名刀・彼岸花、侍。
存在していた。ただ煌くは左右に握りし大小の刀。
刀は侍、侍は刀。二本で一人、一人日本の、男がいた。
「おいおい主人、これはまずいんじゃないか?」
「私は主人に仕える者。お前は私、私はお前だ。しかし、この状況どうしたものか」
一瞬、侍の脳が把握した敵は数十、二十、二十一人。彼ら二十一人は弓を持っていた。彼らは狩人、主君に仇なす者だ。
「便宜上呼んでるだけだろう主人。主人もよくやるぜ、こういうのは間者の仕事だろう?」
「私は忍というものがどうにも信用できなくてな。こそりとした手際、卑怯な手法は同じ人とは思えんよ」
敵は寸分違わぬ統一、画一された動作で侍を狙う。
ギリリ、ギ、ビュン!――流れる矢の軌道は例えるなら花火。打ち上げられ、そして、途絶える。
なんという絶技!! 敵は気付かず、そのサムライ術。ハラキリのように動く大小の刀は高速で互いに叩きつけられていたのだ。
その衝撃波はすべての矢をことごとく砕く。
逃げ惑う敵を尻目に、
「哀れなり。名刀・彼岸鍔――」
「おう、秘技・紅松明!!!」
その後その地には秋になると必ず白い彼岸花が咲いたという。
かいてみました、ふー。