月を迎えて
浮世から半分くらい、足を踏み外した人たちが、月を迎えて、好きなことを言い始めます。
月の光には、いのちはありません
あれは、死んだ星の骸が藻掻いているのです
ええ、本当に
身に受け切れぬ光を跳ね返しているだけなのです
そういった、ひと
でも、それでも光です
優しい光です
じっと、見つめていても苦しくならない光です
たぶん、それは、自分を主張しないからできることです
そう微笑む、ひと
そうかもしれませんね
いのちは罪深いものですから
生きることを主張すれば、その代償としていのちが奪われます
残酷な光が生きることです
そうせずにはおれない、鋭い輝きがいのちなのです
そう考える、ひと
大丈夫です
生きることは、汚れることです
汚れたものは、鮮やかな光を放ちません
だから、あの月よりも、ずっと、幽きものがいのちです
わたしたちなのです
そう諭す、ひと
ならば、もう、なにも奪いますまい
もう、なにも与えますまい
わたしは、ひとつの鈍い鏡になりましょう
光の中では消えてしまう「あなた」だけを映しましょう
そう誓う、ひと
断片のつながりが流れとなり、テーマを持つこともありそうな気がします。力量不足ですが、いつか、そういう詩が書けると楽しいでしょうね。