ハーフオーク、オークに出会う
「困ったわね。」
華煉さんの眉をへの字にした顔を美しい。
じゃなくて何か問題があるのだろうか?
オークの強さは正確には分からないけど十数匹のデカ犬を一瞬で葬りさる華煉さんの実力があればオークの3匹くらい問題なく排除できるはずなのに。
「オークって華煉さんでも倒せないほど強いんですか?他に物資が調達できる場所を探しますか?」
幸いオークは気配に鈍感なようでまだこちらに気が付いていない。
もしかしなくても俺ってハーフオークになって気配に鈍感になっている気がする。
オークがフゴフゴ言っているのに気が付かなかったし。
いや、美香ちゃんも気が付いてなった。
華煉さんが気配に敏感なだけで俺は決して鈍感なわけではない。
敏感とは言わないが一般的な感覚はある。つまり鈍感じゃなくて普通だ普通。
「倒せないことは無いんだけど、ちょうどいい具合に仕留められないと思うのよ。あの体型のモンスターだと私では一刀のもとに切り伏せるのは無理よ。となると一匹相手をしている間に君や美香ちゃんが危険にさらされてしまう。」
「犬のモンスターを瞬殺したスキルでもダメ何ですか?」
煉華刀術。
ハーフオークになりステータスを獲得してレベルが上がり俺ってもしかして強いのかもって思っていたけど、視認すらできない攻撃で気が付いたらデカ犬の首が無くなっていたあの技だ。
三匹のオークなんてチュンだと思うんだけどな。
「あれは使いどころが困るというか私が使いこなせていないのが原因なのだけど、ここで使うとオーク以外の物資も壊しちゃうのよ。煉華刀術は強力なスキルだけどその分コントロールが難しくてこういう場所では使えないスキルなの。」
なるほどね。
技を発動するスキルを持っていないから詳しいことは分からないけど決まった効果範囲を変更したりできないのだろう。
習熟度を上げれば出来るのかもしれないが華煉さんでも現時点では無理と。
もしかしなくてもこれはチャンスなのでは?
ちょっと頼りない男という評価を改めてもらうチャンスである。
ここは俺の強さをアピールすべきところだ。
そうすればもしかしたらワンチャンがあるかもしれないかもしれない。
「華煉さん。僕も戦えるので大丈夫です。あのモンスターを倒しましょう。」
「カタヤマさん、無理はダメよ。別の場所を探すか一度拠点に戻って出直してくれば良いのよ。蛮勇と勇気は違うわ。ここで必要なのは引く勇気なのよ。生き残ることが一番大事なことよ。私は今までそう言って大怪我をした人や亡くなった人を見てきたわ。いい、ここは引くわよ。」
少し怒った顔で小さな子供を嗜めるように俺に忠告して最後は命令口調で撤退を指示する華煉さん。
怒った顔もステキです。
それに命令口調も・・・。
しかし、ここで引くわけにはイカンとです。
俺の有用性をアピールするチャンスはない。
しかし、俺が華煉さんにアピールしたいがために美香ちゃんが危険な目に合っては本末転倒だ。
「退却前に俺の意見を聞いてください。」
「桜さん、これでもブタのお兄ちゃんはそこそこ強いです。」
美香ちゃんフォローありがとう。
でも、華煉さんに比べればそこそこだけど結構強いと思っているんだよ俺。
「う~ん、そう言われても警察官として市民を危険にさらすわけにはいかないわ。」
「こんな世界になったのに警察官も市民もないですよ。戦える人は戦わないと。それにほら見てくださいよ。これを遠くから投げて牽制するだけですから危険は少ないですよ。危なくなったら逃げますし。」
俺は華煉さんに分かるように片手でブロック三つ重ねてを持ち上げてみせる。
ふっふっふ、どうですこの力を見てください。
「確かに力はありますね。分かりましたオークを倒しましょう。ただ危なくなったら絶対逃げてくださいね。」
「はい、もちろん。華煉さんも危なくなったら逃げてくださいよ。」
「ええ。それじゃ行くわよ。」




