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【書籍化】高卒、無職、ボッチの俺が、現代ダンジョンで億を稼げたワケ〜会社が倒産して無職になったので、今日から秘密のダンジョンに潜って稼いでいこうと思います〜  作者: 砂糖 多労
第五章 ボッチ男とSランクダンジョンの島【後編】

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第15話 隠れ里⑤

「うー。お腹が苦しいです」

「ひどいよ〜。ふたりとも〜」

「ちゃんと最後は手伝っただろ?」


 俺たちは商店エリアを抜けて、本校舎の方へ向かって移動していた。

 朱莉と京子の二人は苦しそうにお腹を押さえている。

 さっき、特大のクレープを食べたせいだ。


 ニコニコで帰ってきた二人は、里長の話を聞いて絶望的な顔をしていた。


 まぁ、当然だろう。

 自分たちの手の中には一人では食べきれないサイズのクレープが握られているのだから。


 しかも、一つ食べるのも苦しいサイズの物が二つもだ。


 明らかにダンジョンの影響を受けて買ったものだ。

 冷静になると、食べきれないとわかる。


 案の定、二人は頑張って食べていたが、一つを食べ切ることさえできなかった。

 すでに一つクレープを食べているのだ。

 そうなるのは当然だろう。


 二人が残したクレープは俺と雅で分け合ってなんとか食べきれた。

 それでもまだ、クレープは二つ残っている。


 全く手のつけられていなかったクレープのうち一つは俺が食べ、もう一つは里長が食べてくれた。


 里長が手伝ってくれて助かった。

 俺もお腹が結構キツくて、もう一つクレープを食べるのは難しかった。


 里長は特大クレープを美味しそうに食べていたし、「今日は抹茶か」とか言っていたところを見るとこういうことはよくあるのかもしれないが。


「この隠れ里では全てが修行じゃ。今回の件はいい教訓になったじゃろ」

「はい」

「肝に銘じます。お小遣いもかなり減っちゃってもうあんまり買い物できないけど」


 朱莉はしゅんとした顔でだいぶ軽くなってしまった自分のお財布を覗き込む。

 減ったのはお札だと思うから重さは対して変わっていないはずだが、精神的な面でかなり軽く感じているんじゃないだろうか?


 クレープはお値段も結構したようだ。

 特に、あのクレープ屋さんは外部から来た探索者への洗礼という面もあり、お値段はお高めに設定されているらしい。

 俺も値段を聞いて目ん玉が飛び出るかと思った。


 作っているのが料理人系のジョブについている探索者で、外部では一流レストランを経営している人だそうで、その値段も妥当ではあるのだそうだ。

 実際に、クレープはかなり美味しかった。

 だが、いくら美味しいからと言っても外ではそんな高価なクレープを京子たちは絶対に買わなかっただろう。

 二人ともお金で苦労したことがあるためか、金銭感覚はかなりしっかりしているのだ。

 京子が買い物の時野菜の値段とかをめちゃくちゃ気にしているのを見たことがあるし、朱莉はこの間、ダンジョン帰りに可愛いアクセサリを見つけていたけど三千円と少し高いからと言って買うのを諦めていた。


 そのせいで、引っかかった今はかなりのダメージを受けているのだが。

 今回の教訓で今後同じようなことがあってもなんとかなりそうだ。


 ダンジョン関係なく、詐欺とかでもこういうことはたまにあるし。


「ふぉっふぉっふぉっ。その点は気にせんでえぇじゃろ。修行でモンスターを大量に倒すことになるからのぉ。あの程度の出費はすぐに取り戻せる」

「……確かにそうですね」


 里長の言うことはもっともだ。

 ダンジョン内でモンスターを倒せば報酬がもらえる。

 その報酬で今回のマイナスを取り戻すことはそこまで難しくないだろう。


 今日のあの偽の入里試験でも結構稼げてるはずだし。


 あれだけ倒したのにマイナスになるほどの値段をふっかけてくるんだから、なかなか攻めてるなとは思うが。

 それに、それだけふっかけられているのに、京子と朱莉の二人が気付かずに買ってしまったと言う点も怖いところだ。


 京子なんて、覚醒していてCランクのダンジョンでもあまり影響を受けないレベルに到達してるのに。

 つまり、あの門の影響はCランクのダンジョン以上ということだ。

 高山トレーニングのように普段かかる以上の負荷をかけた状態で修行したほうが成果が出るからなんじゃないかと思う。


 京子でも影響を受けてしまうと言うことは俺も少なからず影響を受けると言うことだ。

 気をつけないといけないな。


「ふぉっふぉっふぉっ。安心せぇ。あの商店エリアは門のすぐそばじゃから格段に影響が強いだけじゃ。この辺りまで来れば門の影響もDランクダンジョン以下に落ちてくる。普段生活してるエリアはもっと低い。生活する面ではそこまで大変にはなっとらん。そうじゃないとワシら講師や他の協力してくれとる探索者も大変じゃからな」

「そうですか」


 俺はほっと胸を撫で下ろす。

 たしかに、四六時中欲望が駆り立てられる中で生活するのは大変だ。

 講師の人たちもそんな状況では落ち落ち指導もできないだろう。


「そうはいっても、生活必需品などはあの商店エリアで調達する必要があるから、楽ではないがの」

「……マジですか」


 欲望が肥大化するところに商店を開くとか、尋常じゃねぇな。


 しかも、これは課題とかとは関係ない部分なのだ。

 隠れ里ではいろいろな課題が用意されているらしい。

 今日やらされた入里試験みたいな感じのやつだ。


 あれは偽物だったが、あれと同じような試験を受けさせられる場合もあるそうだ。

 どんなものになるかはわからないが、一筋縄ではいかなさそうだ。


 俺は気合を入れ直した。

お読みいただき、ありがとうございます。


おかげさまで6月20日に一巻が発売されます。

挿絵(By みてみん)

続刊につながりますので、購入してくださるとうれしいです!


発売日の20日まで毎日3話投稿していきます!

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