57話 雪解けの日まで
久々の投稿です
1月6日 モスコより南に150km
オルタナ村
最高気温 氷点下23度
ソ連軍の大反攻により包囲され取り残された連合軍はここで絶望な防衛戦を始めた
冬季攻勢の失敗の為に更迭され新しく参謀長となった松寺大将は、この絶望な戦況をみる。
タイラントと呼ばれる特殊なモンスターの出現により状況はかわった。モンスターは硬い皮膚で覆われており、対戦車砲ならかろうじて倒せる。
だが、その対戦車砲も新型出なくてはならず前線に配備されている対戦車砲では倒せない
対戦車砲を持ってこようにもここまで運ぶ手段、鉄道が敷けていないのである。ただ、対戦車ライフルならかろうじて威力が足りるのでそれで何とかしてはいるのだ。
しかしこのままではどうしようもないため、このオルタナを中心に要塞化している。
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ソ連 参謀本部
ソ連軍は攻勢を停止した。その理由は、冬だからである
いくら物資があろうが道が悪すぎてこれ以上の進軍には耐えられなくなったのだ。
「同志書記長、5月には春期攻勢、スバル作戦を開始します。また、この作戦の要である航空戦力ですが、30万機ほどの爆撃機の用意が完了し航空基地の整備をしています」
爆撃機の用意は簡単に出来るが、飛行場はそうもいかない
その辺にいる住民をかき集めて飛行場を作らせた。
なおその際にあまりにも嬉しくて夜中まで働き死んじゃったもの達もいたが、遺族からは口を揃えて「国のために働けたのだから本望です!」と記者にそう語ったんだとか。
話を戻そう。現在のソ連は大陸南部と植民地を喪失している。そのため生産力は非常に低下している。おまけに北部でも前線に近い地域は核兵器が落とされる危険性もあり疎開しているのだ。
海軍に関しては、艦艇の半分以上を失い制海権をほぼ喪失。おまけに港は凍っており船は動かせないため海軍は事実上使用不可能。
夏になっても通商破壊しか使えない上にその通商破壊もこちらの損害の方が大きく成果はほぼZEROである。
「では同志書記長、今回の作戦、スバル作戦の概要を説明致します...」
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日本 参謀本部
現在 日本は非常に最悪な状態になっていた。
深刻なまでの兵不足と兵器不足。国家財政は軍事費が大きな割合を占めており国家総動員法まで発令された。
整備士もほとんどが向こうに行き、国内の脱輪事故は多発している。
国家経済はすでに悲鳴をあげ始めている。なにしろ弾の消費量が多すぎて生産が追いついていない上にミサイルなどの高価な兵器も不足しだしたのだ。
そしてもう1つ悩みの種がある。それが、
ドニラス帝国と神聖レミリア帝国との戦線である。激化するこの戦線においてドニラス帝国は全軍を持って当たっている。当初対ソ戦に投入していた空中戦艦も引き上げてそっちに投入しているのだ。完全なる拮抗状態。
前線は地形があまりにも変わるために地形図は意味を為していない。
ドニラスもレミリアもすでに国家総動員法と類するものを発令しておりこの大戦は勝っても暫くは不況が続くという予想がでている。
しかし、例外の国も存在する。
ユグドラ共和国
南方にある島国で表面上はこの大戦に味方側で参戦しているものの派兵もしていないし何もしていない。宣戦布告の文章は受け取ったがやる気がないようだ。 しかしこの国の技術力は非常に高い。なにしろ日本の人工衛星を察知しているくらいだ。
この国はこの戦争が終われば好景気になるだろうな。第一次世界大戦後のアメリカみたいに。
といったも日本らアジア連邦は国土に被害はほぼ無いため立ち直りは早くできるだろう。
「戦後か...」
山下中将は考えた。戦争に続く戦争。休息が欲しいものだと。
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ドニラス帝国 全軍総司令部
ドニラス帝国は現在、神聖レミリア帝国と戦争しており状況はよくない。ソ連に送っていた軍を全て撤退させなければならないくらいであった。
そして先日起きたザルバ会戦
戦力
ドニラス帝国 機甲師団 2万
周辺諸国軍 2万
ドニラス帝国空中戦艦 20隻
浮き砲台 46隻
敵側
神聖レミリア帝国 1万
神聖レミリア帝国空中戦艦 28隻
盆地にありさらに交通の要衝、ザルバで史上最大の会戦となった。
手始めに敵、エルフの魔法により盆地は山岳地帯になり、その後更なる大規模魔法により泥山となった。これによりドニラス帝国側の陸上戦力は全て泥に埋まったり、串刺し、高所からの落下により死亡。
ドニラス帝国の新型爆弾「烈爆」により周辺の山諸共エルフ半数を消し飛ばし艦隊決戦へ移行。
その後は砲撃戦となり結果、
ドニラス帝国空中戦艦10隻、浮き砲台18隻喪失
神聖レミリア帝国空中戦艦4隻撃沈
というドニラス帝国の敗北で終わってしまった。数少ない空中戦艦を一気に失ってしまったのはデカい。
この結果を報告するジルタニカ将軍。続けて
「戦術的には大敗北だ。しかし、交通の要衝でもあるザルバを使い物に出来なくしさらに虫共の新鋭の空中戦艦であるターニャ級を撃破したのは大きい。」といった。
空中戦艦、ターニャ級 ターニャ ソ連との技術連携のもと、リンデル エルリッゾが設計したものでこれの特徴はその装甲の硬さだ。烈爆ですら傷一つ入らない硬さを持ち火力も高く、バランスも安定している。欠点といえば足の遅さだがそれを補える火力があるのだから厄介である。コストが高く、現在8隻しかなくそれの1隻を倒したのは大きい。
「戦略的には勝利だろう。これでターニャ級が単独で出てくるなんてことはなくなるだろう。こっちも新型艦を失ったのは大きいが。」
ドニラス帝国 新型艦 ザーツバルム級
レッツァー ドニラス フォン ザーツバルム伯が設計した船で、これまでの船をすべて旧式化させた代物。日本の創作物である宇宙戦艦クレに登場するアンドロメダを元に作ったものらしくザーツバルム砲と呼ばれる超高出力レーザービームを放つことができ、その威力は絶大。一撃でターニャ級を破壊した。しかし、装甲を削り機動性に振ったために防御力がない。
「だがな、この問題を解決した新型艦が今度完成するべ。」
ザ級空中戦艦 ザルツブルク級
ザーツバルム級の装甲の弱点をカバーした船である。
しかしこれと似たようなことを神聖レミリアもやり、これからこの2ヶ国間の、いやザーツバルム伯vsエルリッゾの設計者同士の戦いが始まろうとしていた
「あぁ、そういえば来週、ソ連との講和交渉が行われるってな」
雪はまだ溶けそうにはない




