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合同合宿任務開始!!

ーーーー


今日からエゼルの夢への第一歩である魔闘演戯までの合同合宿任務が遂行される。

エゼル隊と合同で任務を行うのは、涅槃最強の召喚士にして誰もが恐れる最悪の男。

ルナール・ディネーチェの隊、涅槃随一のエリート集団であるルナール隊だ。


ーー合同合宿任務遂行、十五分前。

鬼の館付近にて。



「・・・ほう。貴様が黒闇の襲撃を二度も凌いだというエゼル・シスタか。俺はルナール・ディネーチェ。知ってはいると思うが、あまり俺を怒らせない方がいい・・・」


周りからはヒソヒソと笑い声が聞こえる。ルナール隊の隊員数はエゼル隊と同じ5名。

この5名という数字には大きな意味がある。隊に所属し、任務を行うということは当然危険は伴ってくるわけだが、そんな時にピンチを切り抜けられるのは仲間との協力。

つまり、チームワークが大切になってくる。


そのチームワークを発揮するに一番な人数が5名というわけだ。

もし、隊の一人が殉職して隊を離れてしまった場合にも、この5名という数字が揃わなければ活動を再開することはできない決まりになっている。



「はい。よろしくお願いします。」



エゼルは丁寧に頭を下げ口を開き終わると、後ろの方で心配そうな表情を浮かべながら待っている仲間の方へと去っていった。

彼がルナールに背中を見せた時、ルナールは何処か楽しげに口を曲げた。




「エゼ、友好的な態度は出来たか?」


「大丈夫だと思うよ…。そんなことより、リグ、キルスは?」


辺りを見回すも先程まで一緒に居たはずのキルスの姿はなく、太陽の閉ざされた薄暗い空間の中で嫌な予感だけが頭を過ぎった。


「大丈夫よ、童貞ならどうせトイレにでも行ってるんでしょ?」


「サディ、今回は相手が相手だから細心の注意を払って慎重に進まないと行けないんだよ…?」


いつもの調子で呆れた様子のサディを、少し怯え気味のエゼルは軽く注意した。

今回の相手はルナール・ディネーチェ。

任務内容は、涅槃内のパトロールが目的となっているが、実質この合同合宿任務が意味するものは、同じ涅槃の隊同士でいつでも連携が取れるように友好的になることだ。


ただ、その相手がいい噂を聞かないルナール隊ともなれば話は別だ。

エゼルはリグルスにチトとサディを任せて、身体能力強化魔法(ストレング・スニングス)で速度を強化し、辺りの捜索に入った。


ーーーー



「ほう。お前が涅槃の中で唯一、高位の重力魔法を扱うことの出来る魔王武器を持っている、キルス・エーヴェルバイトだな?」



「……はい。そうです。」



「もう一人のリグルス・ブラッドと一緒に来いと言ったはずだが?」



「エゼルはこの事を知っているんですか?」


ルナールが拠点としている鬼の館の麓にある小さな古民家では、動作禁止の鎖で身体を縛られたキルスがルナールを前に跪いている。キルスもキルスなりに仲間に迷惑はかけたくないと、リグルスに声はかけなかった。



