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弱くて愛しい騎士殿よ  作者: おときち
第10章 とある手記に関して
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とある船乗りの死について6

 俺が椅子に座ると共に、蛹のように布団にくるまったリリベルが俺の膝の上に横向きに乗り掛かる。

 俺が持っていた日記の内容に気が付いたのか、彼女はすぐ様日記を俺から取り上げた。


 フリアに日記の内容を明かさないために、日記を持ったリリベルの身体を上手いこと抱き上げて位置を調整する。

 リリベルは日記を読むことに集中しているため、俺が何をしても気にしていなかった。すっかり先程の幽霊騒ぎが収まってくれたので一安心だ。


「リリベルさんって本当にお嬢様なのでしょうか」

「どういうことだ?」

「その、男であるヒューゴさんの膝の上に乗って素足を晒しているというのは、少しはしたないと思いました……」


 倫理観が欠如しているリリベルと長く過ごしたせいで、世間一般が思うであろうはしたない所作に慣れてしまっていた。かなり苦しい言い訳をいくつか行って何とかフリアの追求を逃れることには成功した。




 しかし、事情聴取と言われても何から聞けばいいのか。

 とりあえず、マテオがどのような人間だったか聞いてみれば良いか。




「せっかくですからフリアさんの夫、マテオさんのことについて聞いても良いですか?」

「ええ、もちろんです。どのようなことを話せば良いでしょうか」

「マテオさんはここに来た船乗り3人と、どのぐらいの交流がある方なのですか。かなり古くからの付き合いですか?」


 フリアは暖炉の火を眺めながら、過去の思い出を思い起こして始めた。

 そして、思い付く限りの内容を語ってもらった。




 ルーカス、レオ、アルバロの3人はマテオと少なくとも3年の付き合いがあるそうだ。

 何度も酒場で飲み合うぐらいの仲の良さはあり、それ以外の遊びに付き合うこともあった。

 フリアとマテオの家に遊びに来たことも何度もあったと言う。


 彼等の船乗りとしての仕事は、隣の港町とを船で行き来するぐらいのが主で、家を空けることは長くは無かった。

 取り扱っている物は他国の交易品が主だ。


 最後にマテオが航海に出たのは、海を渡ってフィズレに向かう航行のようだった。

 その時の航海に関しては、3人共同船はしておらず、別の航海を行っていたようだ。彼等は皆、同じ交易商会に属していたが、余程繁盛しているのか商船を何隻も所有していたそうで、必ず毎回同じ船に乗ることは無かったそうだ。


 これは勝手な想像だが、船乗りはなるべく気が合う者同士で1つの船に乗せるのでは無いだろうか。その方が円滑に船を動かせるだろうし、喧嘩も起きにいくいだろう。

 それなのに、フリアの話では4人の船乗りたちは必ず同じ船で仕事をする訳では無かったと言っていた。フリアは船乗りでは無く、さすがに航海の人員の決め方については知らなかったので、この件に関してはこれ以上質問を行っても無意味だろう。


 気にかかる点ではあるので、留意しておき他の船乗りたちに聞く機会があれば詳しく聞いてみたいところだ。


次回は3月19日更新予定です。

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