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【書籍化】高卒、無職、ボッチの俺が、現代ダンジョンで億を稼げたワケ〜会社が倒産して無職になったので、今日から秘密のダンジョンに潜って稼いでいこうと思います〜  作者: 砂糖 多労
第五章 ボッチ男とSランクダンジョンの島【後編】

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第21話『大穴探を排除しろ』①

「失敗した……だと?」


 巳島は今日も隠れ里にある一室で開かれた純血主義者の会合に参加していた。

 今日は大槌家の探索者を外部の探索者から引き剥がす作戦の結果が出る日だったのでいつもよりも参加者が多い。


 宙に浮いた大槌家の生産職探索者をどうするか決めるという大義名分もあったが、一番は無様に敗退したであろう外部の探索者の話を聞くために集まっていた。


 だが、送り込んだ剣崎からは予想外の返事が返ってきた。

 なんと、外部の探索者は偽の試験を突破してしまったのだ。


 下賤のものが試験を突破してしまったということも驚きだったが、いちばんの問題は里長に見つかってしまったので、もう同じ手を取ることはできないということだ。


(……くそ。今の里長は純血主義者じゃないからな)


 巳島は心の中で悪態をつく。


 先代と先々代の里長は純血主義者だったらしく、いろいろとやりやすかったそうなのだが。

 里長を純血主義者に置き換える作戦も何度か行われたが、失敗に終わっている。

 それどころか、手痛いしっぺ返しを受けて、純血主義者は隠れ里内での特権をいくつか失っていた。

 今の里長は搦手にはめっぽう強いみたいだ。


 かと言って、直接手を下すこともできない。

 現在の里長は現役時代はAランク上位の探索者だったらしい。

 純血主義者の中に里長に敵う実力のものはいないのだ。


(これじゃあ、もう手出しできないじゃないか!)


 大槌家の探索者はすでに里長によって里内を案内されているはずだ。

 もしかしたら、すでにどこかの組織の所属になってしまっているかもしれない。

 そうなればもう手を出すことができない。


 巳島も含め、全員が苦虫を噛み潰したような顔になる。


(いや、流石にそれはないか)


 巳島は周りを見渡してそう判断する。

 したり顔の参加者がいなかったからだ。


 どこかの組織に所属すれば誰かが情報を得ているはずだ。

 誰も情報を得ていないということはまだどこの組織にも所属していないと見てまず間違いない。

 所属していたとしても弱小の組織だろう。


 そうであればどうとでもできる。

 すでに巳島たちは次の手を考え始めていた。


「何言ってんだ! あんなに強いなんて聞いてねぇぞ! これのせいで俺が隠れ里から追い出されたらどうしてくれるんだ!!!!」


 悪巧みをする参加者たちをよそに剣崎は唾を撒き散らしながら吠える。

 里長の前では大人しくしていた剣崎だが、まだ覚醒すらしていない純血主義者たちが相手であれば怖くはない。


 しかも、剣崎は彼らの情報が誤っていたせいでこの後里町から罰が下されてしまうのだ。


 講師ではなく、補助役としてきている剣崎はこの隠れ里内ではかなり立場が低い。

 そのため、今回の件でどのような沙汰が下されるかはわからない。

 最悪、里から追い出されるということだってあり得る。


 里に少しでも長くいることで上級探索者への覚醒を狙っている剣崎にとって、里から追い出されるのは死活問題だった。

 しかも、剣崎は武闘派で知られる御剣家の分家である剣崎家のさらに分家の出身だ。

 運良く探索者になり、上級探索者が目前というところまでレベルを上げられたため、剣崎の苗字を名乗ることを許されている。

 他の探索者にちょっかいをかけたせいで隠れ里を追い出されたと剣崎家に知られれば、隠れ里での修行に失敗したせいでただでさえ悪い剣崎の地位がさらに悪くなってしまう。

 来年はもう隠れ里に来ることすらできなくなってしまうのは間違いないだろう。

 最悪、剣崎の名を奪われてしまうかもしれない。


 剣崎がここまでたどり着くために両親は相当な投資をしている。

 親戚からもかなりの金を借りていた。

名を奪われるという不名誉を受ければ、剣崎にはもう居場所がなくなってしまう。


「……」


 巳島たちはそんな剣崎に冷たい目を向ける。

 誰も剣崎のフォローをしようと名乗り出るものはいない。


 この中には血統だけはいいため、剣崎が里から追い出されないようにできるものがいるにも関わらずだ。


 それもそのはずだ。

 剣崎は部外者が追い出されるところを特等席で見たいといって自分から立候補して偽講師役を買って出たのだ。

 それを失敗したからといってあれこれ言うなんて見苦しい。

 巳島たちはみんなそう思っていた。


「と、とにかく! この埋め合わせは必ずしてもらうからな!」


 剣崎はそう言い残して会合の場を後にする。

 流石に旗色が悪いということを悟ったのだろう。

 もしかしたら、いまから里から追い出されるのをなんとかするために動こうと思ったのかもしれない。


 分家といっても末端の末端の剣崎が動いても無駄なのに。

 巳島たちは冷たい目でかつての仲間を見送る。


 剣崎は隠れ里にいられない以上、上級探索者に至る道が絶たれたも同義だ。

 一生下級探索者の奴は純血主義者としてふさわしくない。


 いずれ、純血主義者での席も抹消されるだろう。


「……手を抜いたんじゃないだろうな?」


 一同の視線は剣崎と一緒に来ていた美優へと向かった。

お読みいただき、ありがとうございます。


おかげさまで6月20日に一巻が発売されます。

挿絵(By みてみん)

続刊につながりますので、購入してくださるとうれしいです!


発売日の20日まで毎日3話投稿していきます!

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