第27話 王道が一番危険と相場が決まっている。②
「二階層も一階層と大して変わらないな」
「同じランクのダンジョンですからね、そうそうかわらないと思いますよ」
「それもそうか」
二階層に降りてみたが、一階層と大して変わらなかった。
モンスターもそこまで強くなっていなかったし。
確かに、Eランクダンジョンでも下の階層に進むほどモンスターは強くなるが、そこまで大きな変化はない。
Eランクダンジョンの最下層とDランクダンジョンの一階層でレベルが全然違ったので、少し敏感になっていたようだ。
これならDランクダンジョンの二階層でも問題なさそうだな。
「トラップはちょっとだけ解除しにくくなってるけどね」
「やっぱりそうなのか? モンスターも少し強くなってたから、トラップも強くなってるんじゃないかとは思ってたけど」
「うん。一階層とスキルの手応えが違うし、消費SPが増えてるみたいだから、解除は難しくなってる。まだまだ大丈夫だけど。……はい、終わり」
朱莉は自信満々にそういって今取り掛かっていたトラップを解除する。
二階層に入った直後は念の為京子に聖域を張ってもらったが、結局トラップには一度も引っかかっていない。
トラップ解除もそこまで大変そうでもないし、余裕というのは事実なんだろう。
俺の方はまたスキルを使わないとモンスターを一撃では仕留められなくなっていてちょっとやばいなと思ってるのに。
まあ、SPも増えてるから、毎回スキルを使っても全然問題ないんだけど。
「あ」
「ん? どうした?」
「……ちょっと上り坂になってるからこの先に大きめのトラップがあるかも」
上り坂になってるか?
俺は周りをキョロキョロと見回してみるが、全然わからない。
京子も同じみたいだ。
欠陥住宅の検証動画みたいにビー玉とかを地面に置けば転がっていくのかもしれないが、その程度にしか傾斜になっていないと思う。
朱莉はよく気付くな。
「あかりちゃん。大きめのトラップって何?」
「わかんないけど、キョウちゃんが前に言ってた大玉が転がってくるやつかも」
「「あれかー」」
前回のDランクダンジョン探索の時に出会った大玉が転がってくるトラップだ。
あれが探索を諦めたきっかけだと言っても過言ではないかもしれない。
あれに追いかけられるのは相当怖かったからな。
トラップが出てくる映画とかには必ず出てくるトラップの王道中の王道とはいえまさか自分が遭うとは思わなかったんだよな。
「どうする? 解除できるかもしれないけど、迂回する?」
「「迂回しよう」」
HPがあるし、京子の聖域も発動していたから、あのトラップを喰らってても死にはしなかったと思うが、自分の数十倍もある石製の大玉が迫り来るのには結構な恐怖があった。
ビジュアル的には一番印象に残ったトラップだ。
避けられるなら避けたい。
ここまでかなり長い一本道だったので、迂回するとかなりの大回りになってしまうが、背に腹はかえられない。
「……」
俺たちは回避一択だと思って引き換えそうとしていたが、朱莉はトラップのある方の通路が気になるみたいだ。
「朱莉は行きたいのか?」
「ちょっとね。この先に宝箱がありそうだから」
「……なるほど」
Dランクのダンジョンから、宝箱が設置されるようになっていた。
増えたのはトラップだけではなかったらしい。
トラップの先にモンスターのいない小部屋があり、宝箱がありそうだ。
実は、一階層でも一度宝箱を見つけていた。
中身は中級ポーションで、Dランクダンジョンのドロップの中でもかなりいい物だった。
中級ポーションになると、HPの回復量が上がるというのもあるが、古傷なんかも治せるようだ。
流石に部位欠損までは治せないらしいが。
聖女の『高回復』でも古傷なんかは治せないので、これはかなりすごいと思う。
ちなみに一番いいドロップは偽エリクサーらしい。
偽とついているが、効果はかなり高く、HPの回復だけじゃなくて毒や呪いなんかも解除してくれる。
完璧ではないが、Dランクで出てくる呪いなんかは間違いなく解除してくれるそうだ。
ヘルプにそう書かれていた。
つまり、もしもの場合でも、偽エリクサーがあれば大丈夫と運営側が保証してくれているということだ。
今の所、京子の『快癒』で解除できないものには出会っていないが、そっちは絶対大丈夫とは言い切れない。
偽エリクサーのように運営が保証してくれてるわけじゃないからな。
だから、もしもの時のために一本持っておきたいという気持ちもある。
だが、あの大玉トラップに出会う可能性があっても手にいれたいかと聞かれると、疑問が残る。
「宝箱の中には武器とかもあるかもしれないじゃん? サグルっちの今使ってる武器もそろそろ限界でしょ?」
「あ〜」
俺は自分の武器に目をやる。
実は、この短刀は今日六本目の短刀だった。




