第5話
当たり前の日々に退屈していますか?突然、当たり前ではない日常に放り込まれたら、貴方は何をしているでしょうか?
お爺さんは胸に手を当てて一礼してから
「どなたか存じませんが、深く感謝申し上げます。」
と話し始めた。
「私はトザス王国の老兵、ダガルと申します。」
老兵はボクの方をチラッと見た。
「あ、あぁ、ボクは里山心です。」
「サトヤマシンとは変わったお名前ですなぁ。
身体も非常に大きい。
我々のゆうに3倍はありましょうか。」
ボクはふくらはぎをくすぐられる様な感覚を覚え、目を向けるともう1人の若者がボクの足を触っていた。
「シン!
君は何でこんなに大きいんだ?」
「王子!
不用意に近づかれては困ります。」
ダガルが若者の側によってボクから引き離した。
「王子…?」
ポカンとしているボクを見て老兵ダガルは話し始めた。
「ここにおられるのトザス王国の王子、リオン様でおられます。」
「王子様……
王子様がなんでこんな所に?」
「リオン王子の母君であるライン妃のご体調が芳しくなく、妃の身を案じたリオン王子がこの川の向こう岸の谷のみ生えているという薬草をお忍びで探しに参りました。
運悪くグリズリーに遭遇した所に貴方様に助けて頂いた次第です。」
今日も1日無事過ごせて良かった。