎる!!」
「ふふふ。
君らは弱いね、なぜ王と行動を共に出来るのか…。
王は、強き者と一緒に居なければ意味はない。」
「さっきから言ってる王ってなんだよ!
こっちは仲間がどっか逝っちまって大変だってのによ!」
シルバーはなんとなく察しがついていた。
この状況下で自分らに足りないのはエゼル、そしてこの仮面の男の物言い。
王はエゼル?
黒闇の王が?
それはない。
ありえない。
黒闇の王は、黒の王は、
この俺が…グレースと一緒に殺したはずだ!
遅くなりすいません。
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