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孤独な姫君たちの蜜の駆け引き  作者: 和泉葉也


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バスルームにて(2)

「……二回目は、茶会に呼んだ時に……お菓子の、食べさせ合いを、して。

 ニオブも、諦めて……んっ、二人で……吸い合いを……」

「どちらから、攻めて行ったんだ?」


 冷めてきた湯にサボンを浮かべ、身体洗い用の香草を塗り込まれていく。

 服を完全に脱がされたエリヴァルは抵抗の気力も失い、泡の広がる感触と滑りが良くなった身体に這わされるオーカスの指を楽しんだ。


「……耳の後ろから、ボクが。音を立ててしゃぶって、耳たぶを甘噛みして、それから……あっ、舌を、入れたんだ」

「補佐官殿との悪ふざけも二回となると、次もしかねないな……。お前の土産は、菓子箱ではなく鎖と鉄枷の方が良さそうだ」


 様子を見にきた侍女によって、湯の追加が運ばれてきた。身動きが取れなくなったエリヴァルの髪が整えられ、長い髪が洗われていく。

 エリヴァルの代わりに侍従がオーカスの背中を流してから、二人揃って熱いお湯がかけられた。


 よく冷えたワインと果実や甘いお菓子がパウダールームに置かれ、エリヴァルの髪を細い布で束ねて丁寧なお辞儀をしてから、召し使い達は立ち去っていく。


「お湯が冷めて、バスタブも入れ直しになったじゃないか。お仕置きにしても、叔父上は時間をかけ過ぎだよ……」


 オーカスの膝に座る形で湯に浸かり、ふうっと安堵のため息を漏らした。

 戦や訓練で付いただろう傷痕が痛々しいが、不思議とその肌に恐怖心は覚えない。


「男性陣への歓迎会とやらでは、初対面のシュテイン卿の御子息にまで口づけたらしいな?」

「あれは、挨拶に軽いキスをしただけさ……」


 思わず、頭を悩ませるオーカス。

 身内だけの話ならいいが、諸外国に広がっては外交問題や王室の権威喪失になりかねない。

 エリヴァル自身が亡きカスティア第一王女の歪んだ教育を受けさせられた事もあって、少々どころではなく歓迎の度合いが異なっていた。


「まあよい、籠の鳥になって気持ちが抑えられなかったんだろう。元老院への牽制にもなったし、後はお前が興じに向かうたびに、壁に鎖で繋いでおくとするさ」

「兵舎から持ってきて、鉄枷を取り付けるつもりだね。そんな事しなくても、ボクは逃げ出したり……しない、よ……」


 戯れに胸を触られ、エリヴァルの芯が熱くなっていく。

 お尻を持ち上げられ、指先が秘唇の一番敏感な部分にそっと当たってきた。やがて奥へと手を伸ばされ、オーカスの爪の感触が伝わってビクッと跳ねた。


「こちらには、歓迎会はなかったがな……」

「……叔父上は、その……今、……ボクを……んっ、……味わって、いるじゃないか……」


 人差し指に続いてオーカスの親指が中へと入れられ、エリヴァルは手で押さえて止めようとしてきた。

 行き場を失った手は湯上がり用の冷えたワインを取り、瓶を口に含んでエリヴァルの唇から流し込んでいく。


「歓迎会、にしては、叔父上だけ贅沢過ぎるよ……」

「バスルームでの秘め事だからな、他の男共に手を出される前に手付けをしておいたまでだ。

 それより、補佐官殿への口移しはこんな感じだったか?」


 飲み干せなかったワインが唇から溢れ、バスタブに張られた湯を赤く染めていく。

 何度か咳をして喉を整えながら、エリヴァルは恥ずかしそうに頷いた。


「……もう、ここまでにしてよ……叔父上。これだと、ボクまで二日酔いで公務休止に……。あっ、ダメだったら! ……そんなに、んっ……飲めな……いって……」


「私にまで軽いキス程度で済ませて来た可愛い姪御が、我が国の補佐官殿を立てなくする程に口付けるようになってしまっては……。少し、考えも改めた方が良さそうだな」


 ワインの瓶が戻され、今度は葡萄の実を口に放り込まれた。アルコールより幾分かましだが、叔父に蹂躙されたエリヴァルは不服そうに果実を飲み込んだ。


「酔いは大丈夫か? すまない、少し戯れが過ぎたようだ」

「これくらい平気だけど、何だかボクだけ仕置きされたみたいで、ちょっと悔しいね……」


 房から葡萄をもぎ取って咥え、オーカスの口に舌で押し込む。

 甘い汁を互いに味わいながら舌先で転がしあい、喉奥に押し込めたエリヴァルは嬉しそうに微笑んだ。

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