そして再度、スセリは緋衣に向かって言う。
「貴女の隠し事がアラハバキに関する事なら気にする事は無い。この子達の方が酷い失敗をしてるんだから」
スセリがそう言うと、狙われていない葉司が続ける。
「ひっでぇな、その通りだけどさ」
その言葉で大竜神の狙いが龍蛇丸に変わると、更に太耀も続けて言う。
「天狗丸の言葉からすると多分、緋衣さんの心がこのロボットに作用してるはずなんだ」
「スセリの言った事は本当よ! 私達だっで問題を起こしたの、だから緋衣さんを責めたりしないわ」
そして恵理花がそう言うと、北斗も続ける。
「お願い、隠している事を教えて!」
最後に薫が少し躊躇いながら、けれど少し力強く緋衣に言う。
「助けて下さい、緋衣さん!」
薫の言葉と同時に、大竜神の動きが鈍く成る。
「動きが鈍く成った……、覚悟は決まった?」
もう一人の自分が緋衣にそう聞くと、緋衣は首を横に振って話し出す。
「分かりません、でも頼ってくれた従姉弟やその友達ぐらいには……」
そこまで言った緋衣は深呼吸をし、外の薫達に向かって言う。
「ごめんなさい。話しは後でキチンとします、だから今は大竜神を!」
大竜神の動きが鈍く成り、緋衣の言葉を聞いたスセリは考える。
(心が持ち直したみたいね…… 理由は彼女のみが知ると言った所かしらね、後は……)
そう考えながら、スセリは葉司達三人に意識を向け言う。
「皆、今なら敵を振り切れる。合体よ」
スセリの言葉と同時に葉司達三人は、大竜神から臣器を離して距離を取り、集まったが合体の仕方が分からず困る。
「合体っ言っても、どうするんだよ!」
そう言う葉司に、太耀が言い返す。
「僕等が知る訳無いだろう!」
「こう言う時アニメとか特撮だと、製作者とか不思議な力が教えてくれるんだけど?」
北斗がそう言って三人が悩んでいると、葉司達の頭にオモイカネの念話が響く。
(「子供達よ、何故合体しない!」)
そのオモイカネの念話に少しムッとし、葉司は少し強めに大声で言い返す。
「だって、知らねぇものはやり様がねぇ!」
葉司のこの言葉を聞いて、太陽もオモイカネに少し強めに大声で言う。
「オモイカネが言い出したんだ、責任持って考えたらどうだ。知織の神様なんだろう?」
「そうだよ、無責任!」
更に北斗にも大声で怒られ、オモイカネは思う。
(無責任…… アマテラス様の補佐たる私が……)
プライドを傷付けられ、子供達からの名誉を挽回する為に、オモイカネは頭脳をフル回転させ合体方法を思い付く。
「胴体や手から前……、腕の曲げる所まで、それと脛から下は自然を制する狼王丸が良いだろう。背中は空中を飛ぶ為に鳳皇丸の翼が必要。そしてそれらを動かすのは生命の息吹足る龍蛇丸が良い。そう思いながら心を一つにし、臣器に命令すれば如何にか成る」
大声でそう言ったオモイカネに、太耀は呆れた様に大声で言い返す。
「どうにか成るって、オモイカネ……」
しかしオモイカネは物凄く真面目に、大声で言う。
「細かい事は考えるな! 我々は本質が変わらなければ何にでも姿を変える、出来ると思えば変われるのだ。形変わらぬのが臣器なら、臣器とは別のモノとすれば良い。大陸の道教を名に使うのは不本意だが…… 法と魂と物由り生まれし国を模した巨神、その名も三位一体…… 黄貴丸!」
オモイカネの話しを聞き、葉司は少し考えてから言う。
「……分かった、やって見るぞ二人共!」
((!))
葉司が真面目にそう言ったので、北斗も太耀も驚く。
「どうしたのさ葉司君、急に!」
北斗か葉司にそう聞くと、葉司は恥ずかしそうに言い返す。
「緋衣をあのままには出来ねぇだろう! 恵理花近付けるのも危ねぇし」
「分かった、やろう!」
太耀が真面目にそう言うと、北斗も返事をする。
「分かった!」
(「イメージは統一した方が良いだろう」)
オモイカネがそう念話を三人に送って来たが、太耀は葉司と北斗に、通信機能で代案を提案する。
「いや、僕と北斗で考えよう。葉司はこう言うの苦手だし」
「確かにその方が良いかも。じゃぁ龍蛇丸に武装するイメージで。葉司君は胴体の龍蛇の顔、邪魔だから外れる様にしといて」
北斗が葉司にそう説明すると、今度は太耀が北斗に言う。
「それなら鳳皇丸の余り部分は、足と肩パーツと兜にするからな北斗」
「OK、それじゃあ行くよ……」
「「合体だ!」」
以外にノリノリな北斗と太耀が同時にそう言うと、葉司はそれに文句を言って臣器の合体が始まる。
「お前等なぁ!」
まず龍蛇丸と狼王丸が宙に浮き、二器の獣の顔が本体から分離。
狼王丸の足が畳まれ、腿の所から90度回転。
その後、胴体は四分割し龍蛇丸の手足と合体。
鳳皇丸は鳳凰の頭のフサフサを模した部分が兜の様に分離し、同じ様に腿の部分から両足が本体から分離。
分離した両足は、腿の部分に爪部分が収納され龍蛇丸の肩に合体。
