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山賊退治

「つまり私たちがいた世界は虎王様の世界で作られたゲームの世界で、この世界は主様の世界だけど5世紀ほど過去の世界という事ですか。」

イシュタルが俺の説明の要点を繰り返して確認してきた。

 ちなみにスタート地点に山小屋に戻ってきてる。

「ああ、多分な。俺の時代は狼はいなくなってる。で、きっかけはあのゲームだろ、なら戦国時代だ。」

「で、なんでそういう事になってるのかはわからねえと。」

こちらはアモンだ。

「ああ、全くな。」

「まあ改めて聞いてもよく分かりませんが、私は虎王様といられれば何も問題はありませんわ。」

「私もですわ!」

イシュタルがエイシェトに張り合っている。

「俺も楽しけりゃそれでいい。まあ良くなくても俺は契約で縛られてるしな。」

半分楽しそうに、半分は少し疲れたように笑う。

「おっさん臭えぞアモン。」

「うるせえ。」

「私もここがどこでも構わないわ。アナタとともに行く。」

「虎王様と呼びなさいな。ルーハー。」

「私はエイシェトと違って自ら望んで降ったの。自らの意思で主従契約したのよ。魅了(チャーム)をレジストされて、呪い返しで魅了されたあなたとは違うのよ、エイシェト。」

「うるさいわね、ルーハーなんて襲った瞬間反撃されて、おしっこ漏らしながら半べそかいてたところをよしよしされて喜んでついてきただけじゃない。」

「なによ!」

「あらまたおもらしさせてあげようかしら?」

「やめとけ馬鹿者ども。」

二人をアイアンクローで黙らせる。

「いだだだだだだ!」

「ああっ、至福ですわ、虎王様ぁ。」

イシュタルも羨ましそうにエイシェトを見るな。こいつの存在はセンシティブだ。


 てかあれはそういう感じのエピソードになってるのか。確かにエイシェトはそうだったけど。あのゲームの表現の範囲だと、確かに反撃したら大人しくなってテイムしようとしたら成功した、ってだけだったんだけどな。


 まあこいつらの思いは理解した。俺も結局はそうだしな。あの世界に未練は、まああるけど。こんなことになるなら、投げ銭、投げれるだけ投げとけばよかったわ。よいこのみんな、推しは推せるときに推しとけよ。

 まあいい。

 またこいつらとの生活に戻るだけだ。モニター越しじゃなくなっただけで。


「ん?よく見たら、この山小屋、肉集めるときに作ったスモールハウスじゃないか。」

「ああ、確かにそうだな。」

「俺たちのじゃん、しばらくここを拠点にするか。」

アイテムボックスを使えるようになって初めてやったのが、食料の大量確保だ。時間経過で腐らないからな。鹿が常にポップする森に入ってセーブポイントと回復の為の睡眠場所として、作ったのがこのスモールハウス(山小屋)だ。

 適当に木を切って木材を使えば建てれる簡単な拠点だ。ここではそんな簡単に出来ることはないだろうからな。かなり助かった。


「そうと決まれば、周囲を探検するか。しばらくは困らないだろうけど、鉱石とか、ってもう簡単に鍛冶は出来ねえわ、頼むしかないな。鍛冶屋探すか。まあそういう事だ、これから鍛冶だけじゃなくていろんなものが足りなくなるだろ。まずは人里を探すか。」

