(「刻代ちゃん、本当に出来るの?」)
虚蝶が念話でそう刻代に聞き返すと、刻代は念話で答える。
(「出来るわよ。まぁ見てなさい」)
答えた刻代は思う。
(流石に風や光りの事を科学的に説明しても、今のこの子には理解し辛いでしょうね……)
刻代は念話で、虚蝶に促す。
(「やるわよ。あの子達に合図を出して、タイミングは貴女に合わせるから)」
(「分かった……」)
「龍蛇丸やるよ、せぇぇぇの!」
少し大声で虚蝶がそう言うと、龍蛇丸の纏っている風が半透明の緑色を帯び、視覚的に見える様に成った。
(「刻代ちゃん、どうやったの?」)
そう念話で聞いて来た虚蝶に、刻代は念話で返す。
(「今の貴女には、説明しても多分理解出来ないわよ。まぁ強いて言えば、月は何処から来て如何やって出来たでしょう……かしらね?」)
(「何それ?」)
念話でそう返し不思議がる虚蝶に、北斗が通信用の鏡後しに聞く。
「ねぇ虚蝶、今のどうやったの?」
「分かんない?」
キョトンと反射的にそう返した虚蝶に、葉司が通信機能越しに言う。
「分かんないって、お前なぁ……」
葉司がそう言い終わると、葉司、北斗、太耀にスセリから念話が来る。
(「北斗、太耀良く出来ましたね。コレなら葉司も風の姿を認識……――」)
(「待ったスセリ、これをやったのは僕等じゃない。虚蝶だ」)
スセリの念話を遮って、太耀が念話でそう言い返す。
するとスセリは少し考えた後、葉司、北斗、太耀に念話で尋ねる。
(「それについて、虚蝶は何か言ってませんか?」)
その質問に、念話で答えたのは北斗。
(「それが変なんだ。自分でやったのに、分かんないって」)
北斗の念話でスセリは考える。
(なら、あの子以外が力を行使したと言う事か…… 風を見える様にするには、風が光りを反射する様にすれば良い。つまり相手は光りか物質を統べる力が有ると言う事。でも正体を隠したい筈なのに、何故その様な行動をさせたのかしら……)
そうスセリが悩んでいる時、姿を隠し様子を窺っていた刻代は、恵理花……正確にはスセリを見てクスクス笑いながら思う。
(「あの子根は真面目だから。今頃何で私が、正体バレる様な事をしたのか悩んでいるかしら?」)
そんな神々の思いとは関係無く、葉司は攻撃の目的で有る金属柱を、破壊する方法を考えていた。
「なぁ三人共、あの金属柱壊す良い方法ねぇ?」
通信機能越しに葉司にそう言われ、北斗、太耀、虚蝶はそれぞれの考えを、通信様の鏡越しに言う。
「さっきも言ったけど、エアーマンみたいな事すれば?」
虚蝶の言葉に、北斗が続ける。
「風を相手にぶつけろって事だよね。でもソレだと、ロボットみたいなのには余り聞きそうに無いかな、火流羅ガイストとか阿蛇鋼王には効果薄そう」
「それならソニックブームなんてどうだ。確かストリート何とかでそんな技が……」
太耀の言葉で、葉司の頭にあるゲームが思い受かぶ。
「あぁ。そんなの街のおもちゃ屋の筐体で、お前らと遊んだな。確か物凄い髪型のアメリカ人の技だっけ?」
そう聞き返した葉司に、太耀は話しを続ける。
「そう、それ。確かあぁ言うのを鎌鼬とか言うんじゃなかったっけ?」
そう言う太耀だが、自分の言っている事が正しいのか自信は無い。
しかし太耀は言葉を続ける。
「僕の光り同様に、人に当たったら危ないけど、お前の場合は力の制御は僕よりしやすいだろうし。危なければ使わなければいい。何より鎌鼬と言う妖怪が確かいるはずだから、適当に命令しても龍蛇丸がソレっぽくしてくれるんじゃないか?」
言われて葉司は少し考え、納得して龍蛇丸に命令をする。
「……とにかくやってみっか、龍蛇丸。周りにある風を鎌鼬にして、的の金属の柱に攻撃してみてくれ」
葉司の命令で、龍蛇丸は周りに集めた風を、尻尾に集め思い切り尻尾を振った。
すると集まった風は尻尾を離れ、風の刃と成って金属柱を上下真っ二つに切り裂く。
ブゥオン
ッカシャン
スーゥ ドガシャン
金属柱の上半分が地上に落ちると同時に、風の刃を形作っていた風は霧散する。
「キュゥゥー」
鳴いた龍蛇丸の姿は、「どんなもんだ!」と言っている様。
ソレを見ていたスセリは、葉司に念話で言う。
(「凄い事思い付いたわね葉司、少し危ない気もするけど……」)
(「使う場所はキチンと考える、それと考えたのは太耀。それより鎌鼬ってこんなんで良いのか?」)
(「アレは鎌鼬なんで生易しいモノじゃないわ。陰気を打ち払う剣そのもの、強いて言えば払の御霊の剣」)
(「そんじゃ、この技の名前はフツノツルギだな」)
葉司が念話でそう言ったので、スセリは心の中で苦笑をしながら考える。
