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【第3話:森での生活】

森の中、倒した木の隙間で簡単な寝床を作り、野獣は初めての夜を迎えた。

野獣の体は自由だが、制御しきれない力もまだ多い。小枝を握っただけで折れ、地面に落ちた石を投げれば小さな穴が空く。恐る恐る力を調節しながら、森での生き方を学ぶことにした。


朝、空腹を満たすために森を探索していると、遠くで小さな鳴き声が聞こえた。

「ミュー…………」

反射的に駆けつけると、魔物に追われている小さな狐の姿があった。どうやら親とはぐれてしまったらしい。


「大丈夫、俺が助ける……」

野獣の力で魔物を制御し、木や岩を利用して追い払う。魔物は怯え、逃げ去った。小さな狐は安心したように野獣の足元に寄り添う。


「……ふふ、よかったな、さぁお行き」

素直に喜ぶ野獣。野獣の姿で怖がられることもあるが、この小さな狐には警戒されず、初めて心を通わせられる存在となった。


日が傾くまで、野獣は森の中を歩き、力の加減を試す。枝を折らずに木の実を取る方法、岩を跳び越える方法、川を渡る方法。頭脳と身体の両方を使って少しずつ自分の力を制御していく。


夕暮れ、森の奥から再び魔物の影。大きな熊のような獣が村の方角から来ている。体の制御を試しながら、戦略を練る野獣。

「ここは森の地形を利用して……まずは引きつけて、狭い場所で力を抑えながら……」


考えた通りに動き、熊は森の木々に阻まれながらも退却。野獣は小さく息をつく。初めての魔物撃退、そして自分の力を理論通りに活かせた瞬間だった。


森の中に小さな平和を作りつつ、心の中で小さくつぶやく。

「これから……もっと強くなれる気がする」


こうして、醜い野獣としての生活は始まったばかりだ。力の制御、そして森での小さな冒険――すべてが、異世界での新しい人生の一歩となる。



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