統治者になりました
『レベルが上がりました。』
『レベルが上がりました。』
『レベルが上がりました。』
カブトムシを倒してレベルが三つも上がった。
流石ボスである。
「フゥ~、なんとかボスを倒した。新しい武器を見つけないとな。」
(ブ~ン)
カブトムシとの激闘を制したが唯一の武器であるハンマーの柄が折れてしまった。
ただハンマーのヘッドは無事なのでその辺の木の枝で柄を作れば修理は可能だ。
(ブ~ン、ブ~ン)
それよりもカブトムシが守っていたこの蒼いクリスタルだ。
どう見ても重要アイテムとしか考えられない。
噂のダンジョンコアってヤツだろうか?
(ブ~ン、ブ~ン、ブ~ン)
ダンジョンコアってのはアレだ。
魔物がたくさんいるダンジョンの心臓部だ。
たぶん。
おそらく。
(ブ~ン、ブ~ン、ブ~ン、ブ~ン)
「ってさっきからブ~ン、ブ~ンってうる・・・」
振り返るとそこには・・・・デカバチがい~ち、に~い、さ~ん、よ~ん。
とりあえずたくさんいる。
どうする。逃げるか。
カブトムシがここで蒼いクリスタルを守っていたってことはこのクリスタルが無くなるってことはないと考えられる。
よし、逃げよう。
(ブ~ン、ブン、ブン)
「逃がしてくれませんか。そうですか。」
上空から追加のデカバチが降りてきて背後に立ちふさがる。
一度逃げられてたからかデカバチは多数の仲間を引き連れて俺を追いかけて来たようだ。
撒いたと思ったけど仲間を連れて来ていただけだったのだ。
「こうなったら相打ち覚悟で暴れるしかないか。」
デカバチ相手だとハンマーは相性が悪い。
拳で勝負だ。
頼むぞ!拳打スキル。
俺は両手を握りしめて構える。
ジリジリと近づいてくるデカバチ。
俺はジリジリ下がる。
ム、ムリです。ハチ怖いハチ怖い。
(プス。)
「え?・・・イッテェ!」
背後のデカバチがいつの間にかキョリを詰めて大きなハリを俺に刺していた。
一匹なら羽音で近づいてきたのを察知できただろうけど今は周り中デカバチだらけで四方八方から羽音が聞こえてくるために全く分からなかった。
反射的に拳をデカバチに叩き付けていた。
(ブンブンブンブンブン)
仲間がやられてデカバチ達の羽音が大きくなる。
「ヒィ!」
コワ、やっぱハチは怖い。
何か何か対抗手段はないのか。
『新たな統治者の登録を行いました。ムシの楽園の新たな統治者はカタヤマヨシオです。ムシの楽園内のモンスターは統治下におかれます。』
俺の右手が蒼いクリスタルに触れると、流石に聞きなれてきた謎の声が頭に響いた。
やはりこのクリスタルは重要アイテムだったようだ。
このクリスタルの全てではないが使い方も登録と同時に理解できた。
このクリスタルはこの世界で生きてゆくには必須のアイテムである。
魔力を持ったアイテムをポイントに変換できて、そのポイントを使って様々なアイテムを手に入れたり、統治下を守護するモンスターを召喚したりできるのだ。
「とりあえず、デカムシから手に入れた謎石をポイントに交換しておこう。」
デカムシから手に入れた謎石をポイントに交換した。
35個の謎石で44ポイントを手に入れた。
カブトムシの謎石が10ポイントで後は1ポイントになった。
ムシの楽園は死守しないといけない。
でもこのクリスタルのシステムを知ったことでなおさら人里に行く必要が出て来た。
ポイントはモンスターとアイテムに交換できるのだけど、できるようにするには対応するモンスターの魔石の登録やアイテムの登録が必要だからだ。
必須アイテムだからか初級ポーションだけは今でもポイント交換できる。
人里に行く前に将単出来るようになったモンスターを使って俺がいなくてもムシの楽園を守れるようにしよう。
このポイントシステムを奪われるわけには行かないからな。