「止めなさいつっても……」
葉司はスセリの念話にそう文句を言った。
ソニックプテラ、ガイアステゴ、ライトニングブラキオの動きに馴れて来ている為、多少押し返して来てはいるが、葉司達はまだ押され気味の戦いを続けていた。
「三人共、聞いて下さい。貴女達は騙されているんです!」
戻って来た緋衣が葉司達三人にそう言うと、葉司は聞き返す。
「どう言う事だよ?」
「アラハバキは貴方達を使って、この世を神々や妖怪の世界に浸食させる気です。このまま戦っていたら、人々が非現実を受け入れて現実世界が崩壊してしまいます!」
そう言った緋衣に太耀が反論する。
「違う。アラハバキは手下を使って人々の恐怖を煽り、その力を自分の力に代える気なんだ。だから僕達がっうわっ!」
太耀は話しの途中、鳳皇丸がソニックプテラに接触して操作空間が揺れる。
ガッシャッン
「信じて緋衣さん。ロボットを止めて話しを聞いて!」
そう緋衣を説得する北斗だが、緋衣はその言葉を否定する様に言い返す。
「嫌です。もしそのロボットモドキが貴方達の意思とは関係なく、襲って来たらどうするんです?」
「この分からず屋!」
葉司はそう言いながら、龍蛇丸で緋衣を捕まえようとするが、緋衣はそれを躱す。
「分からず屋で構いません! こうなったら私は、私自信を信じさせてもらいます!」
自分に言い聞かせる様に緋衣がそう言っている間に、恵理花と共にスセリの力で飛行しながらやって来た薫が、葉司達に合流した後緋衣に言う。
「止めて下さい緋衣さん。私達を信じて下さい!」
「薫君、どうやって結界の中に?」
薫の姿を見て驚く緋衣に、スセリが説明をする。
「私達が引き入れたのです」
恵理花からスセリの声が聞こえて来たので、緋衣は驚きスセリに聞く。
「……その声、もしや貴方がアラハバキの仲間ですか?」
そう言われたスセリは思う。
(間違ってはいないわね……)
「私の名前はスセリ。アラハバキを封印せし物、そして子供達に協力を求めし女神」
スセリが緋衣にそう名乗ると、緋衣はスセリに言い返す。
「だから信じないと言ったでしょう……」
(さっきも聞きましたが、スセリって確か…… でも本物とは限らないし……)
そう考えながら、緋衣は戦闘中の葉司達に目を向ける。
自分のロボットが押しているとは言え、勝てそうな気気配は無い。
(……仕方ありません)
緋衣は心の中でそう言った後、ソニックプテラ、ガイアステゴ、ライトニングブラキオに向かって言う。
「ソニックプテラ、ガイアステゴ、ライトニングブラキオ。合体です!」
するとガイアステゴ、ライトニングブラキオは中に受き、ソニックプテラと一緒に緋衣の近くに集まって行く。
その様子に葉司達は臣器の動きを止め、不思議そうに見詰めている。
「何を言ってるんですか緋衣さん!」
薫が驚いてっと言うか半分呆れた様に言うと、緋衣は大真面目な顔で右腕を水平に振り、鎮守の結界の内に居る全員に向かって言う。
「日本のロボットは複数体あったら合体出来る。これ常識です!」
「何言ってんだお前」
葉司が呆れてそう言うと、緋衣は自身満々な態度で反論する。
「分かってませんね、私達はオカルトファンタジーで戦ってるんですよ。合体すれば強く成る、ロボットにこれも常識だと私は知っています。強くなると思えば強くなるのです。その名も三竜合体、大竜神」
そして緋衣の言葉に反応する様にソニックプテラ、ガイアステゴ、ライトニングブラキオが変形して行く。
ライトニングブラキオは首が外れ、体の部分が足パーツに代わり。ガイアステゴの体は頭が胴体に収納され、背中部分が体から分離し、本体部分が胴体パーツへと変わる。ソニックプテラは頭が背中に折り込まれると胴体が真ん中から、蝶番の扉の様に割れ背中と腕パーツへと変わる。
そしてその三つが合体すると胴体部分の上部から顔が出現し、ライトニングブラキオの首は剣に、ガイアステゴの背中はコンパクトの様に開くとそのまま盾へと変わり、合体ロボットは剣を右手に盾を左てに持つ。
こうしてソニックプテラ、ガイアステゴ、ライトニングブラキオの三機は、胸にギザギザの模様が付いた大竜神と言うロボットに合体が完了する。
「うわ、本当に合体しちゃったよ!」
大竜神を見た太耀が驚いてそう言うと、緋衣は大竜神に命令を出す。
「大竜神。多少破壊しても良いので、敵の動きを止めて下さい!」
命令された大竜神は、臣器達に突っ込んで行く。
慌てた北斗が、大竜神の進行上に巨大な金属の壁を生成する。
しかし……
ザキューン
大竜神の剣は横薙ぎの一閃で、壁は真っ二つにされ崩れ落ちる。
ゴー ゴー ゴー
トッガッシャン
((!))
