ハーフオーク犬に追いかけられる
「ゼェ、ゼェ、ゼェ。美香ちゃん後ろの様子はどう?」
「う~んと、いち・にぃ・さん・しぃ~・ご~ろくなな匹追いかけてくるよ。」
「ハァ、ハァ。また増えたのかよ!」
ただいま美香ちゃんをヨシオカーに乗せてデカ犬から逃げています。
何で倒さないのかだって?
犬だけあって素早く動きの遅い緑小鬼と違って殴打スキルでは対抗できないのは事実だ。
だが、ハーフオークになって手に入れた怪力スキルと拳打スキルに加えてレベルが上がった身体能力があれば何匹来ようが負けることはない。
唯一の問題はこいつらが緑小鬼と違って跳躍力がすごいのよ。
始めて遭遇してきたときは住宅の塀を飛び越えてあらわれたから俺の身長くらいは軽々越えるのだ。
つまり美香ちゃんに攻撃が届いてしまうわけよ。
川を越えてすぐはゴブリンだけだったから俺の頭より高い位置にいる美香ちゃんに攻撃が届くような心配はなかったのだ。
跳躍力のあるデカ犬でも二匹までなら飛び上がる前に両手の拳をそれぞれに叩き込めば対応できた。
3匹もギリギリだが倒せる。
ただ4匹以上になると無理だ。
美香ちゃんに攻撃が届く可能性が無視できないレベルになる。
それにあいつら仲間を呼ぶんだ。
犬みたいな見た目のくせして狼みたいな遠吠え(狼の遠吠えは知らんけど)をするとワラワラと仲間があらわれるんだよ。
「ワォ~ン。」
「あいつらまた仲間を呼びやがった。」
どのくらいの距離を引き離せたのか確認しようと後ろを見ると遠吠えでさらに仲間を呼びやがった。
ちなみに距離は50メートルも引き離せていない。
「ブタのお兄ちゃん!前!前を見て。」
「前?って行き止まりかよ!」
この辺りの道を知らないので適当に住宅街を逃げていたのが仇になった。
どうやらあのデカ犬は俺を袋小路に追い詰めていたようだ。
仕方ないここで迎撃するしかない。
そのためには美香ちゃんの安全を確保したい。
あれは?
どうしてあんなものがここにあるのか分からないけどこれなら美香ちゃんの安全を確保出来るかもしれない。
「ウゥ!ワン!」
「「「ワン!ワン!」」」
美香ちゃんを安全な場所に隠れてもらうとすぐにデカ犬がやってきた。
大丈夫だと思っていたけど美香ちゃんが隠れる前に追いつかれなくて良かった。
「もうお前らか逃げる必要は無くなった!どっからでも来やがれ!」
気合いを入れるために大声でデカ犬を威嚇する。
敵の数はいち・に・さんって何かえらい数が増えてませんか?
塀の上にもデカ犬がいて両手足で数えられる数を超えてますよ。
「「ワン!ワン!」」
「フン!」「「ギャン!」」
先頭の二匹がいきなり飛びかかってきたが空中では回避行動はとれないので簡単に俺の拳に叩き落とされた。
「イッテェんだよ!」「ギャン!」
ただ二匹の影からあらわれたデカ犬に噛みつかれたが物理耐性のおかげが犬に噛まれたにしては痛くない。
アリに噛まれたくらいの痛みかな。
腕に噛みついて離さないのでそのままブロック塀に叩き付ける。
仲間が一撃でやられているのにデカ犬は逃げる気配が全くない。
それどころか益々怒りのボルテージが上がっているように見えるんだ。
俺は何か犬に恨まれることをしたんだろうか?
出来れば実力差を察して逃げてくれることを期待していのだが無理そうだ。
犬って勝てない敵からは逃げるイメージがあったけど違うのか。
とにかく数を減らさないと逃げることもままならない。
負けることはないと思うけど体力が尽きたら危険だ。
ペース配分だけは気を付けないといけない。
「そっちが引かないなら叩きのめすだけだ。」「「「ウゥ~、ワワワン!!」」」
と言いながらも体力を無駄に使わないために迎撃姿勢で待ち構える。
犬どもに俺の実力を叩き込んでやる。




