第32話【急募】優秀な生産職③
「へー。そんな称号持ってたんですね」
「ユニーク称号か。便利そうでいいなー。私も何か取れないかなー?」
二人の反応は相当軽いものだった。
こうなる予想もあったが、予想していた中で一番軽い反応だったので、少しホッとした。
「……ねぇ。称号のことは黙っていてもオッケーって事にしない? この称号って結構恥ずかしいのもあるし。実は私もサグルっちには言ってない称号あるんだ(『一途』の称号とか、持ってるのバレたら私の気持ちがバレちゃうじゃん)」
「そうですね。それがいいと思います(サグルさんに『性女』のスキルを持ってることがバレたら私死んじゃいます)」
「そうか? ……確かにそれがいいかもしれないな」
スキルはダンジョン外の行動も影響して発生する。
だから、持っているとバレると恥ずかしい称号もある。
俺の『強面』とかもそうだし。
忍者がランクアップした時に得た称号だ。
強面顔だと得られる称号らしい。
思わず、スマホを投げ捨てそうになってしまった。
俺のコンプレックスを的確に突いてくるんじゃねぇよ!
しかも、結構有用なのがまたムカつく。
これのおかげで相手の意識を一気に惹きつけ、場合によっては相手を恐慌状態にする『威圧』のスキルを得た。
後衛の京子が貧弱なうちのパーティではかなり有用なスキルだ。
条件は他にもあるのかもしれないが、多分、称号をつけられるだけの魔力が溜まったから発現したのだと思う。
『一閃』みたいに、スキルにはなっていないがよく使っている行動がレベルアップの時にスキルとして発現することの延長だろう。
こうやって発現する称号はあまり人には知られたくないのが多くなりそうだ。
もし俺にむっつりスケベの称号とかが付いたら二人には知られたくないし。
「決まり! 称号は今後も公開しないってことで。何か使えそうなスキルとかはその内容だけ伝えること」
「異議なしです」
「オッケー。俺も異議はない」
朱莉の決定が採用され、俺たちはとりあえず、称号については秘匿してもいい事に決まった。
「それで、サグルっちのセカンドジョブだけど、私も今のままNINJAでいいんじゃないかと思う。今は竜也ってやつを超えるのが最優先だし。私たちの中で一番強いサグルっちの成長が最優先っしょ」
「私もそう思います」
「二人ともありがとう。そうさせてもらうよ」
二人の賛同も得られたので、心置きなくセカンドジョブにNINJAをセットできる。
「それに、これからEランクダンジョンに潜るんだし、ダンジョン内で誰か他の探索者にも会うでしょ。今までは避けてたけど、避けなければ会えると思うし」
「そうだな」
俺たちは今までできるだけ別の探索者に会うのを避けていた。
俺たちのいないところでモンスターが倒されればそこに探索者がいるということがわかる。
だから、別の探索者と接触しないようにするのは比較的簡単なのだ。
向こうも用がなければ近づいてこないし、近づいてきているようならさっさと逃げてたしな。
Eランクダンジョンに潜っている中で俺たちは討伐速度も移動スピードも速い方だ。
向こうから近づいてきても逃げ切るのは容易だ。
つまり、こっちから会いにいくことも簡単だということだ。
「ダンジョン内に生産職の人はいないかもしれないけど、知り合いの生産職とかいるかもしれないじゃん?」
「生産職の人を紹介してもらえなくても、掲示板とか、生産職探しができそうな場所を教えてもらえればいいんだし」
「そうですね。ケンタに掲示板を聞いておかなかったのが悔やまれます。まあ、聞いても教えてもらえなかったかもしれませんが」
京子の昔のパーティメンバーのケンタというやつから探索者だけが見られる掲示板が存在すると教えてくれていた。
何度も探して見ているが、いまだ発見できていない。
やっぱり、探索者にURLを教えてもらわないと辿り着けないようだ。
俺たちは今まで探索者の知り合いを増やそうとしてなかったが、やっぱりいた方がいい。
この先行く事になるCランクのダンジョンがどうなってるのかとかもできれば知りたいし。
「よし、じゃあ、あしたからのEランクダンジョン探索で、ドロップアイテムを探すついでに、探索者パーティも探すってことでいいか?」
「大丈夫です」
「私も大丈夫」
「じゃあ、他に何もなければダンジョンから脱出するか」
「私は大丈夫! キョウちゃんは?」
「私も特に話し合っておきたいことはないかな」
「じゃあ、脱出するぞ」
「はい」「りょ」
俺たちはDランクダンジョンから脱出した。




