そしてハーフオークは生まれた
「はぁ~、身体がダルイ。あれから俺の身体はどうなったんだ。」
空が割れるという怪奇現象を見るだけでなく、空の欠片が腹に突き刺ささるという恐らく俺より運が悪いヤツはいないんじゃないかと思うくらいの出来事にみまわれた。
謎の声が何度も頭の中で響くは終いに腹からブタが生えてきたかと思ったら意識を失うと散々な目にあった俺。
「ブタの頭が生えた後の記憶がない。」
ブタの頭は腹から綺麗になくなっていた。
「・・・なんか肌の色がちょっと違う。日焼けしたのか?それに傷がないのはどうしてだ?」
肌の色が少し日焼けしたような色になっている。
外で寝てしまったから日の光を浴びて焼けたのか?
最近は紫外線が強いらしいから朝日を数時間浴びただけでも日焼けするようになったのかも。
地球環境破壊もここまで進攻していたのか。
地球温暖化ばかりに焦点をあてているだけではダメだな。
「うんなわけあるか。ヒィ!」
足の上をデッカイ虫が這っているのを見て思わず手で払ってしまった。
拳大の虫が寝ている間、身体の上を這っていたと思うとゾッとする。
変な汁はついてないよな。
(グシャ?)
「へ?」
虫を払っただけにしては妙な音が聞こえてきた。
果物がつぶれたような音だ。
『レベルが上がりました。』
「え?レベル?」
謎の声が頭に響いたが今までと同じように全く意味不明だ。
レベルの意味は分かるよ。
ドラク○とかで敵を倒して経験値を溜めると上がるアレだろ。
ただ現実世界でそれを言われても理解できないっていうかしたくない
ステータス
名前 カタヤマ ヨシオ
レベル1
種族 ハーフオーク
スキル
怪力 レベル1
物理耐性 レベル1
治癒力上昇 レベル1
「ステータス?カタヤマ ヨシオって俺の名前だな。でも俺は人間だ。いくら体重が増えても人間は辞めてない。・・・俺の腕ってこんなに太かったか?」
もうすぐ三桁に届く体重とはいえここまで太い腕ではなかったはず。
ギリギリ片手で手首を掴めていたはずなのに目の前にある手首は全く掴めそうにない。
そう、まるでオークみたいな腕だ。
「いや、まさかね。鏡はないから鍋はどこだ。」
ステータスの種族がハーフオークになった上に腕が見ただけで分かるほど太くなっているんだ。
嫌な予感しかしない。
すぐに自分の状態を確認しないといけない。
昨晩からのことが全て夢だと思うほど俺の頭はお花畑じゃない。
「これが俺か?ホントにオークいやハーフオークになってるよ。そうかこれはよくある異世界転生だ。それが俺にもやってきたんだ。昨日の傷は致命傷だったんだ。」
頭に豚の耳を付いている。
手で触ると感覚があるので付け耳でないことは間違いない。
顔は元もままなので滑稽だ。
記憶にはないが腹の空の欠片が刺さった後、出血多量で死んだでハーフオークに生まれ変わったのだろうか。
つまりこのステータス画面は本物であの大きな虫はこの世界の生き物ってことだ。
怪力スキルの効果であんな結果になったわけだ。
納得・・・しておく。
「神様には合っていないけど、異世界転生をしたってことか?取りあえずここにいても仕方ないし人里を探すか」
ハーフオークになったらしいけど、ちょっと身体を大きくなって頭の上に耳が生えただけで生きているから問題ない。
さすがに虫とかに転生してたら発狂してたかもしれないけど。
いや、虫だったら発狂するような精神構造はしてないか。
「おっ、ラッキー。キョンプ用品もあるぞ。」
キャンプ用品も一緒に転生したようでテントに登山リュック、インストント食品まであった。
「数日分の食料はあるからそれまでに人里を見つけよう。」