蠢く闇
ーー何処かの国の何処かにて。
「ミルニアが捕まった?そんなん、あり得るわけないっすよ!ミルニアは俺と一心同体、ただ一人の最高のかわいこちゃんなんすよ?!」
「じゃあ、何故、そのかわい子ちゃんを一人で行かせたりなんかしたんだ?」
銀髪の青年は、ミルニアへの愛を熱く語り、その場に泣き崩れた。
追い打ちをかけるように男が言う。
「アイスの食い過ぎでお腹痛くて、任務出られなかったんだよおおおおお!」
お腹をさすりながら涙を腕で拭き取る青年、その青年を呆れたような目で見つめる男。
男が一言言おうとした瞬間ーー。
ーー"ピンポーン"
家のベルに使われるようなメジャーな音が辺りに鳴り響くと、青年も男も疑問しかないような表情で無言になった。
「おはようございまーす!」
如何にも、"魔王"と言った感じの容姿をした男が現れ状に言う。
銀髪の青年を羽交い締めしながら、男は冷静に考えて、彼に聞いた。
「お前、誰だ?」
すると、男は笑いながら近所のおばちゃん風に手を口元に当てて言った。
「え?忘れたんですか?ココの店員の田中魔王ですよ!今日も1日よろしくお願いします!」
「は?もしかして、異変族バーガーの店員さん?」
「そうですよ!って、貴方もじゃないですか!」
「あっ。だったら、間違えてますよ。ココの隣です。」
その瞬間、魔王は戦慄する。自分が勤めている、異変族バーガーの隣は、犯罪組織黒闇の支部だったことを思い出して。
「え?ココから生きて返すわけないじゃないですか。ちゃんと、魔王させてあげますから心配しないでください」
その後、田中魔王を見た者はいなかった。




