僕には立ち向かうことしか出来ない!
「ねえ、ロスト。
僕とエトの装甲型魔王武器って何が違うの?」
本線1日目を終えたエゼルは、家に帰って身支度をし終わると、ソファの上に腰掛けて自分の中に眠る神に問いをかけた。
「アレは魔王武器の源、つまり、我々魔王の中で歴史的に名を残し、世界的に英雄と語り継がれる最強種の魔王武器、伝説の魔武器の保持者だ。
彼の素晴らしい部分はどっかの誰かさんみたいに簡単に使おうとしないところだ。」
「むっ!」
エゼルの反応を無視して、彼は続ける。
「因みにあの形態を使えば使うほど、身体への負担は半端なものではなくなるからな。
彼方さんの魔王も俺と同じようなこと考えてんじゃない?」
「成る程。
僕の場合は、君との絆の証として授かった力だから本来であればあり得ない代物なのは知ってる。
だから、エトの物とは強さは違うの?」
ロストはニヤリと口を歪めて、声を紡ぐ。
「俺のような無銘神にも、全能神さんはきっと力を授けないとつまらないと思ったのかもな。
そのお陰で俺とお前は一心一体、気配も何も自分の存在をも消し切る魔王武器に、装甲型が付いて、もう1つ秘密があるんだが、まだお前には話すべきではないな…」
思い出したように彼は言葉に出すと、セーフティが如く口を閉じた。
まだ言えない情報らしい。
それはきっと、僕が南京錠を破壊すれば万事解決になるのは間違いないだろう。
すると、膝ポケットの中に入れていた端末が振動し始めた。電話だ。
タッチ画面をスライドして、端末を耳に押し当てると彼は電話に出た。
「嗚呼、エゼル。
リグルスの容態だが、心配しなくても大丈夫だ。
吸血鬼で不老不死だから死ぬという概念さえ持ち合わせてないが、運ばれてきた時は身体中穴だらけで出血を塞ぐのが容易ではなかったっていう話だ。
お前の次の相手、ルナールだな。
一番、戦うことを予期したくなかった相手を倒さないといけなくなっちまった。
でも、お前なら大丈夫な気がするんだ。
不穏なルナールさえも簡単凌ぐような、そんは雰囲気を今日は感じさせてもらったよ。
また明日な、おやすみ」
電話の相手は司令官だった。
何か急いでもいるような永遠に続くかと思えた連続会話に、合間合間で「はい」の返事も言うことを出来なく、
現実で頷くことしか出来なかった。
「そっか。
次の相手はルナールだね。
公式戦で戦うのは初で、僕が戦ったことのあるルナールは今は居ない。
どんな魔王武器を使ってくるのかさえも定かじゃないし、恐怖の対象ではあるけれど立ち向かうしか、僕は出来ない!
明日の本線準々決勝、勝ち抜いてエトとの約束を果たすんだ!!」
部屋の中で一人、彼は決意を固めた。
ーールナール邸。
巨大な白と黒の要塞は、白を盾、黒を剣とする表現で、要塞に伸びる塔を黒い剣に、巨大な門を盾として具現して作られている。
そんな場所に遠くからの刺客が二人。
ルナールを入れて三人が客間で何やら話をしている。
その二人の格好は、黒いスーツ姿と露出の多い女王様が着るような黒い服で、男一人女一人のペアだ。
「ルナール、本来のキミが目を覚ますことになるなんて思いもよらなかったよ。
明日は消滅少年だね。
彼、邪魔だから黒闇的にも殺しちゃっていいって通達きてるよ」
「殺しちゃったら悲しむわね〜。
ウエーンウエーンって泣きながら全力で悲しむわ〜〜」
彼女の態とらしい嘘に付き合うこともなく、ルナールと男性は続ける。
「黒闇的にも俺的にも、あの少年はマジでヤバイし、正直言って邪魔な存在でしかないな。
だけれど、なんだろうこの感覚は。
彼奴を倒すには俺の目の魔に大きな壁が現れるような気がしてならない」
「ルナールの前に?
でもキミだったら、壁があっても超えるか、破壊していくかのどちらかに限るよね。
そのまま、留まるだけって言葉を知らない」
ルナールは拳を握りしめて、強めの言葉を使う。
彼にとって明日は負けられない本戦、だったが、あんなに必死だったのにも関わらず、今は相手を壊すことしか考えていない。
変貌具合に若干恐怖さえも感じ得るが、一緒にいる男性は、たわいもない冗談で盛り上がるほど、気を許しているようだ。
「じゃあ、明日の準々決勝で明かされるね。
黒闇、涅槃総本部長
ルナール・ディネーチェ殿」
彼はニヤリと口を歪めて不敵な笑みを浮かべた。
その笑みに意味があったのかは分からないが、何か良くないことを予期しているかのように。
先ほどまで綺麗な夜空を描いてきた空は、雲で覆われて、所々、雷が鳴りら始めた。
これから起こる波乱を。
黒闇の襲撃まであと○時間。
半分寝ながらの投稿ですが、明日からまた戦闘描写を書いていきます!
新魔王武器等も登場する予定なので、是非!
お楽しみに!!
今回は戦闘シーンではなく、会話シーンのみですが重要な場所なので書かせていただきました。
皆様の1日の楽しみになれますように。
ezelu




