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弱くて愛しい騎士殿よ  作者: おときち
第23章 絶対振動
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振動世界10

 爆発の衝撃でオルラヤさんが怪我をしていないか気になりました。

 その気になれば衝撃が彼女に到達するよりも早く身体を動かすことができます。

 周囲のものが壊れてしまうので普通ならやりませんけれど、オルラヤさんの身に何かが起きているかもしれないので、やりました。

 蹴った衝撃で飛ばした地面の欠片が、誰かに当たりませんように。


「死にましたか!?」

「死にました」


 お互いにおかしなことを言っている自覚はありました。

 病弱な彼女は、走ることも難しい複雑な衣服を着ていることもあって、変な体勢で転んでいました。


 彼女を起こして、怪我がないことを確認しましたが、彼女は自分のことよりも、治療途中の人に駆け寄り、何とか続きを始めようとしました。

 でも無事そうで何よりです。


 彼女が無事と分かったらやることは1つです。

 魔女が鋏を開閉することで、舌が切れているような気はしました。

 だから、魔女の鋏に向かってパンチしました。

 僕が出せる全力のパンチは、何かに当てる必要はありません。

 たまに拳が光って袖が何処かに消えてしまいますが、それ以外で身体に何かが起きることはないので、平気です。


 ただ、パンチした方向の物は粉々に弾け飛びます。


 鋏のはの字もなくなって、それを持っていた魔女の身体は中心部が大きな穴を開けて蒸発してしまいます。

 魔女の破片が散らばった家に飛んでいき、土煙を出して終わりました。


「スッキリしまし……言えました」


 言いたかったことを言えて、魔女にかけられた魔法が解けたのだと分かりました。

 オルラヤさんも治療の続きができるようになったことで、安心したみたいです。




筋力強化(ハイパワー)

筋力強化(ハイパワー)


 重なった言葉の後に、僕は殴られました。

 いつの間にか顔が地面に叩きつけられていて、跳ねた反動で元の体勢に戻ることができました。


 頑丈な身体だったはずですが、頬に痛みがやってきました。

 でも、痛いで済んだだけで、大した傷もありません。


「殴っただけで、腕が折れたなあ、ほら」


 砕けたはずの身体が元に戻っている魔女は、腕指がすごい方向へ曲がっていることを僕に見せつけてきた後、一瞬で姿を消しました。


『筋力強化』という魔法のことを詳しく知っている訳ではありませんが、その言葉だけでどういう魔法なのかは何となく見当がつきます。

 一瞬で姿を消すくらいの速さがあったとしても、その姿を追いきれないことはありません。相手への殺意さえあれば、目で追うことは難しくないです。


 今度は魔女の顔を捉えました。

 魔女自身の速さもあって、顔は破裂して、身体だけがどこかに飛んて行ってしまいました。


 それでも魔女は、けろっとした顔で僕の目の前に再び現れてくるのです。


 魔女は懐から継ぎ接ぎだらけの長い舌を2枚取り出して、また見せつけるようにしながら口の中に含みました。

 元々2枚の舌があったはずなのに、良く口の中に入るなって思いました。

 それと、舌を口に含もうとする魔女の行動は、僕たちにとって良くないことが起きるって思いました。


 だから、殴りました。




 殴った上で魔女は反撃してきたのです。

 それは僕にとっては初めてのことです。

 僕が今まで出会ったきた魔女の中で、殴って死ななかった魔女はいませんでした。


 殴っても死なないのはリリベルさんとヒューゴさんくらいだと思っていましたが、そのような特殊な人たちの中にこの魔女も追加されそうでした。

 普通は死んでいる殴り方をしているはずなのに、無事で生きていることの方がおかしいです。僕は、そういう呪いをかけられたはずなんですから。


 魔女は口に舌を含んだばかりなのに、また懐から取り出して、新しい舌を1枚口に含み始めました。


反発(ぎゃくむき)

引々(じゅんむき)


 右腕が縦に裂けました。びっくりする程痛くて気絶しかけました。


「良く避けたなあ。身体を縦に裂くつもりだったのに」


 出血もそうですが、身体が傷付いていることも僕にとっては久し振りのことです。


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