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十八話 閑話

 アイトさんが作ってくれた明かりが消えない内に、B4への扉に向かう。アイトさん自身はもう発光を止めているけど、あれキレイだったから時々見せてもらいたいな。


「お疲れ様です。やっぱりサノさん、すごいです。ムカデ相手に楽勝なんて……」


「いや、今回はアイトさんのお陰。僕一人だったら暗闇の中でウネウネ動き回るムカデを倒せなかったと思う。アイトさんが明かりを作って、さらにムカデを都合のいい位置におびき寄せてくれたんで倒せただけ」


「いえ、それでもすごいと思います。初見でムカデを倒した人は私が知る限りでも3人くらいしか居ません。私がダンジョンに入った頃は、新人探索者のほとんどがこのムカデにやられてポータルに戻ってました」


「そういう前の人が情報を残してくれたから、僕もムカデを倒せた。だからアイトさんや先輩たちのお陰だよ。そんなに褒めないでよ」


 これは紛れもない本心だ。僕一人だったらまず対処できなかっただろう。そもそも一人でこのフロアに来ていたら、生理的嫌悪感で戦うどころか撤退してたと思う。アイトさんがいたから、格好つけて戦っただけのような気もする。しかしダンジョンを脱出するたび、何度もここを通らなければならないのか……憂鬱だなぁ。


「いえ、大丈夫です。次のフロアにマゼランポイントが設置されていますので、そこまで到達すれば、次からそのマゼランポイントからダンジョンに入ってこれます」


「マゼランポイント?」


「はい、出張ポータルというべき中継地点です。B5に繋がる扉の前にあります。サノさんをそのマゼランポイントまで案内するのが私の役目です。ですのでB4クリアがとりあえずの目標になります。まさか2回目の探索でB4まで来れるとは思いませんでしたが……。ただ気をつけて下さい、B4はここまでと違って、フロアは広く複雑な上、フロア自体も攻撃してきます」


 そう言われて僕はポータルに蓄えられていたダンジョンの資料を思い出す。ただその資料、絵や写真がなく文章ばかりで構成されてるので、実際に自分で経験しないとイマイチ使えない。文章だけで先入観を持ってしまうのはあまり良くないし。結局、自分がフロアをクリアした後に、「ああ、あの資料はこれを説明してたんだな」と気付く方が多いのだ。


 そういう意味だと、ゲームの攻略本ってホント良く出来てると思う。マップや敵情報がわかりやすいし、世界観の解説とかも読むだけでワクワクするし。なかにはゲームを持ってなくても攻略本を買って楽しんでいる人もいると聞く。サギ女神もそういう「初心者向け!ダンジョン攻略本!」とか作ればいいのに。あの詐欺師、本当に面倒くさがりだよな。キレイな顔と薄い話術しか持ってない。札束のお風呂に入るとか、ウェストが一ヶ月で半分になったとか、もっと人を騙す努力をすれば、僕も多少は信じる気になるのにね。


「サノさん、考え事ですか?」


「あ、ごめん、ポータル情報を思い出してた。たしかB4は、敵も何種類か居るんだよね?」


「はい、数も種類もたくさんいます。ただちょっと不思議なんですが、襲いかかってくるのは一種類だけなんです。他の種類は混じっていません。一種類を倒すと、次の種類が出てくる、そんな感じです」


 なるほど、確か情報だとB4の敵は生物系中心のはず。ということは……


「多分、ムカデと同じで複数条件が組み込まれていないんだろうね」


「え?複数条件?サノさん、B4のナゾをもう解いちゃったんですか?やっぱり名探偵●ナンなんですか?」


「ちがうよワト●ン夫人。僕の事はホー●ズと呼びたまえよ。人が考案した物は、人が解明できるのさ、だっけ」


「ワ●ソンは男の助手で、ヒロインはハド●ン夫人ですよ。というかサノさんは、このダンジョンやモンスターは人が作った物、と考えているんですか?」


「ワ●ソンとハ●ソンって、ほとんど同じだよね」


「違いますって。サノさんって人の名前を覚えるのが苦手ですよね。マール様の名前も忘れてたし。それより誤魔化そうとしてますよね。ネズミが同じ個体だって事も含めて、いつ説明してくれるんですか?」


「マールって誰だっけ……?ああ、サギ女神か。あー、説明、説明ね……。いつしようかな。そのマゼランポイントに到着したらでいい?」


「はい、それでいいです。約束ですよ。絶対に説明してくださいね。私モヤモヤしてるんですから」


 そんな会話をしながら、B4の扉を開ける。アイトさんも通路と扉を開けた所だけは敵が襲ってこない安全地帯だと知っていた。ただ、それが思い込みだった場合、非常に怖い。僕がダンジョンの運営側だったら、その部分をジョーカーに使うよな……


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