第33話 かっこいいセリフだけど、それ死亡フラグなんだよな①
「んー! 久しぶりの空!」
「体感時間だと三日振りくらいの外だからな。外部時間だと五時間しか経ってないけど」
「五時間も経ってるんだよ? 早くメッセージ返さないと!」
朱莉は焦ってスマホを確認する。
チラリと見えた朱莉のスマホにはかなりの数の通知が来ていた。
そして、それぞれにすごいスピードで返信を返していく。
すごい、指の残像が見えるぞ。
朱莉は必死な表情でメッセージに返信していく。
今時の女子高生は既読をつけたら即行でメッセージを返さないとハブにされるらしいからな。
女子高生は大変だな。
「京子はいいのか?」
「私はあかりちゃんほど友達が多くないので。メッセージも二件くらいきてましたが、返信済みです」
「……そうか」
「あ、別に私の友達が少ないわけじゃないですよ。あかりちゃんの友達が多いだけです。それに、私もあかりちゃんもバイトしてる事になってるので、メッセージの返信が遅れてもそこまで何も言われませんし。言ってくる子はいますけど」
いや、別に京子の友達が少ないとか考えてないんだが。
友達が常にほぼゼロの俺がそんなこと考えるなんて烏滸がましいし。
それより、京子はいつの間に返信したんだ?
やっぱり女子高生は大変だ。
「あれ?」
「どうかしたのか?」
「なんか、着信がいっぱいきてる。斉藤? あ、刑事さんからだ。なんだろ? サグルっちの方にも来てる?」
「え? あ、俺にも着信が来てる」
朱莉に言われてスマホを確認すると、俺のスマホにもかなりの数の着信が来ていた。
俺の方は佐々木さんからだ。
これは掛け直した方がいいのかな?
ーーブー。ブー。
「あ。ちょうどかかってきた」
かけ直そうかと考えていると、ちょうどスマホに着信が入った。
佐々木さんからだ。
俺はとりあえず、電話に出てみる。
「もしもし」
『やっと繋がった! 大穴さんですか?』
「……はい」
電話の向こうから佐々木さんの声が聞こえてくる。
かなり焦っている様子だ。
何かあったみたいだ。
『有村朱莉さんと連絡が取れないんですが、一緒にいませんか?』
「今一緒にいます。さっきまで一緒にダ……バイトしていたので」
『本当ですか! よかった。斉藤! 朱莉さん無事だそうだ』
電話の向こうから斉藤さんの喜ぶ声が聞こえてくる。
どうやら、斉藤さんも一緒にいるらしい。
今日は日曜日なのに仕事かな?
警察は大変だ。
「朱莉に代わった方がいいですか?」
『いえ。今斉藤の方から連絡しようとしているので大丈夫です』
「そうですか」
横を見ると、朱莉も電話に出ていた。
相手は斉藤という刑事さんのようだ。
向こうも真剣な感じだ。
「何かあったんですか?」
『……落ち着いて聞いてください。病院にいた有村美香さんが失踪しました』
「「えぇ!」」
俺と朱莉の声がハモった。
俺と朱莉は顔を見合わせる。
どうやら同じタイミングで同じことを聞かされたようだ。
***
佐々木さんの話では、数分前、担当の女性看護師さんが美香さんの病室に検温のために向かうと、忽然といなくなっていたそうだ。
美香さんの部屋から外に出ようと思うと、ナースステーションの前を通る必要があり、外室したとは考えにくい。
窓は全開だったが、美香さんの病室は病院の五階にあり、窓から出たとは考えられないそうだ。
『事件性があるかどうかはわかりません。今のところ目撃者は見つかっていません。防犯カメラの確認を急いでいますが、何分、精神疾患の患者が入院する病院ですので、防犯カメラも最低限しか設置されておらず、捜査は難航しています』
「そうですか」
『当分の間、大穴さんには朱莉さんと一緒にいてもらってもいいでしょうか? こちらからも応援を送りたいのですが、まだ事件かどうかもわかっていませんので』
「わかりました。朱莉のそばにいるようにします」
『お願いします』
俺が通話を切ると、ほぼ同じタイミングで朱莉も通話を切る。
その顔は白を通り越して真っ青になっていた。
「サグルっち。もしかしたら」
「あぁ。多分、竜也の部下の仕業だ」
誰にも見つからずに警察病院に侵入するなんて普通不可能だ。
だが、ダンジョンGo!のアプリを使えば可能だ。
帰りだって、戦士の身体能力があれば五階から飛び降りることだってできるだろう。
魔法使いに空を飛ぶスキルとかもあるかもしれないし。
そして、多分奴らのターゲットは俺たちだ。
前に攻めてきた時も見せしめに俺たちを殺すみたいなことを言っていた。
美香さんを誘拐して俺たちを誘き出すつもりなんだろう。
「……一旦家に戻ろう。何かメッセージがあるかもしれない」
「……そうですね」
俺たちは急いで朱莉の家へと向かった。




