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第8話 入隊章
後日、私はその使えない新人に、とある品物を渡した。
ディークがいる事を認めたくなくて、ずっと隠していた入隊章を。
すぐやめると思っていたし、やめさせるつもりだったから、渡す必要はないと思っていたのだ。
けれど、ディークには私達にはないものがある。
だから、私は頭を下げた。
「今まで下に見ていてすみません」と。
そしたら、ディークは笑って許した。
私達だったら、「ふざけるな」と怒っているだろうことなのに。
ディークは知れば知るほど不思議なやつだった。
姫の弱さを見ても「お姫様だって、一人の人間なんだし」と幻滅していないようだった。
だから、私達はこれからもディークを見ていこうと思う。
強い私達には、何か足りない物があるのだと知ったから。