「それはお前が知らなくてもいい事だよ。三下の雑魚には、リブロ。さっさとやれ」


「御意」



リブロという男がキルスに向けて掌をかざした直後、キルスの目の前は真っ暗になり、キルス自身の視界は自分自身を360°見回すことのできる不思議な視点に変わった。


『こ、これは…?!』


だが、現実のキルスの口元は動かなかった。確かに彼は声を発したはずだが、彼の声は自分自身に反映されない。



「お前はリグルス・ブラッドを俺様の目の前に連れてこい。それだけがお前に許された使命の一つだ。どんな手段を使っても構わない、いいな?」


「御意」



ルナールの命令を素直に受け入れる自分を見つめるキルスは驚愕の光景に驚いていた。

自分の姿はいつもと変わらないが、勝手に動き、勝手に声を発しているのである。


キルスはただただ、自立して動く自分自身を見つめているしかなかった。

このままでは、仲間たちが危ないと悟ったキルスは自分の中でどうか打開策を見つけようと必死にもがき、考えることに集中した。


ーーーーーーー



「あっ、キルス!!どこ行ってたんだよ!」


「ああ、リグルスか。ちょっと来てもらいたいんだけど良いか?」


案の定、リグルス達がエゼルの帰りを待っている場所はあまりにも近く、簡単に出くわしてしまった。

そんなことも知らないエゼルは、視覚も強化し辺りを全力で捜索している。



「良いぜ。サディ、エゼルに通信機でキルスが見つかったって報告しといてくれ!二人は絶対に離れんなよ?ちょっとこいつと話してくるわ!」


「おっけー!」



そこで、リグルスとサディは別れた。

一緒に居たチトは、何故か今のキルスに少しだけ違和感を覚えたが、自分の言葉に自信があるわけも、根拠も無いので自分の中の違和感を完全に流してしまった。



「あっ、繋がった!エゼルー!キルス帰ってきたよ。今ちょっと、リグルスと話があるって言って側に居ないけど!」


「分かった!じゃあ、すぐにそっちに帰るよ!」



エゼルもチトと同じく、何処か不自然な違和感を肌に感じていた。

何もなければと良いと心の中で囁きながら皆の居る方へと光速で向かった。





「ルナール様、任務通りリグルスを持っていけそうです。少々、手荒な真似をしてしまったのでそちらの方へ転送願えますか?」


「良いだろう。少し待て」



サディ達の居る場所へ方向転換をして全速力で向かっていた途中のエゼルは、動かなくなったリグルスを肩で担ぎ、耳に手を当てて誰かと話をしているキルスの姿を発見した。

最初は怪我をしてしまったリグルスのために、病院へ連絡でも入れているのかと思ったがどうやら違うようだ。


エゼルはキルスへ向かって直進し、理由を問いただそうと速度を上げた。



「キーーールーーースーーー!」



ーーシュッ。

小さな魔法陣がリグルスとキルスの真下に現れたかと思うと、彼らは姿を消してしまった。不審な動きに少しだけ焦りつつも、状況の説明だけでもということで、エゼルはサディの方へと向かっていった。





「ほう。二人とも、なかなか良い顔つきだな。準備は万全なようだ、よし。エゼル・シスタを殺せ!」


「「御意」」



ルナールの言われたままに動き出す二人、暗躍した涅槃の闇は、エゼル隊を蝕んでいこう。ルナールの思惑とは一体…。




「んで、気絶したリグルスを童貞が連れてったのね…。それは多分童貞がドジでクソだからルナール隊の隊員で涅槃一の操作系魔法を使うと言われているリブロって人に操られてるんじゃないかしら?今頃、リグルスも操られてる頃ね。」


サディは淡々と話を続ける。



「……二人を止めるにはどうしたら…?」



「二人の能力を解除する方法があれば良いけど……一番良いのはリブロって人を気絶させるってのかしらね。でも、二人は必ずエゼルを襲ってくるわよ?私も戦う時になったら戦うけど、チトはどうする?」


突然話を振られたチトはサディの目を見て、力強くーー


「私も行くよ!私だってエゼル隊だもん!」


ーー言ってのけた。



「なら、決まりね。多分、二人は直進でエゼルを狙ってくるだろうから、チトと私は少し離れた場所に隠れて援護するわよ!」


「うん!」



元気よく返事をしたチトを確認するとエゼルは安堵したように作戦通りこの場に一人で止まることの意思表明をすると、チトとサディに離れるよう告げた。



ーー数分後。



「やっと見つけた…ぜ」


「やっと見つけたぜ!」


目が赤くなり、険しい表情のリグルスとキルスが現れ、エゼルを見るなり、戦闘態勢の構えに入った。



「まあ……分かってたけどね!速度強化(スピード)威力強化(パワー)防御強化(ガード)!さあ!行くよ!」



速度の上がったエゼルの素早い蹴り技が最初に捉えたのはキルスの顔面。華麗にも空中で五回連続で蹴ることのできる技術はキルスを空中へ舞わせるだけの威力が十分にあったようで、彼は吹き飛ばされ、地面に転がった。



空かさず、リグルスがエゼルへ殴りかかるも火力重視の重い攻撃は速度が圧倒的に足りないため、軽くジャンプで後退し避け切ると、真っ直ぐ直進でリグルスの顎を蹴り上げてそのまま顔面へカカトを振り下ろした。



「エゼル君すごい……!」


「私達の出る幕なんて無かったわね…」


援護が必要ないことを悟った二人は、エゼルの方へ安堵した様子のまま走ってきた。

その時だ。妙な違和感を感じたのはーー


「よし、一人捕まえた!」


「リブロ様…私にご命令をくださいませ」


ーー白い制服を身に纏った黒い髪の眼鏡をかけた男はサディへ掌をかざし、何かの呪文を唱えたようだ。

すると、サディはリブロと呼ばれるその男の前に跪き、忠誠を誓った。



「チト!!僕の後ろに隠れて!」


「……サディさんまで…!」


エゼルはチトの前に出て、リブロからの標的を自分に絞らせた。

恐らく、掌から発された光を身体全体が見える位置で放ち、当たれば服従させることの出来る能力だろう。

エゼルの優れた動体視力は能力の発現を見逃すことなく、正体を突き止めるまでに至らせた。



「……ほう。瞬時に相手の能力を見極めることの出来る動体視力と仲間を守る心か。いい隊長だな。だが、今ここで俺がこいつに死ねと言えばこいつは死ぬんだぞ?その局面の中でお前は俺に従うしか無いようだが?」



それはそうだ。全くの正論であり、欲を言えばエゼル隊のチトと自分以外の命は全てリブロが握っているわけだ。

彼が死ねと言えば、リグルス達は喜んで死ぬし、エゼルを殺せと言えば仲間など関係無しに襲いかかってくる。


この局面をどうするか。

それがエゼル隊のこれからの道に支障をきたす選択だけはしてはならない。


エゼルは考え、次の行動を決意しよう。


ルナールの考えていること、それがエゼル隊潰しなのか。

それはきっと彼自身にしか分からない。












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