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【書籍化】高卒、無職、ボッチの俺が、現代ダンジョンで億を稼げたワケ〜会社が倒産して無職になったので、今日から秘密のダンジョンに潜って稼いでいこうと思います〜  作者: 砂糖 多労
第五章 ボッチ男とSランクダンジョンの島【後編】

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第24話 『大穴探を排除しろ』④

「ただいまー」

「あ! 美優ちゃん! 優子さんが!!」

「!!」


 美優たちが自分の部屋に帰ると、中から涼子ちゃんが飛び出してきた。

 その様子から、美優は何かが起きたことをすぐに理解した。


 美優は涼子の隣をすり抜けて優子のいる部屋へと向かう。


 優子の部屋では秋子ちゃんたちが心配そうにベッドで横になる優子の顔を覗き込んでいた。


「優子姉ちゃん!!」

「あ、あら、美優。ゴホゴホ。お帰りなさい。ちゃんと手は洗った?」


 美優が入り口から優子に声をかけると、優子はゆっくりと体を起こそうとする。

 だが、それすら辛いのか、咳き込んでしまって上半身を起こすことすらできなかった。


 美優は優子に駆け寄ってその手を取る。

 優子は美優に触られまいと手を引っ込めようとしたが、その動きすら緩慢で、その手は美優に簡単に捕まってしまった。


「熱い」

「……」


 美優が手に負った優子の手は予想以上の熱を持っていた。

 まるで燃えるようだ。


「!!」


 美優はまさかと思い、優子の右袖を捲り上げる。

 そこには、毒々しい色の蛇の紋様が刻み付けられていた。


 しかもその紋様はまるで脈打つように蠢いている。


「濃くなってる!」

「……」


 その紋様は呪いの刻印だった。

 美優は自分の右袖も捲り上げ、そこにある呪印を確認する。

 自分の方の呪印にはなんの変化もなかった。


「どうして!!」

「……よかった。美優は。平気なのね」

「おねぇちゃん……」


 どこでどういうふうにつけられたかは優子もわからない。

 だが、美優がユニークスキルに目覚めてしばらくすると、美優と優子の右腕にその刻印が浮き出てきた。


 初めはその紋様の意味がわかっていなかった。

 まだ幼かった美優は優子と同じ呪印を見て「いっしょだね」とか言っていたくらいだ。


 だが、それが何なのかはすぐに分かった。

 呪印が浮かび上がった次の日、変な男たちがやってきた。

 その男たちは純血主義者と名乗り、自分達の命令を聞くようにと言ってきた。


 その場で反抗しようとした美優は呪印によって苦しめられ、そこで初めて自分の腕に浮かんだ紋様がよくないものであることに気づいた。


 男たちは呪印を使っていつでも二人を殺せることや、もし反抗すればどうなるのかを楽しそうに話していく。

 美優たちに拒否権はなかった。


 それ以来、ことあるごとに純血主義者たちは呪印を使って美優たちを苦しめてきた。

 作戦が失敗した時だけじゃなく、純血主義者たちの機嫌が悪い時なんかにも奴らは呪印を発動して、美優たちを苦しめてきたのだ。


「美優……」

「姉ちゃん!」


 より大きな被害を受けたのは姉の優子だ。

 呪印が発動すれば満足に動くこともできない。

 悪事の実行犯にされやすい美優が呪印の影響で動きが鈍ってしまうのは純血主義者としても困る。


 だから、純血主義者たちはいつも優子を呪印で苦しめるのだ。

 見せしめのために。


 呪印は優子をただ苦しめるだけじゃなく、優子の気力や体力もどんどん奪っていった。

 優子は優秀な探索者だったが、呪印の影響で今ではまともな探索だってできないくらいにまで弱っている。

 弱ったことによって、優子は同じくらいの呪いであってもより大きな影響を受けるようになってしまっていた。


 その上、今回の呪いはいつも以上に影響が大きい。

 おそらく、隠れ里にいる純血主義者たちが考えなしに呪印を発動したせいだろう。


 早く解呪してあげないと、命を落としてしまうかもしれない。


「美優ちゃん! これ!」


 美優が心配そうに優子の顔を覗き込んでいると、玄関の方から莉子の声が聞こえてきた。

 部屋に駆け込んできた莉子の手には一通の手紙が握られていた。


 この嫌味なくらい真っ白な紙は純血主義者たちが好んで使うものだ。

 美優はそれが次の指令であるとすぐに分かった。


「……」


 手紙には『大穴探を排除しろ』とシンプルに一行書かれている。


 最初の指令は『大穴探のパーティを排除しろ』だった。

 だが、やはり大槌家の探索者が惜しくなり、さらに、サグルパーティの回復職が聖女のジョブを持っているらしいという噂が広がり、伝達途中で『大穴探を排除しろ』に変わってしまっていた。

 そこにハーレムパーティを築いているサグルへのやっかみもあったのかもしれない。


 だが、美優にはそんなことはわからない。


「美優ちゃん……」


 裏には具体的な作戦内容も記されている。


 目を閉じてサグルたちのことを思い出す。

 美優に全力でぶつかってきてくれたいいパーティーだった。


 もっと別の出会い方をすればいい友達になれたんじゃないかと思う。


「……美優」


 目を開けると心配そうに美優の顔を覗き込んでくる優子と目があった。

 優子は自分の方が大変な状況に置かれているのにいつも美優のことを心配してくれる。


 美優はできるだけ人殺しのような命令は受けないようにしていた。

 そこまでやってしまえばもう後戻りできなくなると思っていたからだ。


 だが、今回反抗すれば優子がどうなるかわからない。


「やる」

「……協力するよ」


 一人でもやるつもりだったが、莉子たちも協力してくれるみたいだ。


 莉子たちとは美優がDランクに上がった頃からずっとパーティを組んでいる。

 呪印のことに気づいても避けるどころか協力してくれる貴重な仲間だ。


 あまり危ないことには巻き込みたくないが、もともと作戦は莉子たちが協力することが前提で書かれていた。

 莉子たちの協力は必須だ。


「……ありがとう」


 美優は作戦実行の準備を始めた。

お読みいただき、ありがとうございます。


おかげさまで6月20日に一巻が発売されます。

挿絵(By みてみん)

続刊につながりますので、購入してくださるとうれしいです!


発売日の20日まで毎日3話投稿していきます!

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