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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
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49話 京都へ

京都。それははるか昔からある、日本の都市であり、日本人の精神的故郷なんて言っても過言ではない。日本史を語るなら京都を省くことは出来ないだろう。

また京都は非常にいい場所にあるため発展してきたのだ。

建物は鉄筋コンクリートになったとしても、街の景観は昔から変わらないように条例などで縛ってきた。そのかいもあって、1000年以上続く景観は今も護られている。


「京都へ来たァァァァァァァ」

「発狂するな。」

「部長、そのスリッパどこから出したんですか?」

「この光景に慣れつつある自分が嫌ですわ」


京都駅に着いた途端奇声をあげる西園寺。

スリッパで西園寺の頭を叩く彩子。

1人だけ清掃服の隼人。

そして、リグルード王国のお姫様とはかけ離れた、パジャマに近いような服をきたターニャ。


「隼人〜この変人さんはね、毎回新幹線に乗る時スリッパを履くんだよ。そのくせ降りる時は普通の靴に履き替えてスリッパを置いていこうとするんだよ。それがこのスリッパさ。ほら、よく嗅いでごらん?こいつの足の臭いがするぞ。」

それを聞いて急いでスリッパを奪い返す西園寺。

「やめろ。それ以上やるとなんか、、、興奮すんだろ」


変態だ。ここにいる人ら全員がそう思った


「やめろォ蔑むような目で俺を見るなぁ」


「よし、隼人、ターニャ。このバカをここに放置してご飯食べに行こう。」


本気でこいつをここに置いていこうとする九条院彩子。こいつみたいに目立ちたくないなと心に決めた割には自身の清掃服に違和感を持たない隼人。リグルード王国のお姫様、という立場を完全に忘れたターニャ達は、京都駅にある美味しいラーメン屋に行きましたとさ。


「さじゃねぇよ!放置したままいいくなよ」

と人目に着くところで叫ぶ西園寺。


「お腹減ってるんだ。じゃぁ駅の外にあるマック食べてきなよ」


わざとチェーン店を勧める彩子。

「京都に来てまでチェーン店行きたくないよ。というか、京都に来た目的忘れてない?」


「え?観光?」

「食べ物巡り」

「宗教巡り」


「ちっがーう。というか、なんか1人だけズレてるし」

「宗教は重要だよ。王国は宗教と共に発展してきたの。きっとこの国も宗教と共に発展してきたんじゃないか?」

「あ、うん。ソダネー。さて、本当の目的を忘れているようだからもう一度言おう。我々魔法学部、京都遠征の目的は、陰陽師やその他の呪術系の調査だよ。」


「調査という名の観光旅行でしょ。」


陰陽師。近年漫画やドラマ、ゲーム、アニメにも度々出てくる陰陽師。起源は、中国の周王朝時代に完成した陰陽五行思想が日本に伝わり、600年頃に色んなものを混ぜ、日本独自に発達したのが陰陽師である。おもに予言をする集団であり、遷都する時の方角などを占ったとか。

陰陽師と言えば安倍晴明だ。


「陰陽師がよく使っていた札ってさ、魔術の札に似てるよね。」

と陰陽師が使っていたとされる札を見せる。

魔術は、おもに紙や木に書く魔法陣みたいなものだ。

ただ、魔術は魔法より威力が弱くあまり強くないがその代わり一般人でも使用することができる。例えば、お祓いの御札とか、御守りだ。

これらの日本式の魔術と王国の魔術との共通点を探していけば魔術というものについて理解出来るはず。

「で貴洋、何処に行くの?」

「よくぞ聞いてくれました彩子!目的地は織田信長が死去なされた本能寺跡地です!」

「「「陰陽師と関係ねぇじゃん!さては貴様観光する気だな!」」」

「おかしいな。なんで睨まれるのか僕ちんわかんない。」


その後西園寺はみんなから燃やされた(幻覚魔法)とさ。



ーーーーーーーーーーーーーー

清水寺。

京都の有名な観光スポットだ。

「ねぇ貴洋。清水の舞台から飛び降りるって言葉あるじゃん。あれ、やってみてよ」


「死ねと申すのか!まだ怒ってるの彩子。」


「さっきのマックでの出来事、忘れたの?」


実は先程マックでダブルチーズバーガーとコーラを頼んだ西園寺はそれを運ぶ最中フタを外し中に砂糖を入れようとした時に転けて、コーラの中身が彩子へかかってしまった。彩子はずぶ濡れになり変えの服に着替えることになったのだが、


