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人外による人里訪問

 村長さんの家に来た。

「この村の乙名をやっている杉作と申しますじゃ、この度は村のものを助けていただいてありがとうございました。あのままでは他のものも襲われておったでしょう。」

「わしは彦佐と申します、うちの婿を助けていただいてありがとうございます。」


改めてお礼を言われてかしこまられてしまった。

「たいへんもうしわけございません、あなた様のお名前をおおしえくださいませんかな。」

名前か、そのまま伝えるのなんか恥ずかしいな。

虎王丸とらおうまるって呼んでくれ、」

「虎王丸殿、この度は誠に、」

「いや、いいってそんなに。あんなのホントについでなんで。もういいですよ。それよりこの村には鍛冶師はいませんか?あと獲物を解体したり皮をなめしたり出来る人はとか。」

「鍛冶屋にどんなご用で?」

「武器の修繕とか、場合によっては新造かな。」

「包丁や農具程度ならこの村でも行いますが、武器となるともう少し大きな村が良いですな。この村からもう少し北に行くと白川という村があります。そちらが良いかと。もし行かれるならわしの名を告げてもらえれば。」

「お、ありがとう、直ぐには行かないかもだけど、行った際にはそうさせてもらうよ。」

「あと、解体できるものは男衆なら大概は。誰が良いかの。」

「それならわしのとこで受けますじゃ。皮なめしも所帯出のせがれにさせます。」

「そのせがれさんは近所の人?」

「そうですじゃ、直ぐ近くに住んでますので。」

「そっか、じゃあお願いしようかな。近日中にはまた改めて持ってくるよ。あ、報酬は払うからね、安心して。」

「そんな、助けられたのに申し訳が立たんですじゃ。」

「それじゃ、俺が山賊と変わらんことになるじゃん、いいよ、何度もお願いすることになるだろうしさ。」

「分かりましたのじゃ。」


「ところでお連れ様は?」

「ああ、前で待たせてるよ。だって怖いだろ?」

「確かに少しは。」

彦佐じいさんにはやっぱり怖かったみたいだな。まあしかたないだろな。

「南蛮の方ですかな?」

村長さんはさすがと言うべきだよな。

「まあそうだね、正確には西洋人だよ。南蛮からさらに西、三蔵法師が辿った絹の道のさらに西、途中で南下したら天竺だけどね、そのまま西にずっと行くと西洋ってことろにつくんだ。」

「三蔵法師様ですか?」

「アレ知らない?」

そうか昔の日本人なら誰でも知ってると思ってたわ。

「申し訳ありません、無学なもので。」

「そっか、いやこちらこそごめん、まあ兎に角、天竺よりずっと西の方の人ってこと。」

「そんなに遠くから来られた方たちなのですか、それは大変な旅だったでしょう。」

「まあ、それなりにはね。」

「せめて少しばかりの酒でも、」

「あー、いいよ全然、ホントにお構いなく。」

「何もしないというのはさすがに、、」

「まあ多分これから皮とか以外にも困ることがあるかもしれないし、色々相談に乗ってよ。それでいいからさ。」

「その程度の事でよいなら。分かりました、それではこちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。」

「俺たちはここから少し上流の山小屋にいるからさ。何かあったらいつでも来てよ。」

「これはご丁寧に。ぜひその際は伺わせていただきますので。」

「じゃ、この今日はくらいで。またよろしくね。」


 今日のところは目的達成かな。村長さん宅の少し離れたところで待ってた仲間と合流し、今日はもう山小屋に帰ることにした。

「てか歩きにくいわ。」

エイシェトが後ろから両腕ごと抱えるように抱き着いてくる。

「虎王様が望んだこととはいえ、片時も離れるなとのご命令を遂行できなかったのですわ、その分、こうやっていますの。」

「嘘をつくな。片時も離れるなとはいっとらんわ。」

両腕を挙げるとともに体を入れ替えるようにホールドを外すと、エイシェトが体勢を崩して前につんのめる。

「ああん、虎王様、そんなご無体な。」

さすがに転ぶまではせずに体勢を立て直すと腕を抱えるようにして密着してくる。


 まあ村長の家に入る際にはすんなり離れてるところを見る限り、分別はあるんだよなこいつ。

ぐぬぬ、という文字が頭の上に浮かんでいそうなイシュタルと無関心なアモン、ジト目でこっちを見てるルーハーを引き連れて俺たちは山小屋にかえっていく。


「明日は何をするかな。」

「虎王様とならなんでも。」

まあこいつらとなら何でもできそうだしな。


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