それを見た葉司、北斗、太耀は大竜神から距離を取り逃げ始め、同じモノを見ていたスセリは念話で三人に言う。
(「三人共、あの剣に当たってはいけません」)
幸い、大竜神は臣器の移動速度より遅い。
(「……まさか狼王丸の作った大壁を叩き斬るなんて、如何思います叔母様?」)
ククリにそう念話を送ったスセリに、ククリが念話を返す。
(「でも動きは遅い。アレも緋衣の心なら、緋衣はこのままだとその内自滅するでしょうね……」)
一方で薫と恵理花は、緋衣に向かって話し掛けている。
「止めさせて下さい緋衣さん!」
「お願い、ムキにならないで私達の話しを聞いて!」
緋衣は恵理花の言葉に反応し、少し怒りっぽく言い返す。
「挑発には乗りませんよ!」
「ほら、やっぱりムキに成っているじゃない」
緋衣と恵理花の会話の意図が分からない薫は、二人に聞く。
「どう言う事です?」
すると緋衣が、薫に強い口調で言う。
「……私は貴方達より、自分を信じたいだけです!」
「そう言うのを、ムキに成っているって言うのよ!」
恵理花がそう緋衣の言葉を否定すると、緋衣はムッとして言い返す。
「何よ、人の気も知らないで!」
「分かる訳無いじゃない、知って欲しいなら言いなさいよ!」
「そんな恥ずかしい事、言える訳無いでしょう!」
口ゲンカを始めた恵理花と緋衣を見ながら、スセリは考える。
(あら、思ったのと違う方に動いたわね。コレを紫織と桜に見せたらどんな反応するかしら……)
そんなスセリや逃げ回っている葉司達を他所に、二人の口ゲンカはエスカレートして行く。
「大体、そんな衣装着てて恥ずかしいも無いでしょう!」
オーバーリアクション気味な手振りで恵理花が緋衣にそう言うと、言われた緋衣もオーバーリアクション気味な手振りで言い返す。
「貴女の方も大概でしょう!」

「二人共、止めて下さい……」
そんなエスカレートする口ゲンカを止めようと、そう口を挟む薫だが……
「「薫君は黙ってて!」」
二人に一事で一蹴され黙り込む。
薫は辺りを見回し考える。
(このままじゃ……)
葉司達は未だに大竜神から逃げ回っているし、緋衣と恵理花は口ゲンカを止める気気配がない。
意を決し、薫は緋衣に力強く言う。
「聞いて下さい緋衣さん! どうしたら私達を信じてくれますか?」
すると緋衣と恵理花は口ゲンカを止め、二人共薫の方に視線を向ける。
そして緋衣は少し考えてから言う。
「言ったはずです、証拠でもない限り……」
「証拠なら有ります。物的証拠ではなく、状況証拠ですが……」
そう言って薫はズボンのポケットから手帳を取り出し、緋衣に見せた。
緋衣はそう言われた為、薫に近付き手帳を確認すると、薫から手帳を受け取った後、薫から距離を取る。
「前に言いましたが、私がアラハバキの事を知ったのはその手帳です」
薫がそう言うと、緋衣は聞き返す。
「それとコレと何の関係が有るんです?」
「その付箋のページに書いて有る、天津星神がアラハバキの事です」
そう薫に説明され、手帳の付箋のページを捲った緋衣の目に、確かに天津星神の名前が入っていた。
暫く間を開け、薫は俯いて言葉を続ける。
「アラハバキが復活してしまったのは、私達が原因なんです……」
薫の言葉に恵理花も俯き、少し力無く言う。
「本当よ、事故だったんだけど……」
薫と恵理花の説明を聞いて、緋衣は考える。
(……嘘と言う訳では無いでしょうね、付く意味が有りませんし。封印を見付けたが誤って破壊してしまい、自分達でどうにかしようとしている……と言った所ですか? 流石にそんな事、私にはおいそれと言えませんね……)
「止まって大竜神!」
緋衣がそう叫ぶと、大竜神の動きは止まった。
「何で……、何で私を誘ってくれなかったんですか!」
そう薫に言う緋衣に、薫は困った顔で言葉を返す。
「すみません。成り行きで…… それより私を怒らないんですか?」
「私が、この状況で怒れると思いますか?」
緋衣が薫にそう言い返すと、何所からかフォルテス星人の声が聞こえて来る。
「説得は上手く行った様だな。……ではコレから第二幕と行こうか」
そう言って突然現われたフォルテス星人は、緋衣を背後から軽く羽交い絞めにして自由を奪い、正体を現わす。
「貴方は……天狗丸!」
恵理花がそう言うと、何所からか別の二つの声が聞こえて来る。
「天狗丸だけではない」
「フフフ、久しいな」
そして風丸と鬼丸がそう言いながら、恵理花と薫の眼前に現われた。