第8話
当たり前の日々に退屈していますか?突然、当たり前ではない日常に放り込まれたら、貴方は何をしているでしょうか?
「川に入るのでちゃんと捕まっててくださいね。」
ボクはマッスルポーズのまま、川に入り渡り始めた。
(本当に膝程度の水深だ、これなら大丈夫そう。)
「ははははは、シン、君は凄いなぁ!」
王子ははしゃいで、ボクは親戚の小さな子供と遊んでるのはこんな気持ちなのか?
と思いながら進んで行った。
向こう岸に辿り着き、ボクはしゃがみ込んで2人を降ろした。
「シン、見事な働きだ。
君のおかげで川を渡る事が出来た。」
「たいした事では無いです、無事渡れて良かった。」
ボクがそう伝えるとダガルが近くに寄り、胸に手をあてながら話しかけてきた。
「シン殿、あなたの先程の見事な働きを見てもう一つ頼み事があります。
薬草はここから進んだ先の谷にのみ生えています。
私どもでは降りるのに非常に時間を要しますが、シン殿であれば先程の川の様にあっという間に薬草の場所まで届くかと。
お力添えを頂きたい。」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
そう言って川を後にし、足早の2人の後をゆっくりとついていった。
今日も1日無事過ごせて良かった。






