第43話 自爆を選ぶか感電を選ぶか。そこが問題だ④
「『一閃』!」
「……! ……!!」
「!? 『木遁・身代わりの術』」
こちらの放った『一閃』は防御されてしまい、お返しにと放ってきたボスモンスターの蹴り攻撃を俺はスキルを使って回避する。
俺は仕切り直しのためにもボスモンスターからできるだけ距離をとってから姿を現す。
こっちは武器でスキルを発動しないとまともにダメージを与えられないのに、向こうは蹴りや裏拳みたいな普通の攻撃でもこっちに大ダメージを与えてくるのはずるいと思う。
めちゃくちゃ攻めにくい。
「……」
ボスモンスターも無理には攻めてこず、正眼の構えでこちらの出方を待っている。
どうやら、『身代わりの術』のような忍術で姿を消している間も俺がどこにいるかわかってしまうらしい。
刀夜さんにもわかるらしいので、おそらく、魔力的な何かで察知しているのだろう。
最初に攻撃を決めてからこんな感じの拮抗状態が続いている。
こちらの攻撃も大したダメージを与えられていない。
毎回少しずつはHPを削れているが、最初の攻撃と違い、こちらの攻撃は防御されてしまっているので、最初ほどのダメージを与えられていないのだ。
一方、向こうの攻撃はまだ一度も当たっていない。
そういっても向こうの攻撃は防御しても相当な大ダメージを与えてくると思う。
残念なことに俺は防御系のスキルはほとんど持っていないのだ。
忍者もNINJAも回避特化の避けタンクだからな。
結果、ダメージを与えられている分俺の方が若干有利ではあるが、向こうの攻撃を一度でも受ければその有利はひっくり返ってしまうという状況になっていた。
気の抜けない状況だ。
(この状況を打開する方法もなくはないんだけどな)
こちらにも大ダメージを与える方法がなくはない。
すでに二つほど方法が思いついている。
一つ目は前にランクアップ現象の時にランクアップしたボスを倒した時にも使った『花時雨』のような大技を繰り出すということだ。
今は単発のMPやSPの消費が少ない技ばかりを使っている。
敵のHPの減り具合は正確にはわからないが、なんとなくどれくらいダメージを与えられているかはわかる。
その感触から行くと、大技を使えば一気に決着をつけることは可能だ。
たぶんだけど。
だが、大技を出せば、それで決着させられなかった時が問題になる。
今のスキルを使いこなせていない状態で大技を出せば多分MPが底をつくことになるはずだ。
大技はその分MPの消費がでかいからな。
NINJAのスキルはロマンスキルが多いというのもある。
もしMPを使い切ってしまえば、俺は満足に動くことができなくなるだろう。
俺がその状態になれば、戦闘を続けられないだけではなく、刀夜さんたちを逃すことさえできなくなってしまう。
おそらく、京子たちは俺を見捨てたりはしないだろうから、完全に足手纏いになってしまうだろう。
……見捨てられないよね?
(まあ、なんにせよ、もし大技を使うとすればそれで決着がつけられると確信を得られた時だな)
二つ目が『魔剣殺し・じばくちゃん』のスキル『自爆』を使うという方法だ。
ジョブにせよスキルにせよ、デメリットの大きいものほど効果が高い。
自爆ダメージという効果がついている分、『じばくちゃん』の与えるダメージは他の魔剣より一〜二桁多くなる。
そのうえ、『じばくちゃん』はスキルが『自爆』しかない。
そのため、そのスキルに効果が上乗せされていた。
それに、『じばくちゃん』は雅が最後に作った短刀だ。
魔剣殺しを作るたびに雅の練度は上がっていたので、最後に作った『自爆ちゃん』は他の短刀よりも完成度が高い。
さっきから状況に応じて短刀を持ち替えながら攻撃しているのだが、普通に攻撃を与える場合でも『じばくちゃん』が一番与えるダメージが多いように思う。
そのため、さっきから攻撃を加える方の右手には『じばくちゃん』を装備して戦っている。
ちなみに次にダメージが多いのが『高電圧危険』だ。
形が歪な『高電圧危険』より普通の形の『じばくちゃん』の方が使いやすいしどちらをメインで使うかは考えるまでもないな。
『高電圧危険』の攻撃スキルは左手に装備した時でも使える。
俺は『二刀流』のスキルを持ってるからな。
そのため、『高電圧危険』は主に左手の方に装備している。
とっててよかった『二刀流』スキルってやつだな。
『じばくちゃん』のスキルを使う場合の問題はどれだけのダメージを俺が受けるかわからないということだ。
というかかなり高い確率で俺のHPも消し飛ぶんじゃないかと思う。
まだ覚醒できてないからな。
Cランクモンスターをほふれるほどのダメージを受け切れるとは思えない。
反動ダメージだから、相手に与えたダメージよりはこちらの受けるダメージの方が少ないとは思うのだが、大丈夫かどうかは微妙なところだ。
流石に死んでしまえば京子でも復活させることはできないだろう。
死んでしまえば足手纏いにはならないだろうが、それはいい点と言っていいのかは微妙なところだ。
(こっちもあまり取りたくない手だな)
今は一か八かの賭けに出るより、今の拮抗状態を続けていい案を考えた方がいい。
もしかしたら絶好のチャンスがやってくるかもしれないし。
だが、俺が悩んでいられる時間はそう長くなかった。




