僕がエトの本気を出させるって約束したんです!
ーーーー
「な、なに!?
あの、空は!!!!」
ルナールを倒したエゼルだったが、彼を倒した瞬間からの空の動きの変化に戸惑っていた。
「あらら、ヤっちゃいましたね。
此れは此れは此れは此れは……ルナール氏の姿が黒闇に染まる姿を拝見出来ますねェ〜 ♪
あれを止める人なんて誰も出来ないでしょう」
影から見守るは、黒闇の幹部。
ティア・ロスティハーレ。
涅槃は今回も黒闇の侵入を簡単に許してしまったようだ。
「あはははははははは。
ひひひひひひひひひひひ、、、!!
もっと寄越せ!!お前らのその辛い顔を!!
悲しみに満ち溢れ、恐怖に支配される顔を!!
空を曇らせれば、俺は強くなれる。
死んじまった使えない龍も俺の力になる。
闇ってのは死こそ純粋に認められる姿だ。
エゼル・シスタ。
殺してやるよ、俺様の全てを使って!!」
倒れたはずのルナールは当たり前のように起き上がり、上半身の服を破り捨てれば奇怪にも可笑しく笑い始める。
彼の笑いに恐怖、悲しみ、辛さ、負の感情を呈せば呈すほど、空の輝きは失われ続け、彼の力はそれに合わせて高まり続けるだろう。
それに伴って、ルナールは目の前に佇む、鎧を身に纏った青年に視線を向けた。
「お前がいなければ、俺様がエト・アルカディナを簡単にぶっ殺してやれたのによ!!
邪魔なんだよ!!
お前なんて本当に消滅して仕舞えばいい!!」
大声で響いた声。
彼は自覚する。
「前なら今の一言で倒れてたと思うけど、
今は寧ろ違うんだ。
なんか、清々しい気持ちになれるんだよ。
だって……君は僕を忘れないでくれた。
そんな姿になってまで!!
だから、僕は君を闇から解放しなきゃ!」
先程と同じ速度、初速も何もかも目では追うことさえ出来ない速度の攻撃を。
ナイフを彼に手向けるように向けて、移動をしよう。
「悪いなぁぁぁあああ!!
お前、全然見えるんだわ!
ここだろおおおお!?!?」
エゼルは彼の懐に完璧なまでに侵入し、ナイフを突き刺したと思ったかに否。
彼は見切られていたのか、普通に避けられて腹部がルナールへ無防備になってしまった。
早く、次の行動に移ろうと体制を整えようとした時には既に遅し。
彼の腹部はルナールの膝が押し込まれ、強く上へ吹っ飛ばされた。
「お前の攻撃なんか、普通に見えんだよ。
闇から解放なんかしてくれなくていいっつーの、死ね!!」
上空に上がったエゼルを容赦無く、背後に回り込み、地面へ蹴り落とす。
凄まじい威力に会場のヒビから、破壊に繋がって地面が亀裂に割れてしまった。
「フッ、口ほどにもないな。
こんなもんか?」
砂煙から飛び出してきたエゼルを最も簡単に避け、お次は回し蹴りを。
遠く吹っ飛ばされる彼との間合いを一気に詰めると、仰向けで無防備な体勢になっているのをいいことに、強くスタンプをお見舞いする。
「ぐはっ……!!」
「弱いなお前。
序でにちょこまかと動かれたら面倒だから、足の一本や二本、折っとくか?」
ーーそれだけはやめろ。
彼の言葉も口には出ず、ルナールが青年の右足を手に握った瞬間。
「そこまでだ!!
黒闇、涅槃総本部長。
ルナール・ディネーチェ!!」
「お前ら、手を出すなよ?
これは、俺らで十分だ。」
目の前に立ちはだかるは、
守十刻総司令官、グリース・アネッシャーと涅槃総司令官、司令官でお馴染みのシルバー・ラフコフ。
「へぇ?
おじさん達、俺様にビビってたヤツだよなぁ?
俺様と戦える程、強いのかぁ?」
舐め腐った態度に二人は。
「聞いたか……?」
「嗚呼。
ぶっ殺し確定コースだな」
「だな!!!」
彼らが言い放った瞬間、
時空の歪みが発生したかのように彼らの姿は歪みの中へ消え。
「はぁ……?」
ーー突如として、挟み撃ちにするように右にはグリース、左にはシルバー、と、それぞれの力をルナールの顔面へと解き放った。
力の威力は想像を絶するモノ。
黒闇を引き出した影響で身体能力も洞察力も反射神経さえも研ぎ澄まされ、彼の精神で全力にもなるレベルにまで上がっているルナールですら、"反応できないレベル"
挟み撃ちにしたとは言えど、両方の力が互角であればそのまま攻撃が続くわけではあるが、僅かにシルバーの力の方が上回っていたようで、ルナールは右のほうへ大きく吹っ飛ばされ、防壁を簡単に突き抜けて観客席にめり込んだ。
「こんだけぶっ飛ばしておけば、良いだろ!