「分かりましたわ虎王様!」

イシュタルが食い気味に返事をしてきた。

「お、おう。」


 そういえば、俺が作った拠点ってこのスモールハウスだけだったな。あの城館も占領したものだったし。

 自分で作ってたらこっちに持ってこれてたのかもな。なんか惜しいことをしたわ。


 登るより降る方が人里があるような気がして、見つけた小川沿いに下っていくことにした。

 鹿とか結構いるな。熊とかも多いらしい。俺には分からんけど、みんな臭いで分かるっぽい。今は肉もあるし人里を探す方が優先だから放置だ。

 しばらく下っていくと田んぼや畑が見えてきた。そしてそれを荒らしてるおっさん共も。

「なんだあれ、あんな収穫方法あるのか?何かの祭りか?」

「いえ、あれは略奪してるのですわ、虎王様。武装してますもの。」

確かにエイシェトの言う通り、槍を持ってる奴や、畑を荒らしている奴の足元に槍が落ちてる。いや置いてるのか。


「あっちで槍を持って見てるのはこの畑の持ち主たちか?戦わんのか?」

アモンが村人らしき人達を見つける。あれは家族かな。中には幼い子たちもいる。

「あ、一人が賊に突撃しましたわ。あれじゃ多勢に無勢、無駄に殺されるだけですわね。」

「よし行くか、山賊退治は俺たちの専売特許だ。」

「はい!」

イシュタルの返事を聞くまでもなく俺は飛び出していた。

 隣には既にエイシェトがいる、早いな、てか離れんなこいつ。

 「ブレない』エイシェトに感心しながら手に魔力を集める。魔法の使い方はなんとなくわかる。攻撃する相手をクリックして指定し、UIに並んだ魔法リストをクリックしていた戦闘は、現実の戦闘に変わったが、魔法は何故か使えるようだ。試してはいないが確信がある。

「ファイアボール。」

突き出した手のひらから放たれた火球は後方で槍を構えていた男に命中する。バレーボール大の火球が男に命中すると、男は炎に包まれ一瞬で炭化する。


「ワハハハハハハ!我は真祖なり!この地に住まう唯一のヴァンパイアの王にして唯一のウイザードロード!ケーニヒスティーガーなるぞ!無法の山賊どもよ!疾く滅ぶがよいわ!」


 名乗りをあげながら立て続けに放ち続けた火球で20人は倒しただろうか。

 50人ほどいた山賊もほぼ同時にイシュタルとアモンによってなぎ倒されていた。二人の槍と剣によってできた惨状で辺りは血まみれだ、内臓まみれだ。

 ちなみに出遅れたルーハーとずっと俺の横にいたエイシェトは一人もやってない。

「殺人なんてこんなもんか。特になんもねえな。」

俺のつぶやきを聞いたエイシェトはにっこりと笑って抱きしめてきた。

「いや、うざいから。」


 山賊に突撃したお父さん(多分)はぽかんとした顔をしたまま突っ立っていて状況を全く把握できない感じだ。後方で見ていた家族らしき人達も。

 その中からお爺さんらしき人が挙動不審な感じで出てきて近づいてきた。まさにオロオロとしながら。まあ何が何だかわからんのだろうな。助けられたことくらいは理解してればいいが。仕方ない。こちらからも歩み寄るか。


「そこな(おきな)よ、もう案ずるがよい。山賊どもは総て滅ぼしてやったぞ。」

「は?ははぁ、ありがとうございますじゃ。」

爺さんは平伏してしまった。話が進まぬ。てか確かに進めようもないか。

「あ、いや、爺さん、普通にしてくれ。あんなのついでだし。ちょっと色々聞きたくてさ、人里を探してたんだよ。」

「はい、ええ、あー、えっと、、?」

余計に混乱させてい待ったかもしれん。まあじっくり落ち着いて話すか。


 一先ず少しずつ話をして、爺さんや突撃お父さん、その家族たちを落ち着かせ、その間に戦場で使う落とし穴作成魔法「ヴォイドピット」を使いそこに死体を捨てさせた。  


 その間に他の村人も武装してやってきて、まあ助けに来たんだろうな。死体処理を手伝わせた。槍や胴などはいらんので全部渡した。そこそこ喜んでたな。落ち武者狩りだとかなんとか。狩ったのは俺達だからな、お前らのは戦場漁りだろ。ああ、逃げたやつはいないな。全部殺したから。


 で、助けた畑の爺さんと村長さんで、村長さんの家に行って話をすることになった。


 

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