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弱くて愛しい騎士殿よ  作者: おときち
第6章 狂った正義の味方
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赤色3

 城門を守る騎士はアルマイオただ1人だけだ。他の騎士たちは城壁の上を忙しなく走り回ってある一点に攻撃を仕掛けている。どうやら燐衣の魔女につきっきりだと思われる。


 つまり、アルマイオという騎士を1人だけ倒せばこの門を通ることができるという訳だ。

 だが彼1人だけが門を守るということは、彼がそれ程の力を持つ者であることが推測できる。


 物理攻撃に最も耐性が無さそうなセシルを守るため、彼女の前に立ち剣を構えるが、彼女に拒否されてしまう。


「私は平気よ……」


 銀騎士の光弾にあっさり撃たれて全然平気そうじゃなかっただろうと突っ込みを入れたいところだが、セシルの怒りを買いそうだし、今は茶化すような雰囲気でもないため慎んでおく。


疾風剣(しっぷうけん)!』


 クレオツァラは一瞬でアルマイオの元へ詰め寄り剣を振るう。

 アルマイオは長い槍を持っているため、懐に入られてしまえば攻撃することは難しい。槍の短所を狙った速攻だ。

 彼を援護するためにアルマイオに炎の魔法を放出する。陽動ぐらいになってくれれば嬉しい。


 しかし、残念ながらアルマイオはクレオツァラの剣も炎魔法もまとめて横に避けてしまった。

 クレオツァラはアルマイオが避けた先を追いかけ更に追撃を繰り出す。速度を極めた彼の剣技は目にも止まらない。

 だが、それでもアルマイオは難なく避け切ってしまう。

 クレオツァラは距離を離されまいと追い続け、2人の距離は適度に保ち続けられる。


 だが、それだけでは状況は変わらないままだ。

 状況を打開すべく剣を持って走り込み、アルマイオの背中から剣を突き立てる。リリベルの魔力で作られた黒剣は、相手が着ている鎧が単なる鎧であれば、貫くことも難しくはないはずだ。

 しかし、剣が突き刺さろうかという瞬間に、アルマイオが突然身体を翻し、俺の胸へ蹴りを叩きつける。

 人間のなせる動きではない。


 幸い黒鎧のおかげで直接のダメージは避けられた。


 俺がアルマイオの隙を作ったおかげで今度はクレオツァラの攻撃が容易になる。

 クレオツァラはアルマイオの兜と胴当ての僅かな隙間を狙ったように、突きの体勢で突き進む。


覇震(はしん)!』


 クレオツァラの攻撃がアルマイオに届く寸前のところで、アルマイオの周囲から強烈な風が生じる。その風が身体を通過すると、鎧を無視して俺の身体に直接衝撃が走る。

 高い所から飛び降りて地面に叩きつけられたような感覚が全身を駆け巡るのだ。その感覚は激痛で思わず呻き声が漏れ出てしまう程だ。

 そして風に乗って俺の身体は宙を浮き、背中から誰かの家の中に突撃する。


 気付いたら家の中のソファに腰掛けていた。

 魔法なのか剣技なのか分からないが、自分の周囲から衝撃波を発生させる技が使えるとすると更に此方側の攻撃する機会が失われる。


 俺の身体がどうなっているのか確認する間もなく、すぐにソファから立ち上がって入ってきた穴を再び出て、家の外に出る。


 アルマイオは右手に槍を持ち、左手に剣を持って門の前で仁王立ちしていた。


筋力強化(ハイパワー)


 彼の詠唱で両手に重い武器を携えることが可能になるのを目の当たりにすると、魔法を使える騎士はただの騎士と比べて実力に大きな差が出ると思った。

 リリベルの魔力を間借りしているのだから、俺も筋力強化の魔法を覚えておけば良かったと今更後悔する。


 クレオツァラの剣の腕ならばアルマイオに攻撃を与えられるかもしれないが、あれ程の速さの戦いを見せつけられたら俺にはその自信が無い。

 だから、手に持っている剣を槌に変えることにする。あくまで自分の筋力で持つことができる槌になるから、ヘズヴィル程の巨大な槌にすることはできないが、それでもあの鎧にヒビを入れるぐらいはできるかもしれない。


 鎧にヒビを入れることができるなら、何度か叩きつければ鎧は壊せる。そうすればアルマイオの攻撃の手助けになるかもしれない。

 一撃ずつ確実に鎧に当てられれば良い。


『剣は槌』


 ヘズヴィルの持っていたハンマーの形を拝借して、頭の中でイメージする。ただ、大きさだけは抑えてハンマーの頭は兜程の大きさしかない。

 両手で槌を引きずり気味にアルマイオへ突撃する。


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