オイ、ディズィ!!
いるんだろ?力を貸せ、エゼルに手当てを!」
「しゃーないなー!
涅槃総司令官様のお願いとあらば、聞くしかねーよなー。
え?聞かなきゃ死刑?
ちょっ、分かりましたからぁぁぁ!!!」
会場内に響く声に、嫌々と出てきた紫の髪の女性はエゼルを瞬足で連れ去ると、場外へと去っていった。
「ディズィも変わってないな。
俺は会場に来た時から気づいてたけどな」
グリースの言葉にムッとしたシルバーは。
「まあ、俺は会場に来る前から分かってたけどな」
「どうやってだよ!?
まーた、そうやって要らないところで意地張りやがって!!」
吹っ飛ばされたルナールはと言うもの、彼らの漫才に付き合っている時間は残りにも残されていなかったのだろうか。
叫び声を上げながら、シルバーに襲いかかった。
「見えてないとでも思ったのか?
俺とお前じゃ年季がちげえよ。」
飛んで来た彼の顔面へ、隙もなく拳をーー
「さっさと倒れて、後で出てきな。
楽しそうな風景は、簡単に、目に飛び込んでくるだろうぜ?」
ーー当てて、再び、吹っ飛ばした。
今度の今度こそに倒れ、白目を剥き出して彼は目を瞑った。
圧倒的力の差に屈服して、憎っくき涅槃の力を最後まで酷使して。
「さっさと連れて行け。
こいつが目覚めて最初に目に見える光景は、独房の中での生活だけだな」
黒く曇っていた涅槃の空はあっという間に快晴になっていた。
影で見守っていたティア・ロスティハーレはつまらなそうに苦難の表情を浮かべては、闇の中への消えていった。
「ルナールも不運だな。
黒闇の力を見せようとすれば、涅槃屈指の二人の司令官が出来てしまっちゃえばよ。
シルバーさんとうちのグリースさんは、昔同じ隊で活動していた仲間らしくてよ。
やっぱり、息ピッタリだったな!!」
「ほんとな!!
ちょっと、かっこよすぎてやばかった!」
二人の前で仕事をサボって熱烈的に話をしている二人をまた、不運。
この後滅茶滅茶、怒られたという。
涅槃は小さな傷を負った。
黒闇の侵入を三度も侵したと言う事実。
そして、その内部にはエゼル・シスタがいたという事実まで。
この問題はまた議論されるになるだろう。
ーー療護室にて。
「あ、明日の試合に出ないとダメなんです!
誰だか知らないですけど、そこを退いてくれないなら僕は貴方を倒すしかない!!」
「ちょっ!?
待ってよ、俺っちも君を療護してないといけない立場なんだけど!!
お願いだからじっとしてて!
明日の試合、出なくてはいけない理由は何?!」
療護を任された彼女は近くにある自分の家の療護室にエゼルを運んだが、意識を取り戻した彼と激しい口論になっている真っ只中だ。
「……約束したんです!
僕がエトの本気を引き出すと!!」
この時、彼女は彼の勇姿に自分の昔の姿を重ねてしまった。
言葉も、全く同じような。
「……そうかい。
なら、一度だけ任せてくれたらその明日の試合とやらに出場出来るよ。
まだ、黒闇の襲撃で涅槃は混乱してる。
会場の修復は一時間もすれば終わると思うけど、次の試合の準々決勝二回戦はいつやるかどうか分からないからね。
明日の朝までに君に全力を引き出せるような身体をお届けするよ!!」
彼女はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「……分かりました。
お願いします、その前にお名前をお聞かせ願えますか?」
「私は……ディズィ・ヒールだよ。
涅槃総本部、救護司令長をしている者さ」
ーー其の頃。
シルバーとグリースは、一通り、兵士への説教を終えて、二人で会話を交えていた。
「衰えたな。
お前の方が僅かに力が上回ってるなんてよ。
俺は全力を出したのに…!」
「人はやがて衰えるもんさ。
そうやって衰えてく内に、新しい新芽が開花を始めて、枯れ果てた俺らみたいな老人は守られる側になっていくんだよ。
これからもずっと、人は助け合って生きていくのが当たり前だ。」
シルバーは哀しげな目で空へ言った。
「そうかもな。
でも、俺らはまだ終わらねえよ。
まだまだ現役続くぜ?
シルバー、ドルトン司令長のこといま頭に浮かんだか?」
「チッ、人の頭の中覗くなんて気持ち悪いぞテメェ!
まあな。護られる側は終いだ。
俺らはまだ護ってやらねえといけない新芽があるんだよ。」
彼らは黄昏ながら、昔のことを語り、思い出していた。
自分たちがしてきたことを次の代に告げる。
大切なことを交えながら。
また、この絆も硬く。
そう簡単には傷一つつかないだろう。
これは明日までに間に合わないやーつー。
明日にかけて、まとめて書いていくコースに変更します…。
がゆっくりお待ちください!!




