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三十八話 ロイヤルガード

9本目のエーテルチャージを終えた所で、ようやく僕以外が塗ったであろう、既に赤い最外壁を見つけた。ここまでに倒したロイヤルガードよりも行き止まりの数の方が圧倒的に多く、ホルガさんの別れ際のセリフが身に染みた。塗料や補給にまだ余裕があったので、まだ塗られていない最外壁をもう少し探した方がいいのか、それとも言われた通りに一度中心エリアに戻った方が良いのだろうか…… 


しかしこの迷路の設計者、B2以上にここを抜けさせる気がないよな。迷路の形が変わるんじゃ、ダンジョン側の人間もまともに通過できないだろうに……


……………待てよ? おかしい。おかしいぞ。このダンジョン、僕ら外部侵入者には徹底的に排除する仕掛けになってるけど、どのエリアも通り抜け可能な構造にはなっていた。味方識別がしっかりしていれば、ダンジョン側の人間なら比較的簡単に通り抜けできるレベルでだ。でもこのフロアだけは、だれも通らせないような構造だ。おかしい。違和感がある。そうだ、まずそこを確かめないと。


まずは味方識別を確認する為、ロイヤルガードを探す。会いたくない時には現れて、こうして会いたい時にはなかなか現れないんだよなとぼやくと、目の前にいる。そしていきなり襲ってくる。わぁ、ちょっと待って。


テンプルナイツは僕と同じくらいの身長だったけど、ロイヤルガードはそれより一回り大きい。そして手に大きな盾を持つが、この盾の表面は棘がふんだんに敷き詰められていて、盾で殴ってくる。時には盾を構えて突進してきたり、このダンジョンの敵には珍しく、いろんな攻撃をしてくる相手だ。


僕の体より大きな盾が軽々と振り回され、尋常じゃない風切り音がする。軽く当たっただけでも吹き飛ばされるだろうな。攻撃の合間には隙は当然あるが、ガードは2重の鎧を纏っており、小柄では歯が立たなかった。長巻もあまり有効ではなさそうだ。


ならばテンプルナイツにも使ったように、足元を狙ってみる。両足を目一杯広げたスタンスを取り、盾の射程距離ぎりぎりに入る位置に立ち、相手の横振りを誘う。狙い通りに盾が横に振られた瞬間、前屈みどころか体全体を床に着く位に低くして攻撃を躱し、そのまま地面を薙ぐように長巻でテンプルガードの足首を横に切り裂く。この長巻は硬い物でも断ち切れるように、サギ女神に刃幅を二倍に厚くしてもらった特注品。ロイヤルガードの鎧に勝てるか不安だったけど、狙い通り左足の踝をぶった切り、右足の踝にぶつかった音を響かせて止まった。さすがに2本同時に切断は無理だったが、片方の足首を切り落としただけで十分だ。


刃を引いて地面すれすれにしていた体を起こすと、左足の支点を失ったロイヤルガードが前のめりになる。しかしその態勢でも、再び盾を僕に向かって振り下ろしてくる。その根性は見事だけど、逆に言えば片足しか踏ん張れない状態で出来ることは、盾を振り下ろす事だけ。そんな単純な攻撃に当たるほどお人好しではない。


金属と金属のぶつかる甲高い音が響き、空振りした盾が床と正面衝突している。盾を悠々と横に躱した僕はロイヤルガードに接近し、その側頭部にゼロ距離でブロウガンを放った。水入りバケツが2階から地面に落ちたような甲高い音が響いたが、矢針は鎧の表面に弾かれていた。しかしいくら鎧が硬くても、内部に伝わるエネルギーと衝撃波を防ぐことはできないし、たとえ兜が壊れなくても、それを支える首は無事では済まない。むち打ち症は怖いんだぜ。


右足首から先を失い、頭部に大きなダメージを負ったロイヤルガードは、盾から手を離しながら前のめりに床に倒れた。時間が経つと回復してしまうのでさっさと目的を果たそう。今回用があるのは味方識別が入っているはずの頭部だ。


……頭部にあるよね。普通、頭部だよね。ダンジョン設計者が変に裏をかいて胸部とか股間とかにあったらやだな。


ちょっと悩んだけど、とりあえず頭部に識別部分があるだろうという事にして、首を切り落とす。なんとなく申し訳ない気がするが、これも最終的にはダンジョンの為にもなること、許してくれと心の中で詫びつつ、長巻で首を落とす。


硬くて刃が通らない…… むち打ちから回復し始めてジタバタ動き出したガードに手を焼きつつ、何とか首を落とすと、そのまま本体の動きが止まった。やっぱり頭部が指示部分も担ってたんだな。だからきっと識別部分も頭部だよな。体とか股間とか探さなくてもいいよな。


秋田のなまはげを思い浮かべつつ、ガードの首を左手に持って迷路を中心に向かって進んでいく。アイトさんには見せられない姿だよな。そういえばアイトさん元気かな。……やばい、アイトさんが宝石買ってー!と強請って来たら買ってしまいそうな気がしてきた。サギ女神だったら平気なのにな。


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