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三十五話 従順への一歩

「サノじゃない。無事にモノポールの海をクリアしたんだって?」


「はい、何とか。あとアイトさんに今後の突破方法についても僕のやり方を教えておきました」


「まあ!それはいいわね。いい心がけだわ。アンタ、本当に見込みがあるわね!じゃあアイトから聞いてると思うけど、これからアンタはB9探索に入ってもらうわ」


「わかりました。ぜひやらせて下さい。具体的な指示をお願いします」


「そうねぇ、今B9は2つのチームが探索しているわ。ヘリオスチームとラウンズ組がそれぞれその名前なんだけど、アンタにはラウンズ組に入ってもらおうかしら。ラウンズって古参なんだけどイマイチ態度や成績が悪いのよね────」


いつもと違って、妙に丁寧な言葉づかいのサノさん。なんだろう、少しモヤモヤする。でもマール様はそんなサノさんの態度に気を良くしたみたい。ご機嫌で指示を出している。本当に私達を道具としてしか見てないんだ…… サノさんがB9の探索に入れば、きっと突破出来ると思うけど、それでもまだダンジョンは半分近く残ってる… いつまでこんな仕事が続くんだろう……


「アンタがB9に行く方法だけど、ラウンズに伝令を飛ばすから、近い内にそのメンバーがポータルに来るわ。それに同行して説明を受けながら現場に入りなさい。それまではポータルで準備やボディの検査をして待っていること。あと必要なら改造もしてあげる。何かある?」


「マール様の手を煩わして申し訳ありませんが、武器の改良をお願いできますでしょうか。具体的には───」


サノさんとマール様の会話がはずんでいる。また胸の中がモヤモヤする。しかももう、サノさんと一緒に探索する事はできない。それがとてもさみしい。サノさんは私と一緒じゃなくなってもさみしくないのかな。



会話が終わっても、サノさんと話す機会がほとんど無くなってしまった。サノさんは時間があればポータルの資料を読みふけっているし、エーテルボディの検査や武器の改造も進んで行っている。メデューサと戦った後、あんなに検査を嫌がってたくせに……


私もそろそろダンジョンに入って諜報活動をしなければならない。サノさんがダンジョンに戻ってきた時に、話ができれば良いな……



ポータルに戻ってきてどれだけ時間が経ったかな。ダンジョンと違ってここは外が見えるから、昼夜の変化は分かるけど、惑星の自転周期が41時間ちょっとなので計算しにくい。ただ不思議なのがサギ女神が使っている一日が24時間で一年が365日だという事。エーテルボディが自動で翻訳してくれているのか、それとも何か理由があるのか。


まぁそれは置いといて、とにかく今の目標はB9を誰よりも早く突破する事だ。B8まではフロア内の地図はポータルが保管しているけど、B9はそれがない。アイトさんが作ろうにも作れないと言っていた。なら現場で困らないように、いろいろ用意しておかないと。


そんなこんなでポータルに留まること5日、ホルガさんという方がB9からポータルに転送されてきた。マゼランポイントに補給に来た所で、そこでサギ女神がラウンズ組を呼んでいる事を知らされて、わざわざ来てくれたらしい。横柄なサギ女神の説明を一緒に聞きながら、僕はホルガさんと一緒にB9に向かう事になった。


ホルガさんが所属するチーム「ラウンズ組」は、7人のメンバーから構成されていて、皆が2年以上も探索しているベテラン達との事。同じくB9を探索しているヘリオスチームは2年に満たない若手のみのメンバーで、サギ女神の秘蔵っ子という事だった。探索して数ヶ月の自分が、なぜ新鋭揃いのヘリオスではなくラウンズに配属されたのかホルガさんに問われたが、マール様にあまり気に入られていないので、の一言で納得されてしまった。どれだけ好き嫌いが激しいんだ、あのサギ女神は。


「ふーん、地球から来たのか…… 俺はメイウェズって別の次元にある星から連れてこられた。もう3年経つかな……」


B5のコロシアムで、テンプルナイツの軍団を捌きながらホルガさんと会話する。クマ先輩は真っ向から力で鎧を叩き潰してたのが鮮烈だったけど、ホルガさんは華麗な武器捌きが印象的だった。


連接棍の一種だと思うけど、ヌンチャクを長くしたような打撃棒を両手に持ち、時には暴風のように振り回して周囲全体を吹き飛ばしたり、時にはドラム演奏のように叩きつけたりと、一人で何人ものテンプルナイツを捌き、圧倒していた。連接棍は片手だけでも扱いが難しそうなのに、二刀流というのが凄まじい。


さらに足技も巧みで、常にステップを刻んで同じ場所におらず、回し蹴りや飛び蹴りを操り、複数の敵に囲まれずに場を制圧していた。いやー、達人の武器捌きは芸術にまで昇華されるって本当だね。お金を払っても見る価値あるなぁ。


僕はホルガさんの名人芸を堪能しながら、コンパウンドボウで遠くの敵を狙撃する。4体ほど倒したあたりで、すでにまともに立っているテンプルナイツは居なかった。さすが最前線で戦っている先輩、圧巻である。

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