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孤独な姫君たちの蜜の駆け引き  作者: 和泉葉也


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12/22

日向の部屋へ(3)

「だからと言って、何故私まで脱がされる必要が有るのですか?」


 すっかりボサボサとなった朱色の髪で胸元を隠しながら、第三の犠牲者となったタリアは注がれたグラスを飲み干す。ニオブを剥いた所でノースが宴の支度に訪れ、悲鳴を聞きつけたタリアも餌食となり、胸元を晒した饗宴への強制参加となった。


「普段から我々を締め付ける拘束具や金具から解放されなくては、お互いの事を学べないからね。思っていた通り、タリアは小さくて可愛らしい胸だね。豊満な女性たちに囲まれて肩身が狭かったから、駆けつけてくれて嬉しいよ」


 片手でやや小ぶりの胸の感触を楽しんで敏感な部分を誘惑しながら、エリヴァルは歓迎と銘打った口づけを繰り返す。教育係はニオブだったはずでは、と思い出したタリアが鋭い眼差しで睨んできたが当の宰相補佐官殿が全ての衣服を剥ぎ取られて弱っていては、文句も言い出せない。


「知ってるかいリリス、タリアは上品な貴族なのに姉上との別れ際に、キスをねだったらしいよ」

「あら、それは許せませんわね。今夜は思う存分にその感触を忘れて頂きましょうか?」


 すっかり出来上がっているリリスに口移しでワインを飲まされ、酒に弱いタリアはエリヴァルに持たれた。チャンスとばかりに腰紐を引っ張られ、哀れな補佐官侍従はニオブと同じ姿になる。


「ご覧よリリス、このウエストの細さと釣り上がったヒップの丸み。完全に姉上好みの体型に仕上がりきっている。よほど豪奢な香油を手に入れて、毎晩擦り込んでいるに違いないよ」

「ーーーまあ、本当ですわね。さすがは宰相補佐官の侍従担当。高給には定評があるだけあって、美しい限りですわ。この肌に姉姫様が触れたと思うと、酷くつねってやりたくなるくらいです」


 助けを求めようにも、当の上司は諦め切ったのか酔い潰れたのか、だらしなく足組みをしたまま二本目のボトルを開けていた。タリアはエリヴァルの膝に抱かれ、着せ替え人形か何かのように縮こまる。


「さて、彼女たちには素肌を晒して貰ったが、何か足りない気がするね……」

「わ、私までですか?」


 部屋の隅で隠れていたノースが毒牙に囚われ、最後の1枚までリリスに剥ぎ取られていく。漁師のように仁王立ちして満足そうに笑うと、タリアの横に並べて品評会の再開だ。


「そんなに怯えないでおくれよ、これから住む同居者への歓迎会なんだから……」

「お、怯えるに決まっているじゃないですかー!」


 必死になって身体を隠すノースの手を引き、エリヴァルは侍女を呼びつけてナイトガウンを持ってこさせた。既に何度も目撃しているのか、それとも何も顔を出さないように訓練しているのか知らないが、髪をおさげにした侍女は三人に夜着を纏わせていく。

 考えてみれば、彼女たちはリリスの元部下だ。これくらいで驚きもしないのだろう。


「全員で寝られるくらい無駄に広いからね、このまま泊まって貰って、明日は引っ越してきた男たちに見せつけてやろうか?」

「明日って、まだウィードしか支度が済んでませんわよ」


 だから面白いんじゃないか、と笑うエリヴァル。

 それまでお堅い仕事に就いていた侍従二人は、これから訪れる同居生活に不安を感じたが、ニオブが着させられながら眠ってしまったので抗議の声の出しようもない。


「ニオブがボクの教育係で、その上の指導役がノースだったかな? 我が国の宰相補佐官は、品行劣勢で処刑されかねないお姿だね。ご覧よ、乳房まで露わなまま寝息を立てている。余程お仕事がお疲れだったようだね」

「胸をはだけた姫君と元侍女長にドレスを脱がされ、口移しでワインを飲まされ続けたらこうなりますわよ。王女殿下も、リリスティン様もニオブの神経を壊させないで下さいませ」


 クッションを抱いたまま戸惑っているノースとタリアの手を引き、寝台へと誘い込む。

 いくら元老院所属とはいえ、この国の第二王女の寝室を占拠するわけにもいかず、必死で抵抗するが相手が悪過ぎたようだ。


「様や殿下を付けたら、口づけされるってさっき何度も言っただろ?」

「わ、わかりました。エリヴァルとリリスとお呼びすればよろしいのでしょう。でも、室内での場に限らせて頂き、普段はいつも通りに致します」

「まあ、そこは妥協かな。ボクもそろそろ眠らせて貰うとするけど、こっそりと抜け出すのは無しだよ。そんな事をしたら、次は裸のままで吊してあげるからね」

「そうね、今日くらいは女同士で眠りましょう」


 追加された予備のシーツを被りながら、ランプの灯りを細くして蝋燭を灯す。

 諦めたかのようにタリアはエリヴァルの腕に抱かれて目を閉じ、ノースはニオブのガウンを掛け直して髪を正した。

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