ハーフオークは山を出る
「さて、出発しよう。」
カブトムシの死闘から2週間を使って守護モンスターのレベルを10まで上げた。
俺のレベルも15まで上がっている。
何といっても毒耐性のスキルをゲットしたのでもうデカバチの毒は怖くない。
デカバチは怖くないのかって?
あ、あいつらはもう仲間だから大丈夫・・・なはずだ。
「ポーションよし、手甲よし、ハンマーよし、食料よし、出発だ。ムシの楽園の守備は任せたぞカブト。」
ボスカブトムシを大量に召喚したかったがどうやら二匹目から必要ポイントが10倍になったのであきらめたため現在一匹しかいない。
必要ポイントが高い分能力は高い。
デカバチ・カナブン・ダンゴブシの2チームと互角以上に戦える能力を持っている。
だからボスカブトムシに俺の代わりにクリスタルの守護を任せている。
デカバチ・カナブン・ダンゴムシのチームが20組は俺がいない間も狩りを行って魔石を集めてくれる。
適時新しいモンスターを召喚するようにボスカブトムシに指示しているので俺がいなくても守りは問題ないはず。
不安がないとは言えないがそんなことを言っていた何時まで経っても人里を目指せない。
新しいアイテムやモンスターを見つけることも戦力アップに重要だ。
ムシの楽園を守ることも大事だがそれだけでは行き詰まることは確実だ。
すでに食べ物がインスタント食品と木の実だけという現状が俺を追い詰めている。
人だったころは一週間くらい同じ物を食べても何とも思わなかったのに、ハーフオークになってからは二日も同じ物を食べているとイライラが募ってくるのだ。
この世界のオークはグルメなのかもしれない。
道すがら緑の小鬼を倒しながら山を下りること半日、人里にたどり着いた。
ちなみに小鬼はムシの楽園付近に現れるモンスターだ。
ムシ達と一緒にレベル上げを行った結果、今では一撃で倒せるザコモンスターだ。
物理耐性スキルのおかげで全くダメージを受けないので10匹ぐらい一度に来ても問題ない。
「うん、どう見てもここ日本だよな。」
アスファルトで舗装された道路、白いガードレール、田植えが終わった田んぼ。
少し離れたところにはスーパーマーケットやコンビニ、住宅街が見える。
典型的な日本の風景だ。
中世ファンタジー世界に転生したと言う可能性は無くなった。
となるとパラレルワールドだろうか。
「そう言えば、空が割れた日に謎の声が何か言ってたよな。確か、異世界からの侵食とか再構成とか言ってたよな。つまり・・・どういうことだ?分からんけど、ここが日本だろうと違おうとステータスがありモンスターがいる時点で今までの常識の通じない別世界ってことには変わりないわな。」
取りあえず人に会ったときに備えて帽子をかぶっておく。
頭の耳が見えなければ、ただの太ったデカイ人に見えるだろ。
肌の色はちょっと違和感があるくらいで問題ない。
これが女の子だったらケモ耳を見せていたほうが好感度が上がってやりやすいのかもしれないが太った男のケモ耳など誰も見たくないだろ。
見たい人にも会いたくないけど。
「取りあえず、あのスーパーを目指すとするか。」
目に付いたスーパーを目指して再び歩き始めた。