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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
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47話 奇襲

26日昼頃に日本軍はジャルタ要塞の東70㌔にある都市、ブリタニカを攻略した。作戦は順調に進んでいるように見えた。


ンダカネル村より西へすこし行ったところにあるハルネ村 ここの防衛をしている第4師団にひとつの報告が届く。それは、北北東にてソ連軍を発見したと。この敵の動きを見て三田師団長はソ連軍撃破のために機甲大隊を派遣させた。


だが報告のあった場所にソ連軍はいなかった。

「罠か!我々はここに誘い込まれたのか!」


林大隊長はこの敵の動きを考える。

我々を誘い出して殲滅するのが狙いなら既に包囲されているはずだ。だが周囲に敵兵はいない。なら、狙いはここではなく別の場所、第4師団駐屯部か! あそこが潰されれば最前線との補給路が絶たれる。


「奴らの狙いは駐屯地だ。急いで戻るぞ!早く師団長に連絡を!」

「それが、通信が繋がりません。電波妨害かと。」

「は?奴ら今まで電波妨害なんてしなかったぞ!まさか、隠してたのか。」


まさかソ連にこんな事を考えられる頭があるとは思わなかった林大隊長は、ひとつの作戦を思いつく。


「よし、現時点から敵の司令部を叩く!欺瞞情報をひっくり返してやる。」



ーーーーーーーーーーーーーー

ソ連軍ダレス少将はこの作戦に命をかけている。

その理由はダレス少将はソ連に併合された国の王子であり名将なのだ。だがソ連に敗北して以降刑務所送り。そんなある日士官不足を理由にこの地位につくことが出来たのだが、敗北したものには明日はこない。明日も生きるためにこの作戦を立案した。


「敵は欺瞞情報に引っかかり主力軍がいない状態です。後は敵の司令部を包囲して殲滅すれば敵の補給路もたてて勝利です」

そばにいる党の監視員も満足気だ。まぁ何しろこの作戦のために特殊仕様の戦車を使うのだ。確かt-100戦車だっけ?通常の錬金術では生産できないというやつだ。なんでも砲弾に劣化ウラン弾を使用している為だとか。劣化ウラン弾がどういうものなのか俺は知らない。この監視員も知らないという。ただ言えることはひとつ。こいつがソ連の切り札であるという事。


「こいつは日本の戦車の装甲すら貫通するものだったな。完璧な作戦、そしてこの砲弾で敵戦車を破壊と。勝ったな」


その時だった。無線に連絡が入る


「東の方角から敵戦車大隊が急速接近!」

な!ありえない。あそこから敵が来るなんて。いや、敵がいるのは分かっているが電波妨害で動けないはずなのに。まさか独断で来たのか!?

「奴らの狙いはここか!くそ、この戦車の弱点は機動性の悪さと側面装甲の弱さだ。正面装甲を硬くした結果、側面が弱く、機動性も悪いため簡単に曲がれない。そして今ある戦車は全て奴らに横腹を向けている。ちくしょう、やられた!」


敵を過小評価していたのか?いや、敵のことを知らなかったのだ。

自分たちは独断選考なんて出来ない。やればもれなく処刑だ。


「もっと敵を知るべきだったな。いや、徹底した情報統制のせいで日本の事なんて知ることが出来なかったんだ。その結果がこれか。」


ーーーーーーーーーーーーーー

「あれがソ連の新型戦車か。正面装甲は硬そうだが側面は脆いな。側面を晒している今が好機だ!徹底的に破壊しろ!さぁ、発射!」


日本の戦車大隊の一斉砲撃がソ連軍を襲う。敵戦車は1発でスクラップ。でかいトラックの中にあるソ連司令部は一瞬で吹き飛んだ。

だがソ連の新型戦車からの砲撃で何台かの10式戦車が吹き飛ばされる

「敵司令部の破壊を確認。ダメージレポート!」


「損害軽微。損失4両、6両被弾。死者5名、負傷者19名。敵は現在逃亡中ですが追いますか?」


「いや、いい。それより師団長と連絡を取りたい。それに敵の戦車も調べないと。今まで奴らの砲弾は全て弾いてたり避けていた。だが今回は弾けなかった。新型の砲弾か、もしくは魔法なのか。」

「魔法ですか。魔法は全く分からないので」

「あぁ。俺も同じだ。魔法なんざよくわからん。ポッターみたいに棒を使って魔法を使うぐらいしか知らんぞ」

「ふふふ。大隊長、俺もグリム童話ヘンゼルとグレーテルの魔女しか分かりませんから同じですよ」

「俺よりも知識ないじゃないか」

「そうですね笑」


ーーーーーーーーーーーーーー

日本 参謀本部


「諸君、いい知らせと悪い知らせだ。どちらが先に聞きたい?」


細田大将はここにいる将校にきく。


「いい知らせから聞こう。」

荻田中将はいう。


「まず先程、第1機甲軍団の補給路寸断を狙ってソ連軍が攻めてきたがそれを見事に撃退した」


おおー。と歓声があがる。


「次に悪い知らせだ。例の作戦、ダイナモ作戦だが、あれは半分嘘だ。あれはソ連が流した偽の計画書だ。」


情報戦で日本が負けた。その衝撃は大きい。日本は偽の情報に踊らされたのだ。

「ダイナモ作戦の作戦地点、ンダカネル村ではなくそのさらに後方、ハルネ村を敵は狙った。ンダカネルに戦力を回していた分、ここの防衛は他より薄かった。そこをつかれてしまった。だが現場の指揮官の英断により敵部隊の司令部を破壊する事に成功。だがその際、敵の新型戦車に遭遇。新型戦車の砲弾には劣化ウラン弾が使用されていることが判明。」


劣化ウラン弾を使用したという事は、やはりソ連は劣化ウラン弾を保有している。元々原子炉らしき建物があるのは衛星写真から分かっていたのだが確定付ける物が無かった。そんな時結城中佐の部隊から核兵器保有を裏付ける書類がもたらされた。

原子炉がある事はほぼ確定した。

「それで、敵の新型戦車は10式戦車の装甲を貫通するのかね?」


「貫通し破壊されたと報告を受けた」


「ほう。今までは敵の戦車の攻撃をほとんど弾いてきたのが、この弾は弾けないのか。」


「そうだ。ドニラス帝国の人によるとどうやら劣化ウラン弾に貫通術式という魔法を付与したものらしい。威力は不明。何しろ弾が粗悪品だ。サイズが規定のより数ミリほど小さかったり大きかったりだ。この弾は錬金術で作れないらしい。そのへんも詳しく調査せねばな。それと、この新しい占領政策案を検討してみてくれ」


と細田大将が出した占領政策案「青い鳥」は揉めたものの、内閣へ提出された。

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