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孤独な姫君たちの蜜の駆け引き  作者: 和泉葉也


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15/22

バスルームにて(1)

 侍女が炊事場からおおがめに入った湯を運んできた所で、久しぶりに帰還した漆黒の将軍殿は部屋着のエリヴァルを前に、手土産もなしで訪れた。


「レディの入浴前に訪問とは、叔父上も節操のない方だね」


 ちょうど髪飾りや装身具を外させていたエリヴァルは不機嫌になり、小部屋のドアを指差して退室を促す。


「今まで戦後処理に追われていた叔父を、無為に扱うな。バスタブの狭さを実感した所で隣の湯殿にお湯が注がれたんだ、暖かみを求めてやって来ても仕方あるまい」


「借りてきた子犬のような話をして、ボクの貴重な入浴時間を減らそうとしてもそうは行かないよ。

 明日には技師を呼んで、蝶番を固定して開かなくしてやるんだからね」


 仕方なく、オーカスは隠していた包み紙をふくれっ面のエリヴァルに手渡す。


「ウェイクフィールドの流行りの菓子だそうだ。

 取っ手に細工が彫られていて、2段目をスライドさせる事が出来るらしい」

「ーーーそういう事なら、叔父上にバスタブをお譲り致します」


 エリヴァルは早速1段目の砂糖菓子を口に放り込み、小部屋のドアを指差していた手をバスルームへと移して誘導する。無礼より、手土産を早く渡さない事への苛立ちの方が大きかったようだ。


「なんだ、一緒に入るのでは無かったのか?」

「お菓子一箱で入浴を共にする程、安い姫君ではないよ。確かにこっちのバスタブなら3人は入れるけど、リリスでさえまだ招いていないからね」


「菓子箱の数が増えるだけで叔父に素肌を許すとは、我が国の第二王女も安い女になったな……」


 ある程度は姪の発言想定していたのか、オーカスは一度小部屋に向かってから、違う柄の包装がされた大箱を三つほど抱えて戻ってきた。


「まあまあ、って所かな。でも、それだけで招待客を湯に浸からせるのも腑に落ちないから、叔父上に何か、ボクの別の願いを聞いて貰う……という条件はどうかな?」

「商談は成立だな。では、湯が冷める前にバスルームへと案内して貰おう」


 薄い木目の扉が開かれ、侍女たちが一礼をして去っていく。

 植物の香りのする壁を通り抜け、脱衣場も兼ねたパウダールームにたどり着く。オーカスのガウンを手早く脱がせると、コルセットの紐と固定具を外すようエリヴァルは促してきた。


 カーテン越しに湯気が舞い込み、冷えてきた身体に染み込んでいく。3段目まで解かれた所でようやく服も自由になり、靴を脱ぎ終えた所でエリヴァルは顔を赤らめてタオルを手に取った。


「どうした、やはりまたの機会にするか?」

「……そうじゃ無いんだけど、父上や他の侍従とも一緒に湯に浸かった事がないから、少し緊張してきただけだよ」


 何だか言い訳のようになってきて、余計に気恥ずかしくなり、オーカスのシャツのボタンに手をかけた所でまた止まってしまう。

 優しく手の甲に口づけされ、エリヴァルの震えが収まってきた。小上がりに置かれたカウチソファーに座らされ、ロングパニエと靴下が脱がされていく。


「……お、叔父上……それは自分で」


「私が不在の間に、補佐官殿を二度も裸にして楽しんだと聞いたが、随分とこの姫君は新鮮な反応を見せてくれる」

「あれは、リリスと悪ふざけした……だけだよ。歓迎のつもりでやっただけで……」


「侍女長殿と一緒になって、口移しで補佐官にワインを飲ませ続けたらしいな」

 膝裏に口づけされ、もう片方の靴下がゆっくりと外されていく。右脚はオーカスの肩に乗せられ、太ももに手を這わせられた。


「酔われた補佐官殿の舌を吸って、それからどうした?」

「大きな胸に……触れて、それから首すじと胸元に……二人でキスをして……あっ……」


 脇に回されていた手が乳房を掴んできて、コルセットで固められていた身体がほぐれていく。


「……し、舌の絡めあいを……。ニオブと……。赤く小さくて、可愛らしい舌先をしていて、それで……んっ、段々ボクも、酔いが……回ってきて……」

「そうか、それは随分と楽しんだようだな」


 唇を啜られ、息が送り込まれていく。様子を窺うように撫でられ、エリヴァルは舌先を差し出した。

 温かい体温と吐息が頭を狂わせていき、激しく啜り合いながら喉奥へと突かれていく。


「……叔父上、ニオブとの事で、怒った……?」

「それだけの事をして、何も言わない男は居ないな」


 露わになった胸元に、指先の愛撫が広がっていく。

 勢いよく乳房を吸われエリヴァルが大きく喘ぐと、オーカスの手で唇を塞がれ、人差し指と中指とが咥内へと伸びてきた。


 必死でそれをしゃぶりながら手を回し、エリヴァルは大きく震えて身体を襲う刺激に身を任せた。

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