ブタが生えた
サバイバル研修というなのリストラ候補選定イベントを無事乗り越えるために予行演習をすることにした俺は山中で一人キャンプを行っていた。
まったくサバイバルの演習になっていないという意見は現在受け付けておりません。
一人テントの中で寝ようとしていると空に赤銅色のひび割れが現れたのだった。
『異世界からの侵食が一定レベルを超えました。次元崩壊を回避するために再構成を行います。』
謎の声が頭に響くと同時に赤銅色のひび割れだ無数に増えたかとおこうと空が割れて崩れ落ちた。
空の上は宇宙だから星が落ちてきても空が落ちてくるわけないのは分かっている。
でも、そうとしか言えないんだよ。
ひび割れた空は小さく砕けて地上へと降り注ぐ。
流れ星で綺麗だが地上に降り注ぐ前に消えているなら良いけど消えてなかったら第三次だ。
ここから見た限り地上に降り注ぐ前に消えているように見えるけど。
遠くばかりに意識を持っていかれていたから自分の頭上に全く意識がなかった。
空は自分の頭の上にもあるのだ。
空が割れているってことは自分の頭上の空も割れていることに気が付いてなかった。
いや、割れる空をどこか受け入れられず。画面越しに見る映画やアニメと思い込んでいたのかもしれない。
強い光が頭上から発するのを感じた俺は上を向いた。
「マジかよ。」
もし星が落ちてきても海に落ちる確率の方だ高いだろう。
しかし空が落ちてきたらどうだろうか?
ここで球の表面積を考えてみよう。
ご存知の通り、球の表面積は半径が大きくなるほど大きくなる。
つまり地球の地上の表面積より、空の表面積のほうが広い。
となると空が落ちてきたら確率など関係なく海に陸にも等しく降り注ぐ。
運が悪ければ二回空の欠片にぶつかるかもしれない。
俺は空から落ちて来た赤銅色の物体から身を守るため両手で顔を覆った。
両手で顔を覆っても意味がないと思うけど、でも訓練してない人間に急に避けろと言われても体が動きませんよ。
ましてや俺みたいな体格に人間がね。
身を守っただけでも立派でしょ。
『次元変換に伴う事象からの防御機構を発動します。』
「アレ?」
何時まで経っても痛みが来ない。
恐る恐る両手を確認するがどこにも怪我はしていなかった。
「防御機構ってのが働いたから怪我がないのか?まぁ、怪我が無いから問題ないな。それにしても何だったんだ?空は割れるなんて不吉過ぎるだろう。頭に響いてきた謎の声が関係している気がするが全く分からん。」
異常現象が終わったと油断したのがいけなかったのだろう。
急に腹部に痛みがはしった。
「い、いって~!」
腹を見ると赤銅色の棘が刺さっていた。
「消えたんじゃなかったのかよ。油断したところにブスっとくるとは。」
町内会のくじ引きでは必ず5等でポケットティッシュをもらい、懸賞ハガキを送れば何故かカタログが送られてききたり、宝くじは連番で買わないと全てハズレる。
俺はとにかく運が悪いとは思っていたがここまで運が悪いとは思ってんかったよ。
「さっきより痛くなった気がする。」
腹の状態を確認しようと来ている服を破ると空の欠片が腹に癒着していた。
空の欠片から赤銅色をしたミミズバレのようなものが腹全体に伸びている。
「え?え?なんなのコレ?もしかして俺死ぬ?」
『異世界からの侵食エネルギーを新たな生命に変換すること中和します。』
再び謎の声が聞こえると同時に赤銅色の空の欠片が輝き出した。
「まぶしい!」
急激な光に反射的に目を閉じて両手で覆う。
「プギ?」
そうして俺の腹から豚の頭が生えたのだ。
意味分からん。