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余韻

遅れてすいません!

「……なんだ、もう朝か…」


少しだけ開いた窓からは山から顔を出したばかりの朝日が室内を照らす。

二人が帰った後、多少の身支度をして就寝したエゼルは差し込む光と端末に書かれている6:30という文字に気がつい

た。



今日は待ちに待ったBブロック二回戦だ。他ブロックは二日前に終えたので、恐らく今日は他ブロックの人も来るだろう。

見られて気持ちの悪い試合、負け試合だけはやめようと心に強く誓った。





ーーその頃、王宮郊外地にて。





鬼の館よりも奥にある涅槃の闇が集う場所、《暗黒地(シャドウ・コンティネント)》という場所で。

涅槃の守護者、守十刻(ジャッジメント)ですらも覚悟を決めて攻めねばならないという常に均衡状態のこの場所で人が死ぬのは当たり前だ。


噂としては黒闇の本部があり、涅槃転覆を狙っているとか。

今までも守十刻(ジャッジメント)の英雄、ティエリア・マカロフの隊が探索のために派遣されたが通信は途絶え、帰ってくることはなかった、などの意味不明な点が多い場所でもある。



そんな場所で頭から身体にかけてローブを被った男が「500 t」と書かれた、かなり重そうなスーツを着て、快感を得たようなに顔を赤らめ、視線を上に向けている変態と密談しているようだ。


「《有罪(ギルティ)》よ、我が黒闇に所属しているからには前回のような失態はないようにな。《光帝》を潰せなかったのはお前の最大の罪だが、今回は行けるだろう?エゼル・シスタを潰せ。奴は今後の我々の動きに支障が出るとされる男だ。」


「気持ちぃぃ!!お、仰せのままに…!」



快楽の言葉を述べた男は、瞬間。

その場から消えた、恐らく、転送魔法でも使ったのだろうか。

ローブ姿の男は一人取り残されて不敵な笑みをこぼした。

これからの災難を予告するかのように。




ーー試合開始一時間前。



「今日、人多くねえか?」


「そうね、確かに多いわね。普通に考えたら分かる話だけれど、他のブロックは二日前に終わってるのよ。もうシードとなった人は発表され済みなの」


「お?誰になったんだ?」


「その話なら俺にお任せ!!この情報屋のニアさんが説明しちゃうよー!」


ーー刹那、リグルスの目の前に疑問をパパッと説明してくれる情報屋が現れて、彼は得意げに話し始めた。


「まず最初はねー、Aブロックから行こうか!!」


現在涅槃では光魔法最強!

《光帝》の名を持つ前魔闘演戯準優勝者、エト・アルカディナ!

俺が所属する隊の隊長を務めているよ。


因みに、今回のAブロックはエト以外の全員が手を組んでいたらしく、数で挑んだも、全員をボコボコにして一回戦でAブロックシード戦優勝になったのさ。


使う魔法は主に光魔法。

特質魔法なら、君らの隊長が使う身体能力強化魔法(ストレング・スニングス)を使ってるかな。

今日、エゼルが戦う《有罪(ギルティ)》と戦った時、しんど過ぎて光魔法で高位レベルの方の魔法を使ってステージ場を消滅させたことがあるよ!


そのせいで今回の大会から規格外な魔法も使用される可能性を考えて、外からの魔法も中からの魔法からもなかなか破れない防壁(シールド)を使用されることになったのさ。


魔王武器については、古き友の俺でさえ知らない。涅槃に来てから一度も使ってないらしいんだけど、きっとぶっ壊れの魔法武器だと思うんだよ。うん。






「魔王武器を使わないで準優勝?!」


「そうだよ」


「何で優勝できなかったんだ?」


「あー、それはね……寝坊かな」


一瞬、彼の言っていることがわからなくなり、思考が止まったのか、二人は口を大きく開けてポカーンとし始めた。して、その一分後ーーー。



「ね、ね、寝坊?!」


「うん、決勝戦の日に一日中寝てたんだよ。寝てなければ確実に優勝だったね」


絶対的な力を持ちながらも、彼のドジな部分にリアルさを感じる。

ドジであれば何処に行っても何もないところでコケるリグルスのが上だろうが。



「次はねー、Cブロックかな。」



幻の召喚士の末裔。

滲み出る圧倒的な強さは、まさに別格!

阿修羅(あしゅら)》の名を持つ、前魔闘演戯優勝者、ルナール・ディネーチェ!

僕らの隊と対立している、言わば、エリート隊の隊長だね。


性格は絶対的な完璧主義者にして、独裁主義者。

自分の歩む道を妨げる者はどんな者であっても斬り捨てる。


これは武勇伝なんだけど、学園長が挨拶をルナールにしたらば、彼は学園長を邪魔な人物と捉えて斬ろうと襲い掛かったらしいんだよ。

でも、その圧倒的な力量の差に完膚なきまでに叩きのめされたらしいよ。



「あの女性の……?めっちゃ強いのか…」


「それはそうだよ。元老院直々から勅命で学園長になった人だからね」


「直々……!?」


「まあ、それはさて置き……」





使う魔法は、召喚魔法かな。

涅槃では随一の召喚魔法の使い手で、主にこの世界に存在するモノであれば何でも召喚出来るっていう滅茶苦茶な能力なんだよね。

今の所分かっているのは、一度に使用する場合、最大で15個までが限界。

それでも充分すぎるくらいだから、もし対戦することになったら相当厄介だよ。



魔王武器名は《白黒(ヴァイス・ネグロ)》剣型の魔王武器で、

魔王武器の能力は、使用者の視覚の色彩判別を白黒のみにして、白い場所は剣のように、黒い場所は盾のように自由に具現化させることが出来る、だよ。


(ヴァイス)で滅多刺しにされてこの世を去った青年だって居るんだから。でも、世間は彼がやったことを知らない。そういう部分が俺らを腹立たせるんだよ、昔のあの時のように。。。




