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十五話 識別

 再びB1に戻ってきた。急いでさっき倒したネズミの死骸を探す。よかった、まだあった。


「アイトさん、僕がネズミ2匹持っていくから、1匹お願い」


「え?ネズミをどうするんですか?」


「実験」


 意味がわからないという顔をするアイトさんだけど、僕が急かすとわかりましたといってネズミ1匹を軽々と持ち上げた。戦闘用ボディでなくても膂力があるんだな。


 フロア同士を繋ぐ扉と通路は広くて、ネズミ2匹を両肩に担いだ僕でも、余裕で通り抜けられた。そしてB2に入り、床に死骸を一旦置く。B2フロアは入口とロボットまで20mほど空間があって、入口近くにいる限りはロボットは攻撃してこない。ただロボット近くの緑色の床に、白線が引いてある。多分、あの白線を越えると攻撃してくるのだろうな。


「さて、安全装置と味方識別はちゃんと装備されてるのかな?」


 そう言いながら、球体ロボットに向かってネズミの死骸を持って近づいていく。床の白線手前まで来ると、ロボットが一斉にこちらを見るような動きをする。うわ、めっちゃ怖い。


 さあ実験だ。手に抱えていたネズミの死骸をロボットに向けて思いっきり投げてみる。狙い通りにロボットの表面に結構な勢いで当たったが、その際にアームが咄嗟にネズミに当たらないように避ける動作をしたのを確かに見た。そしてネズミの死骸は丸い表面に沿って、そのままロボットとロボットの間に落ちた。なるほど。


 再び入口近くに戻り、もう一匹のネズミの死骸を、今度は頭上に持ち上げた。その姿勢のまま、ゆっくりロボットに向かって歩く。緊張の一瞬だ。


 いつでもバックステップ出来るように準備をしつつ、ゆっくり白線を一歩越える……ロボットはこちらを向いているが、予想通り攻撃してこなかった。あー良かった。


 そのまま一列目のロボットの隙間を通り抜けようとすると、一列目の球体ロボットが回転し、こちらにハルバード付きのアームを向けてきた。そして天井も円盤ロボットが中華包丁を回転させながら集まってくるが、一定距離まで近づくと停止した。ちゃんとネズミを識別しているようだ。最終確認としてネズミをハルバードに近づけると、それを避けるようにアームが動く。これなら大丈夫だろう。


「アイトさんもネズミを担いで僕についてきて。大丈夫だから」


 僕の実験をハラハラしながら見守っていたアイトさんも、なんとなく理解したようで、ネズミを抱えてこちらに歩いてきた。ちくしょう、死んでるネズミのくせに抱っこされて羨ましい。



「まさかこんな方法があるなんて……」


 最後までおっかなびっくりだったけど、ロボットの大群を無事突破し、僕とアイトさんは無事にB3につながる扉をくぐる事ができた。ネズミの死体はB2のフロアに置かず、そのまま次のフロアに持っていく。


「ロボットとかの無人兵器って基本的に攻撃が味方に当たらないように設計されてて、味方の識別と、もし味方だったら攻撃しないように安全装置が付いてるんだよね。このネズミもちゃんと識別が付いていたから、ロボットの安全装置が作動して攻撃して来なかったんだよ」


「じゃあもしネズミにその識別が無かったら、B2を突破できなくなりますね」


「まあその時は、あのロボット1体を何とか無力化して床から引っこ抜いて、転がしながら移動すればいいかな」


「えー、それ大変そうです……」


 このダンジョンの設計はものすごくしっかりしていて、ネズミにもきちんと味方識別を入れていたし、ロボットにも同士打ちの防止機能を入れていた。素晴らしい。B1も完璧な清掃機能が今も働いてたし、設計者は基本に忠実な人なんだろう。性格悪そうだけど、なんとなく仲良くなれそうだ。

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