(……まぁいいでしょう。あの子やあの軍神がどんな反応するか気になるけど)
心の中で二神の顔を思い浮かべたスセリは、少し真を置いて葉司、北斗、太耀、恵理花に念話で言う。
(「さて四人共、そろそろキチンと練習を始めましょうか。内容は龍蛇丸を他の臣器三器が地上に落とす事」)
(「ちょっと待ったスセリ……――」)
葉司が念話でそう文句を言おうとするが、スセリはそれを無視して四人に念話を続ける。
(「ただし龍蛇丸は流鱗纏の状態を維持。龍蛇丸が地面に落とされるか、他の三器が龍蛇丸に吹き飛ばされた場合、終了とします。恵理花はどんな事があっても四人を助けてはいけません、見守る事も必要な時が有るのですから…… 良いですね?」)
(「分かった」)
念話で恵理花がそう返事をすると、スセリは葉司、北斗、太耀に……いや多分、葉司と北斗に向かって念話で言う。
(「虚蝶の事もあるし、開始の合図は貴方達に任せるわ。それじゃあやる気を出して頑張ってね、私も恵理花も見て居てあげるから」)
★★★★
「えっ、葉司お兄ちゃんと戦うの?」
葉司から、練習内容を通信用の鏡越しに聞いた虚蝶は、少し不安そうな顔をしてそう言い返した。
すると葉司が通信用の鏡越しに言う。
「大丈夫、お前は手加減してやるからさ。それより、そのお兄ちゃんっての止めてくんねぇか? 何かお前に言われると、不思議な感じがすんだよ」
北斗と太耀も、通信用の鏡越しに言葉を続ける。
「それ、ボクもお願い出来る?」
「僕も呼び捨てで呼んでくれ!」
「分かった……いや、やっぱり恥ずかしいから君付けて良い?」
虚蝶がそう返したので、通信用の鏡越しに他の三人は頷く。
「確かに、呼び捨ては年下の女の子には恥ずかしいか。悪かった虚蝶」
太耀に通信用の鏡越しにそう言われ、虚蝶は首を横に振った。
そんな虚蝶に、刻代が念話で話しかけて来る。
(「君ねぇ、何を感がえてるのかしら?」)
(「何でもないよ…… それより僕等の声聞こえるの?」)
(「埜依丸を通してね。ほら、練習始めなさい」)
刻代にそう念話で言われ、虚蝶は通信用の鏡越しに、恥ずかしそうに葉司に言う。
「それじゃお願い……葉司君」
「そんじゃ始めるか。龍蛇丸、流鱗纏はさっきと同じモノが基本で。行くぞ龍蛇丸、流鱗纏!」
ブオォォォォン
葉司がそう言うと、龍蛇丸は半透明な緑色の風を纏った、
そして葉司は言葉を続ける。
「お前等、簡単にぶつかんなよ!」
そう言いながら葉司は、狼王丸と鳳皇丸の方に向かって、龍蛇丸で向かって行く。
「狼王丸、艮比良の刀を!」
「鳳皇丸、龍蛇丸の真上に向かえ!」
ガコン ガコン ガコン
向かって来る龍蛇丸に、北斗は武器を生成し、狼王丸で向かって行き。太耀はある考えから、龍蛇丸の真上に鳳皇丸で移動する。
それを見ている虚蝶に、刻代が念話で言う。
しかし虚蝶は埜依丸を動かさない。
刻代は念話で虚蝶に聞く。
(「あら、貴女は行かないの?」)
(「邪魔にならないかなぁ?」)
(「ほら、一応貴女から練習に誘ったのよ。臣器での戦いに、操縦者の体は関係無い」)
(「分かってるけど……」)
虚蝶と刻代がそんな念話をしている一方で、北斗は艮比良の刀の刀身を伸ばし、龍蛇丸を逆刃で振り叩こうとする。
が、流鱗纏によって龍蛇丸の周りを吹き荒ぶ風の影響と、流鱗纏とは逆向きに刀を振った為、攻撃速度が著しく落ち、更に風に煽られる所為で上手く、刀を龍蛇丸に当てる事が出来ない。
「北斗。お前が面と向かって来るなんて、珍しいじゃねぇか」
通信用の鏡からの葉司の言葉を無視し、北斗は艮比良の刀の刀身を伸ばし、今度は狼王丸で突き攻撃を繰り出した。
ブォン
ガコン
狼王丸の攻撃は龍蛇丸に当ったものの、風の壁と間合いを取っている所為で、威力がある程度潰され思ったより威力が出ない。
「やっぱり風が邪魔で威力が落ちる…… だったら!」
そう言った北斗は、狼王丸に艮比良の刀を逆刃に咥えさせ、風が巻き起こっているのと同じ方向に刀を振る為、狼王丸の体を、流鱗纏の風の巻き起こっている方向に回転させる。
ブオン
それに伴い艮比良の刀の刀身は、伸びながら左下から右上に右切り上げの軌道を取り、北斗の考えた通り刀の振る速度は落ちなかった。
しかし今度は、攻撃が龍蛇丸に届かない……
いや正確に言うと、艮比良の刀がピクリとも動か成くなった。
「刀が動かない!」
驚いていそう言う北斗に、葉司が通信用の鏡越しに言う。
「北斗。お前、龍蛇丸が人工物操れるの忘れてねぇか」
刀を受け止めているポーズをしている葉司が、自信満々にそう言うと、通信用の鏡越しに太耀が話しかけて来る。
「北斗、葉司の動きをそのまま止めてろ
! 鳳皇丸、フォールダウンキック」