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蝿を生け捕るのにやり過ぎたかな?

ーーー

翌日。

昨日の雷鳴と空の曇りは反転せず、当たり前のように空中から魔人類を見下ろしている。


魔闘演戯本線準々決勝第一戦目は、

エゼル・シスタ VS ルナール・ディネーチェ


「さあ!やって参りました!!

今日は準々決勝第一戦目から、白熱した闘いが予想される顔触れですね!!


では、登場していただきましょう!」



二日目ということもあってか、カルラの挨拶も初日と比べて少ないように見えた。

そして、何処か悲しげな様子も。


「((黒闇の襲撃、なんて本当に来るのかな…。

でも、知ってるのはエト隊の私達だけで上の守十刻(ジャッジメント)の人達も知らない案件なのに))」


彼女の胸に残るのは、昨日のニアとエトの試合の前の時間での出来事だった。


ーー試合前。

試合会場の控え室行きの裏道には、エト隊が全員召集をかけられて集合していた。



「なんだよ、ニア。

あと数十分もしたらお前と全力で戦える時間で集中したいんだよ。


手短に頼むぞ」


エトの楽しみそうな笑顔は、ニアの心を苦しめる。今回に至っては。



「そのことなんだけどさ…。

エトは俺に不戦勝で勝つか、魔王武器を使わないで勝つことを約束してよ。


因みにこれは八百長とかじゃなくて、大切なことな……」


言葉を遮られるようにエトの拳はニアにめり込み、彼をよろめかせる。



「はあ?!

お前、何考えてんだよ!!


やっとお前と戦える日がこうして実現したのに、お前が戦う気無いなら意味ねえだろ!」


「ちょ、ちょっと!!

試合前に何やってんの!!」


カルラが止めにかかるが、何の遮りにもならず、ニアはエトへ強烈な拳を放った。



「俺だって楽しみにしてたんだよ!!


俺の憧れの存在で、頼れる隊長さんと戦えるなんて光栄だとさ。


けど、今回に至っては……」



ニアの苦しそうな声と表情に、見ていて辛くなったシャスは、優しそうに声をかける。



「何があったの……?」


ニアは窮地に追い込まれ、死にそうな表情で一言、驚愕の根を上げる言葉を紡いだ。



「ルナールは、黒闇の幹部層なんだよ。

だから、明日のエゼルとの戦いん時、何か嫌な予感がするんだ…!


だから、エトは温存しておいて欲しい!」


やっぱり、黒闇関係か。

辛そうなニアを差し置いて、エトは背を向けてニアに言い放つ。


「俺はそこまでヤワじゃねえよ。

全部背負って生きてやる、俺の強さはお前らを守ることにある。


これ以上、仲間を死なせはしない!」


それだけ言って、彼は反対側の通路へと向かって行った。


ーーー



「ごめん、キルス君。

今日は私の番だけれど、丸投げしてもいい?


考えたいことがあるの!」


今の状態を理解している自分だからこそ、出して正解だと思った結論。


「イイっすよ!

俺もこの試合だけは見逃せないんで!


エゼ、負けんなよ。

負けたらリグの借り、返せねェ!」



「うん、ありがとね」



彼は何かを悟ったように快く承諾すると、マイクを片手に大声で叫んだ。



「白い蒸気に包まれて神々しく彼らはこの会場に降り立とう!!


お前らァ!この激闘に白熱しすぎて、途中で死ぬんじゃねえぞ!!

最後まで見逃すなぁぁあああ!!」


二人は同時に会場へと降り立った。



エゼルとルナール、彼らの予測されている激闘に会場のボルテージは既にマックスを超えてしまっている。



「君も、あの吸血鬼君みたいに花が咲くように死んでいけばイイよ。


大丈夫、心配しなくても俺が飾り付けて上げるからさ」


「僕は、明日が見たい。

ので、君を全力で倒すよ」


「おー、こわ」


彼の歪んだ表情に怒りを感じたルナールは一歩退いて、観客席の方へ視線を移した。



「それでは!!試合を始めます!!


