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弱くて愛しい騎士殿よ  作者: おときち
第10章 とある手記に関して
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とある農家の妻の手記

 アーレウル暦121年5月12日。


 日記を書く趣味は無いけれど、命の危険を感じたのでここに記すことにしました。

 もし、私たち家族が死んでいて、これを読んだ人がいるのなら、この日記を村長に渡してください。


 今日、何も無い片田舎の村に見たことのない馬がいる馬車に乗って4人組がやって来て、突然何日か部屋を1つ貸して欲しいと言ってとんでもない量の金貨を差し出してきました。


 余りに怪しいので私は断ったけれど、夫が私の意見を無視して無理矢理4人を迎え入れやがりました(金に目が眩んだ馬鹿)。




 4人の内訳は女の子が2人と男の子が1人、そしておっさんが1人でした。

 黒髪の若い男の子はヒューゴっていう名前でした。

 1番背の低い金髪の女の子に何度も言葉遣いを注意していたけれど、彼女の意見を尊重していたことを考えると、多分金髪の女の子がリーダーだと思います。


 金髪の女の子はリリベルっていう名前らしいです。

 金髪なんて貴族の出自でしかあり得ないから、絶対この女の子はどこかのお嬢様だと思う。大金を持っているのも納得がいきます。

 何が無礼に当たってしまうのか分からなくて怖い。私たちなんか簡単に殺されるかもしれない。ユーリには絶対彼女たちに触れ合わせてはいけない。


 後の2人は名前を教えてくれませんでした。

 もう1人の女の子は、気持ち悪い青髪でした。青髪の人間なんて見たことが無い。

 ずっと機嫌が悪そうだったからこっちまで機嫌が悪くなりそう。


 おっさんは、おっさんでした。

 服装が普通だから多分、召使いか何かだと思う。




 4人は海を越えて遥か北西のワムルワ大陸からやって来たみたいです。

 なぜ長い危険な船旅を経てこっちの大陸にやって来たのかを考えると、多分私たちが気軽に聞いて良い理由じゃないと思う。


 明日、収穫した野菜を港町の市に卸しに行くから、そのついでに4人のことを聞いてみようと思う。




 とりあえず今日は4人の言うことに全て従うことにしました。


 口に合うか分からないけれど、食事も出しました。


 家は別に大きな家じゃないから、客を泊まらせる部屋なんか無い。

 早く出て行ってくれることを願いながら、私たちの部屋を明け渡そうとしたら、ヒューゴさんが強く断って、結局ダイニングの床で寝ることになりました(リリベルさんが怒らなければ良いのだけれど)。






 アーレウル暦121年5月13日。


 起きたらリリベルさんが勝手にキッチンで料理を作っていて怖かった。

 私の作った食事が気に入らなかったのかと思ったけれど、ヒューゴさんがリリベルさんの手料理を食べたくて頼んだみたいでした(冗談で言っているのか分からない)。


 料理は私たち家族も食べさせてもらったけれど、正直すごく美味しかった(もちろん最初に夫に毒味させた)。




 港町で野菜を売った後、商売仲間のテニーさんにリリベルさんのことを聞いたら、昨日港町でもちょっとした騒ぎになったみたいでした。

 いかにも高貴そうな少女が、市で食材をたくさん買っていったみたい。召使いがやるようなことを貴族のお嬢様らしき少女がやっているのだから、たくさんの人の記憶に残ることは当たり前だと思う。


 逆にそれぐらいしか情報がありませんでした。4人が何の目的で数日間、私たちの家にいようと思っているのかは謎です。




 家に帰ると青髪の女の子がユーリと遊んでいました。

 夫にはあれだけユーリがあの4人に接することがないように見ていてと言ったのに、夫はリリベルさん、ヒューゴさん、おっさんと一緒に農作業をしていやがったのでムカつきました。


 ユーリが青髪の女の子の背中に乗ってお馬さんごっこをしているのには、血の気が引きました。

 一応、青髪の彼女が迷惑しているという(てい)で、ユーリを引き離したけれど、やっぱりというか彼女は怒っていました。


 今夜の食事もリリベルさんが作りたいと言っていたけれど、きっと私たちはその時に殺されると思う。




 追記。


 夕食では特に何も起きませんでした。

 けれど、その後に起きたことがあんまりだったので、ここに書き足します。


 ヒューゴさんとリリベルさんの性行為の音が五月蝿い。


 私たちの寝ている部屋と4人が寝ているダイニングでは扉1枚を隔てているけれど、この家は良い家でもないから床の軋む音が酷くて、全く眠ることができませんでした(自分の家でもないのに普通する?)。


 1番ムカついたのは、2人の行為に興奮したのか夫が乗り気になってきたことです。

 上の文章は後で消すこと。


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