シロイヘヤ
前回:
そんなのないよ?これが初回だよ?
ぼっち。それは孤独とは違う。ネットでは同じ様に使われているが、言葉の重みが違う。では何が違うのか。それを知らずに使われている。では違いを説明しよう。
『ぼっち』とは、集団の中で一人になる様。
『孤独』とは、周囲に人がいなく一人でいる様。
まあ、些細な違いだ。だがその些細な違いが大きな違いになる。そう、友達がいない俺が孤独になれないのは学校という監獄にいるからだ。ただ、俺はぼっちであることを誇りに思っている。失うものがない人間ほど強いものはないのだから。
何でもない、ただ例年より冷え込んだ冬のある日。教室。廊下に一番近く、最後列の席は主人公席と言っていいのだろうか。関わるつもりもないクラスを一望できる席だ。そんな席で俺は書店で貰えるような紙のブックカバーを付けたラノベを読んでいる。
まだチャイムもなっていないのになぜかいつもより教室が煩い。というより騒めいている。さすがに気になって視線を向ける。教室の真ん中が光っている。その光り方がどこかおかしい。面倒そうだしどこかで時間でも潰すとするか。そう思い廊下に出ようとしたが扉が開かない。鍵がかかっているわけでもない。窓もそうだ。喚起 喚起 五月蝿い学校なのに窓が締まっている。鍵はかかっていないが開かない。
ああ、光り方がおかしいと思ったのは光の筋が直線じゃなく、レンズも通さずに曲がっているのか。その曲がっていく筋が一人ずつ照らしていく。それに照らされた奴がその筋から出られなくなっている。一先ずロッカーの中に入る。どうせ意味はないんだろうけど、光が入ってくる隙間もない場所なんてここしかない。つまり暗い。だから本が読めない。できる事と言えば寝ることくらいだろうか。
チャイムが鳴り目が覚める。気付けば眠っていたようだ。ロッカーの中で。身体がガチガチに硬くなっている。当然寝る時の姿勢が悪すぎたせいだろう。ひとまずロッカーから出る。ロッカーから人が出てきているのに声の一つもしない。教室には誰もいない。教室の扉がガタガタしている。誰かが開けようとしてるようだ。鍵はかかっていないのに開かない扉。俺の死因は学校での飢えになるのだろうか。何度試してもガラスは割れないし、廊下の声も聞こえてこない。外を見てもただの日常だ。
(ドン) 何もないところで壁にぶつかった感覚がした。いや、さっきの光の筋に捕まったらしい。だんだんと視界が白くなっていく。そして何も見えなくなった。
目を閉じても眩し過ぎて眠れない。
「これ!」
おじさんの怒鳴り声がすると同時に頭を棒で叩かれた。虐待?暴行?どっちでもいいから110番する?
「どこに居たのじゃ⁈ そしてなぜ寝ようとしておる⁈」
真っ白い部屋には似つかわしくなさそうな筋骨隆々で口ひげをピヨンさせているおっさんだ。うん、不審者だし110番しよう。とりあえずスマホで、、、って、当然圏外だな。圏外でも100番とかって通じるんだっけ? 残念ながら無理だった。林檎14以降ならできるんだっけ? まあいいや。薔薇を強要されたら潰せばいいだけだし。
「黙って無いで何かいったらどうじゃ。そしてんぜ睨んでおるんだ?」
黙ってる? 当然じゃないか。どうすれば知らないおっさんと話し合えるのかなぞ知らん。
睨んでる? 当然じゃないか。何故知らないおっさんと二人きりで睨まれないと思うのか。
このおっさんはマッポさんじゃなくてドーターに引き渡した方が良いのか? マッポドーターに渡すことにしよう。うんうん。
「何一人で勝手に納得したように頷いているんだ」
このおっさんうるさいな。こういうのが老害って言うんだっけ? 違ったような気もするけどよく分からない。少なくとも害ある老人だとは思う。
「はあ。もういい。ここから好きな能力を選びなさい」
ため息つきながら石板の山を渡される。石板って何時代だよ。紙はないのか?紙は! まあ、仕方ない、試しに一つ見てみるか。
......ゴミしかねーじゃねーか(バン)(バキ)(ゴン)(ドガ)...ズドーンは出来なかった。
てかこのおっさん俺が異世界に行くとか言ってなかったよな? 誰かに渡すだけならこれ全部で超ハードモード異世界転生させてやろうか?
「気が荒いな。そんな変なものばかりってことは......」
おい、何か言ってみなさい。この何の意味もないどころかただのデバフでしかないこの大量のスキルだの魔法だのを。変なものどころか不要なものしかないが?
「お、おかしい...選択肢はランダムのはずなのだが...なぜこうも外ればかり...。君、運が良いのか?」
ん?今このおっさん喧嘩吹っ掛けてきた? 運が良い? ちょっと表出ろ。表がどっちが分からんから案内しろ!
「全部寄こせと言われ無い用の外れ枠ばかり引き当てるなんて、一体何者なんだ?君は」
ただのぼっちですけど何か? それよりおっさんこそ何者か知らないぞ? これで神なのか? 神だから害なのか?
「いい加減何か言いてくれないかい? いくら神でも心までは読めないんだから」
あ、このおっさんやっぱ神だったんだ。紙ではなさそうだし、髪はフサフサだけど神らしい? ただの黒ひげポヨンのおっさんじゃなかったわけだ。嘘じゃないだろうな? まあ、よく分からんが面倒になってるってことはわかった。
Character
・ ? ? ? :ぼっち?
・ ? ? ? :おっさん(神)
次回:ソウテイガイ