3...2....1....レディ、ゴーー!」


開幕速攻。


「身体能力強化魔法-奥伝-天裁滅裂(てんさいめつれつ)!!」



黄色く眩い光を纏ったエゼルは、天裁滅裂の速度で彼の周辺を飛び回り、蹂躙しよう。



「へえ、これが噂に聞く捉えきれない速度かあ。


早すぎて確かに見えな……!!」


余裕綽々とした態度を取っている彼にエゼルは渾身の一撃をお見舞いした。

速度は重さ。

鋭い蹴りがルナールの顔面に蹴り込まれると、衝撃で後ろの方へ後退し、早くも吐血が確認された。



「お前の召喚はこの速度で攻め続ければ、僕に当たることはない!」



「痛ったいな〜。

いや、それはどうかな?」


彼は地面へ手を伏せて不敵な笑みを見せる。

すると、地面からは大量の泥に塗れた人形が現れた。


瞬間、泥人形は全て破壊された。



「ありゃりゃ。

泥人形では抑えられないかあ。


早すぎるからやっぱり面倒だし、お披露目にもなるからアレを使ってみるかな」



彼は手を合わせ、精神統一に身を任せる。

エゼルが飛んでいる軌道、攻撃が来るタイミング、全てを無視して極大な魔法を行使しよう。



「極大魔法-光明の惨劇(ライトニング・カタストロフィー)!」


それは、禁じ手。

昨年の魔闘演戯でエトが面倒臭くなって有罪へ使った広範囲の殺傷能力を秘めた極大な魔法。

強大な魔力を消費し、全開放で破壊を酷使するため、その威力はもはや異常。


会場の防壁がある上限までの頭上からは、眩いばかりの黄色い光が差し込む。



「……!?

や、ヤバイ!!自分を巻き込んでって正気の沙汰じゃない!」


瞬間。

眩い差し込んでいる黄色い光は、全て太い高出力のレーザーへ変わり、光速を超えた速度で動き回るエゼルを簡単にも捉えて地面へ突き落とした。


光による高熱と破壊力は彼を一気に窮地にまで追い込み、地面へ仰向けに倒れてしまった。


崩れ去った会場の地面は、まっさらとした混凝土からゴツゴツとした地面に変わっている。

エゼルの頭上からは砂利を踏みながら、確実に一歩、一歩と近づいているルナールの足音が聞こえ、寸前で止まった。



「蝿を生け捕るのに少々やり過ぎたかな?」


「………な、なにを」


ルナールは自分さえも巻き込んで魔法を放ったが、無傷だった。

それもそのはず、高出力のレーザーが放たれる瞬間、会場に貼られている防壁よりも強度の高い防壁を自分に展開させて、身を守っていた。


「やっぱり、防壁はこのちゃっちいよりも上に設定しとかないと危ないね」



彼はヒビの入った防壁に視線を移した。

ルナールの放った極大魔法で、会場の防壁は所々が軋み始めていた。



「エゼル君、君はどんな風に死にたい?


このまま地面と一体化するように踏み潰して殺してあげようか?


ほら、ほら、答えろよ!」


ルナールは地面に倒れこんでいるエゼルの顔面をグリグリと踏み躙る。



「ぼ、僕は……負けない!!」


最後の力を振り絞って出した言葉を遮るようにつまらそうな表情でルナールは赤い槍を宙に生成した。



「そっか、なら死ね」


そのまま、槍をエゼルの腹部へ放つ。


絶体絶命。


そう思われた瞬間に、彼は目覚める。


人間は窮地に追い込まれた時こそ、最強で最悪の力を蹂躙させよう。


明日からの二日間は、投稿は恐らく遅くなると思います。

もし、投稿が出来ないようであれば、二日分の更新を次の日に行いますのでよらしくお願いします!


また「世界まるごと異世界転移!?」

も同様です。

ご理解の元、応援等よろしくお願いします。

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