それと同時に鳳皇丸の本体は、首が付け根の所から後ろに折れ曲がり、胸腹部パーツと背中。翼、尾羽根の纏まったパーツに分離。
鳳皇丸の胸腹部は左右に割れて足パーツに成り、狼王丸から転じた足パーツの下に合体。
更に鳳皇丸の背中、翼、尾羽根の纏まったパーツが龍蛇丸の背中に合体すると、狼王丸の顔が狼王丸の胴体前側と合体。
狼王丸から転じた両前腕パーツから新たな両手が出現すると、鳳皇丸から分離した兜パーツを冠り、残った龍蛇丸の獣の顔を盾にして左手に持ち、右手に動鱗剣を持つと刀身が1.5倍に伸び合体は終了する。
それと同時に葉司の目の前に木の盾が現われ、葉司はそれを使む。
「皆、合体は上手く行った。後は敵の動きを止めるだけだ」
自信満々に大声でそう言ったオモイカネとは裏腹に、スセリは黄貴丸を無言で驚きながら見詰めており、隠れて見ている刻代はクスクス笑、一緒に居る澪はスセリ同様無言で驚きながら見詰めていた。
(まさか本当に合体するなんて…… いや、忘れ間違った考えをしていたのは私の方か。これなら亜神ヒルコを……)
スセリがそんな事を考えている頃、黄貴丸の内では太耀が通信機能で葉司に話し掛けている。
「葉司、黄貴丸の動きはお前に任せた。僕は飛行の制御をやる」
「それじゃボクは、狼王丸の力で出来るだけ行動の補助をするよ」
北斗がそう続けると、葉司は頷き言う。
「分かった」
そして緋衣に向かって続ける。
「緋衣、物凄く揺れるかもしれないから覚悟しろよ」
「分かりました…… それと遅いんですよ」
緋衣がそう言うと、黄貴丸は大竜神の剣を持つ右腕に向かって斬り掛かるが……
ガキン
ミシ ミシ
飛行と攻撃の動きが上手く合わず、大竜神に盾で攻撃を受け止められた。
「おい太耀!」
そう太耀に文句を言う葉司だが、逆に太耀に文句を言い返される。
「ぶっつけ本番なんだから、文句を言うな!」
「だったらボクが!」
北斗がそう言うと地面から生成された金属の刃が、空に居る大竜神の足目掛けて急激に伸びて行く。
ガシャン
そしてその刃が大竜神の足を貫くと、大竜神は体勢を崩し、その影響で動鱗剣は大竜神の盾から外れ、黄貴丸は空振りの様な状態に変わる。
太耀はその様子を確認すると、葉司に通信機能で指示を出す。
「相手の盾を斬り上げろ葉司!」
「てりゃ!」
葉司は太耀に言われた通り、そう叫びながら核の剣をやや斜め上に振り上げ、横貴丸は大竜神の盾を動鱗剣で斬り上げる。
ガッコン
横貴丸の斬り上げで、更に体勢を崩した大竜神の右腕を狙って、葉司は核の剣を振り下ろす。
「うりゃぁぁぁぁ!」
ガキュウン
ドガゴン
すると動鱗剣は大竜神の右腕を斬り落とし、切り落とされた右腕は地面に落ちた。
「もう一丁!」
更に葉司はそう言って身を翻しながら核の剣を水平に薙ぎ、黄貴丸は動鱗剣で大竜神の足を体から斬り離すと、北斗が大竜神の足に突き刺さった金属の刃を消し、大竜神の足は地上に落下する。
ガキュウン
ズドガゴン
「後は左腕を潰せば、無効化出来る」
太耀がそう言うと、北斗が聞き返す。
「でもあの盾はどうするの、さっき剣を受け止められたけど?」
「あっ、そうか?」
北斗の言葉で、葉司はそう言ってある事を思い出す。
「超動鱗剣!」
葉司は黄貴丸の剣にそう名前を付けてから、大竜神の左腕に斬り掛かる。
その攻撃を大竜神は盾で受け止めるが……
ミシミシ
ミシミシ
ドバキン
盾は動鱗剣の効果でボロボロに劣化して行き、斬り壊された。
「やっぱり。龍蛇丸じゃなくて黄貴丸の剣だから、名前を改めて付けないと名前の効果薄いんだ」
言い終わった葉司が、大竜神の左腕を狙って再度斬り掛かる。
「これで、最後だ!」
ガキュウン
ズドガゴン
葉司がそう叫び、黄貴丸が大竜神の左腕を斬り落とすと、そのまま動鱗剣と盾を投げ捨て、大竜神の両翼を両手で掴んで動けない様にした。
「終わったぞ緋衣。このロボット、目や胸からビームとか出ないよな?」
緋衣は葉司にそう聞われ、返事を返す。
「飛び道具の類は、誤って撃って被害が出そうだったので考えてません」
「それじゃ恵理花、後は頼む」
そう言った葉司に北斗が話しかける。
「一時はどうなる事かと思ったけど、どうにか終わったね」
「僕達は、半分ぐらい逃げてた気がするけど?」
呆れた様に、北斗にそう言った太耀に対し、葉司と北斗はクスクス笑う。
★★★★
緋衣の一件が終わり家に戻った澪は、刻代に自分に協力して欲しいと言われ悩んでいた。
自分には出来るはずがないと言う思いと、やってみたいとも思う気持ちの間で……
それが、得体の知れない女の子からの言葉で有ったとしても。
それは多分、太耀達にとって迷惑な事だと理解しながら。
澪は、刻代の提案を拒否する気持ちもまったく沸いて来ない。
彼女に恐怖心が沸かない事も有るが……
「貴女にあの子達と同じモノをあげる。だから私の為に友達と戦って頂戴」
それ以上に、彼女から貰った言葉が魅力的だったのだ。