「メア?大丈夫かー?」


「あっ、悪い。ボーッとしてたよ、それでね、!」


彼の殺気を帯びた表情は、話を聞いているリグルスとサディの目にはっきりと止まった。何があったのかはまだ分からないが、相当なものらしい。「今回は」と二人共、空気を読んで口を噤んだ。





「次は、Dブロックかなー」



今回のシードに上がった中で、初の女性。経歴不明、出身不明。

異名も今は持ってない。

アルファという人物だ。



細かな性格は不明だが、一言で言うのであれば、残忍。

何かを"壊す"という行為にひたすら前向きな笑顔を見せるようで、Dブロック、彼女と試合した者は全員、精神と身体を絶妙に破壊されている。



能力は不明。

今の所は、自分の潜在能力を最大限に引き出す、身体能力強化魔法(ストレング・スニングス)のような魔法を使っているように見える。


魔王武器も不明。

これからの活躍に期待。


何処の隊に所属しているかの情報も学園長は提示してくれなかった。

彼女は一体何者なのだろうか。




「こわっ……!」


「怖いわね〜…」



「経歴が不明という点が少し不安になるよなー。エトも言ってたけど、黒闇が関係してそうだってね。……あっ、君らそっち系の情報大丈夫!?」


ニアは国家機密情報を簡単に口にしてしまい、慌てて口を塞ぐ。その反応にリグルスは親指を立ててニッコリと笑顔で「知ってますよ」と答えた。

安心したように胸を撫で下ろしたニアは話を続けた。



「次は、Eブロックだね!」



太古に恐れられた幻の種族の生き残りにして、蒼炎の龍に一番近いとされる伝説の男。

炎龍(サラマンダー)》の異名を持つ、生きた龍、イグニール・ナイトヘッジ!


彼は人間ではなく、龍。

自らの力で人間の姿になり、魔人となったが、怒りや狂いなどの精神が歪むようなことが起きた場合に紅き龍の姿として現れる。


主に、何もかも焼き尽くす灼熱の炎を操る、炎魔法を得意とする。

人間の姿では、本来の力を発揮できないがために本気を出すと精神が狂っていなくとも自分で龍の姿に戻る。


性格は内気だが温厚。

蒼炎の龍と熱き拳で語り合った親友の仲であるが、内気な性格で打ち解けなければ話もしてくれない。

打ち解ければ、完全に温厚な性格で優しく良いやつに変わる。


魔王武器は、巨大な大剣型。

炎帝(ヴェルメリオ・フィアンマ)


能力としては、人間の姿でも龍になった時のような力を出せる。

ということ。



「生きた龍?」


「そうなんだよ。んでさ、嬉しいことに最近話してくれるようになってさ!俺が会いに行くと、「またお前か、、本当に仕方のない奴め、、 なんの話を聞きに来たのだ?答えてやろう」って言ってくれるんだよね!いやー、三ヶ月毎日家を通った甲斐があったよ」


((三ヶ月!?!?))


その枠まで行くと、最早ストーカーなことに彼は気づいていないようだ。

指摘するのも今の嬉しそうな彼を妨害するようで可哀想なので暖かい笑顔でその様子を見送ることにした。



「えーっと、次は最後のFかなー」



使う魔法は数知れず。

相手のことを知り、戦略的に物事を進めるが故の戦闘!

妖聖隷(フェアリーズ・エデン)》のサイト設立者にして管理者、ニア・クルト!イェーイ!



「ニアさんもシード戦突破したんすね…」


「俺はほら、奇跡だよ奇跡」


「それにしては随分と得意げにして嬉しそうなのね」


「初めてシード戦突破だよ?!そりゃあ、嬉しいさ!」


彼の性格が真っ直ぐに自分の心を表情に形容する人物だということが分かるように喜んでいる笑顔が見えた。


「……詳細いる?」


「要らないわよ。興味ないもの」


「えっ……あー、それじゃ続き言うね」


まさかの答えに驚愕の表情を見せて、余程に言いたいのだろう。

彼は焦り気味で話を続けた。



使う魔法は主に属性の魔法全般。

特に特化した魔法もなければ、劣化している魔法もない。全部均等だ。


他は、身体能力施術(アルク)の会得者であるがために、術を使用する。

全部で52の技があるアルクの技から一番使用する技。

戦闘の終盤になってくると、

魔力止(ドロップ)》をという技を使用する。


相手の魔力が流れる部分、または使用する部分を瞬時に見極めて破壊する。

破壊された場合に魔力を込めることも、溜めることもできないため、魔王武器の使用も不可能となる。



魔王武器に関しては、拳型の武器とだけ言っておくよ。



「………とまあ、こんな感じかな!!」



「なんか手強い相手ばっかで怖ェな。シードになれば当たることは極めて低いかもしれないけど、シードにならなきゃ誰かに必ず当たるわけだ……負けねえ!」


「そうねー、まあ、なるようになるわよ。私に服従しないバカは殺すまでよ」



サラッと怖いことを言ってのけるサディの言葉を固唾を飲んで聞いていると、そろそろ開幕のよう。

童貞が鬱陶しいマイクテストをし始め、会場のボルテージは既にMAXだ。


エゼル vs 《有罪(ギルティ)

闇の隠れた勝負が今始まる!






ブクマとかよろしくっす(^ー^)ノ

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