第7話
当たり前の日々に退屈していますか?突然、当たり前ではない日常に放り込まれたら、貴方は何をしているでしょうか?
「川の深さはどのくらい何ですか?」
「深い場所では私どもの胸元まで到達します。
そしてこの流れの速さ。
容易には超えられない川なのです。」
そんな厳しい場所なのに、母親の為に薬草を採りに行くだなんて、なんて親想いなんだろう。
ボクはいつも母親を怒らせてばかりで、リオン王子に申し訳ない気持ちになって下を向いた。
その時たまたま視野に入ったダガルと自分を見比べると、彼らの胸元がボクの膝程度である事に気付いた。
「お二人に提案があります。」
ボクは右手にリオン王子を左手にダガルを子供が父親の腕にぶら下がるかの様に掴まってもらう事にした。
しゃがんで腕を差し出し、2人にしっかり捕まってもらうと、「ふんっ」と掛け声をかけて立ち上がり、2人を腕で持ち上げた。
「おぉ、高い!
もう少しで森の木々達と同じ高さじゃないか!
なぁ、ダガル?」
「そ、そうですなぁ、王子。」
ダガルは高い所は苦手そうだ。
ボクは運動神経が良くはないし、力もそんなに無いと思ってたから、もっと重く感じるかと思ってたが2人は思ったよりも軽く、例えるならぬいぐるみを持ち上げた様な感覚だった。
今日も1日無事過ごせて良かった。