第28話 王道が一番危険と相場が決まっている。③
「確かに、今日は武器が壊れまくってるからな」
「多分だけど、Dランクモンスターの格と武器の格が合ってないんだよ」
「……それはあり得そうだな」
実は、今日は戦闘中に武器が壊れまくっていた。
今までは全く壊れなかったのにだ。
一本目が壊れた時は寿命かと思ったが、二本目、三本目と続けば、それがただの偶然ではないことはわかる。
名作ゲームの某王女の伝説ばりに壊れまくってたからな。
確かに、朱莉の言うとおり、武器の格がモンスターの格と合っていないというのはあり得そうだ。
ステータスによるゴリ押しでなんとかモンスターを倒せてはいるが、武器の方が持たないんだろう。
ジョブを一旦見習い鍛冶師に変更し、売らずに残しておいたドロップアイテムを使えば武器を作るのは一瞬だから、そこまで問題にはなっていないが、しょっちゅう武器が壊れるのは結構めんどくさい。
かといって、Dランクダンジョンのモンスターからドロップするアイテムで武器を作るには、ジョブのランクが足りない。
どうやら、見習い鍛冶師から鍛冶師にクラスアップしないとDランク以上のアイテムは使えないようなのだ。
鍛冶師の伝手がない俺たちは仕方なくEランクダンジョン産のアイテムを使って作った武器を使い続けていた。
Eランクダンジョン産のアイテムを使って作った武器でも品質が高ければなんとかなるのかもしれないが、俺たちでは低品質以上の武器を作ることができないし。
「Dランクダンジョンの宝箱からドロップする武器なら多分大丈夫でしょ?」
「確かに、あかりちゃんの意見はもっともだと思います」
「そうだな」
自分たちで作れないなら、ドロップする武器を狙えばいい。
確かにDランクダンジョンでドロップした武器なら、Dランクダンジョンのモンスターに対して不足ということは無いと思う。
「モンスターからはほとんどドロップしないみたいだけど、宝箱からなら武器とかも出てきそうじゃない?」
「確かに」
今までモンスターからドロップしたアイテムは京子が今つけているネックレスだけだ。
モンスターがアイテムを落とす確率はかなり低いんだと思う。
だが、宝箱なら武器が手に入る可能性も十分にあると思う。
これまでは一度しか宝箱を開けていないが、その中身が中級ポーションっていう貴重なものだったし。
「このペースで壊れられると、このダンジョンを攻略した頃にはドロップアイテムが無くなっちゃいそうだし。宝箱を狙うのは俺も賛成だ」
売らずに残しておいたドロップアイテムはそこまで多くない。
前回のEランクダンジョンの探索前に全て売ってしまったので、探索一回で手に入るアイテムくらいの量だ。
こんなことになるなら、もっと残しておいたのだが、流石にこれは予想できなかった。
それに、一回のダンジョン探索でEランクダンジョンに一回潜った分のドロップアイテムを使い切るということは、DランクダンジョンとEランクダンジョンを交互に潜らないといけないということだ。
それはかなりめんどくさい。
EランクダンジョンとDランクダンジョンでは儲けが十倍近く違うからな。
知らなければ気にならなかったが、知ってしまえば儲けの少ないところには行きたくなくなってしまう。
ダンジョンの宝箱を開けまくってドロップアイテムを狙うというのは合理的に思える。
「よし、そうと決まれば、この道を進もう! 大丈夫。トラップは私が解除するから」
「それもそうだな」
「あかりちゃんがトラップを解除してくれるなら安心です」
よく考えると、今回は朱莉がいるのだ。
どんなトラップだろうと、発動前に解除してしまえばなんの問題もない。
「行くぞー!」
「「おー!」」
朱莉は右腕を振り上げて号令をかける。
俺と京子も右腕を振り上げて朱莉の号令に答えた。
***
「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
数分後、俺たちは転がってくる大玉から必死で逃げていた。
後ろからはゴロゴロと恐ろしい音を立てながら大岩が迫ってきている。
匠によって磨き抜かれたかのような美しい球形が今はめちゃくちゃ憎らしい。
「朱莉〜!! 早く解除してくれぇぇ!!」
「あかりちゃん! お願いしますー!」
「ムリムリムリ! 動いてるトラップなんて解除できないよ!」
「「えぇぇぇぇぇ!」」
「ごめーん! でも、見つける前にトラップが発動するなんて思わないじゃん!!」
俺たちは慎重にトラップのある道を進んだが、朱莉がトラップを見つける前に大玉のトラップは発動してしまった。
朱莉はトラップ解除に少し時間がかかるらしく、すでに発動してしまったトラップは解除できないらしい。
すでに上り坂が始まったところは通り過ぎているが、大玉トラップは止む気配を見せない。
ここから先はかなり長い一本道だったはずだ。
つまり、トラップから逃げ切れるのは当分先になる。
もしかしたら、このトラップのために長い一本道だったのかもしれない。
唯一の救いは、行きに全部のトラップを解除しているので、トラップを気にせず逃げられることか。
小さいトラップも全部解除してもらっておいてよかった。
今後も避けられそうなトラップでも解除してもらうようにしておこう。
だが、問題はある。
「……」
「「はぁ。はぁ」」
俺はチラリと朱莉と京子の方を見る。
俺はジョブ補正もあり、まだ余裕だが、朱莉と京子は結構きつそうだ。
一本道の出口まで持つかは微妙なところだ。
何より問題なのはこの間と違い、今日は京子が聖域を発動していない。
つまり、トラップのダメージをHPで受けることになるということだ。
朱莉も京子もレベルは上がってきているが、生き残れるかわからない。
(やるしかないか)
俺はトラップに対処する決意を決めた。