「この髪がコーラのせいでベッタベタなのよ!オマケに下着まで濡れて、お陰様でノーブラよ。だからあなたには紐なしバンジージャンプがお似合いよ。」

「紐なしバンジージャンプはただの飛び降り自殺です」

「わかったわよ。飛び降りた衝撃で紐がちぎれるように細工してあげるわよ」

「故意じゃん。それもう殺人だよ」

「風魔法でやるから証拠は残らないよ。こう見えて最近、ターニャのおかげで魔法のコツが分かってきたのよ。少し手元が狂って喉を切ってしまったらごめんね」

「ごめんねで済む話じゃない。」

「じゃ、早速実験。風魔法、タイフーン」

ターニャが急いで魔法を打ち消す。


「ちょっと待って彩子。それはさすがにやっちゃいけない。本当に死ぬから」

「あ、ごめん。ついイラッとしてしまって」


その場にいた彩子以外はみな、彩子だけは怒らせてはいけないと悟った。なおこの後西園寺は彩子にお詫びとして高級な服を買ってあげたとさ。




ーーーーーーーーーーーーーー

京都駅のコインロッカーのそばにある長椅子に座る彩子。

「さーて、清水寺に金閣寺、銀閣寺。嵐電も乗ったし御所も二条城もみたし、みんな帰るか」

と言いながら時刻表を確認し始める。


2日間観光した彩子と隼人、ターニャは満足している。のだが、西園寺は不満が溜まっていた。なぜなら。

「本来の目的忘れてるよ!」


本来の目的、リグルード王国の呪術の札と陰陽師の札の共通点を探す。


「その事だけど私、答え分かっちゃった。」


と返す彩子。

「答えってなんだよ?」

「簡単だよ。魔術とは概念さ。分かりやすくいえば、名前だよ。」

「ごめん全くわからない」

と彩子以外の皆がいう。

「例えばさ、これ、なんて言う?西園寺とターニャ答えて。」


と財布からグールグルのプリペイドカードを取り出す。

この問に対して西園寺はこう返す。

「カードだろ。プリペイドカード」

だがターニャは違った。

「金券?」


「そう、そこが重要。日本人はこれをプリペイドカードと呼ぶがリグルード王国ではこれを金券と呼ぶ。このカードがお金として使えるから金券だ。さて、次の問題、この漢字はなんて読む?はい西園寺と隼人。答えて。」


とカバンから紙とシャーペンを取り出し、紙に

「牧場」と書いた。

「ぼくじょう?」「まきば?」


「どっちも正解。ひとつの文字でも2つの読み方がある。じゃ、なぜこれがまきば、ぼくじょうって読めた?」


「そう、書いてあるから?」


「違うよ貴洋。貴洋はこれをまきばと読むと知っているからだ。さっきのカードも同じ。カードって言うとどんなものかすぐに思い浮かぶだろ?つまりそういうこと。

ボールと言うと、大きさは様々だがみな丸い玉を思い浮かぶはずだ。そこに野球と付け加えると硬式の野球ボールが出てくるだろう。魔術もそれと同じ。この文字は嵐と分かればこの札は嵐に関するものと連想する。だから嵐もしくは嵐に似たような魔術が完成する。雨ニモマケズ風ニモマケズ。はいこれ作ったやつはだれ?隼人。」


「宮沢賢治」


「正解。これ聞いただけで宮沢賢治って思い浮かんだでしょ。魔術はこういうイメージが重要。イメージが強ければ魔術がより強く現れる。御守りが効くのもこういう事よ。これさえ分かれば極端な話、1と書いて かみなり と読むと思い込めば雷を発生させることも出来る。ただ、実験でわかったんだけど魔法ならこの思い込みでも通用できるけど魔術で思い込ませようとするのは結構きついよ。平時でも1を かみなり って読んでしまうレベルまでしないと。」


「彩子、いつわかったの?」


「え?先週よ。」


「なんでそれ教えなかったの?」


「だって京都に行きたかったから黙ってた」


「....」

西園寺にとっては微妙な京都旅行だった。

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