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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
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41話 日本へようこそ

大阪 通天閣

ここにリグルード王国国王、ドニラス、アトランティアス、バハルス、ハーデンフェル、ハーゲルなどの各国外交官が流子に案内される形で日本観光をしている。

この観光目的は日本の技術力や文化に触れてもらい、理解しさらなる協力関係を築く事だ。

岩倉使節団みたいと表現した人もいる。


この観光旅行は1週間。今は3日目だ。初日は会談。2日目は東京スカイツリーと浅草観光だ。


スカイツリーを見た時なんて彼らは皆驚いていたものだ。


「なんだこれは?」

「これは東京スカイツリーという名前の建物です。」

「うそだろ?なんて高さだ。いったいいくらあるんだ?」

「このスカイツリーは高さ634メートルあります。元の世界では世界ランキング2位の高い建築物を誇っています。」


ちなみにここに来る前の世界ランキングでは1位はドイツにあるベルリンタワー(810m)だ。


「流石はニホン。ここまででかい建物があるとは知らなかった。ほかの国にはこれくらいの建物はあるのかね?」

と周囲を見渡すリグルード王国の賢王。

みんなこんなもん作れるかみたいな顔をしていた。

とくにドニラスの外交官は、「こんなもん地上に作れば神聖レミリア帝国(虫共に)真っ先に潰されるから不可能だな。」と。さすが地中に住む国は違うな。

その後新幹線にのり大阪に来たのだが、新幹線で驚く外交官と賢王。さすがにアトランティアスとドニラスの外交官はこんなもんだろうって顔をしている。

ドニラスに鉄道があるのは知っている。

と言っても電気ではなく空中戦艦と似た原理で動く理解すら出来ない鉄道だ。さらに速度も新幹線並という。魔法は日本人には極一部を除いて使えないのだが、ドワーフはみんな使える。これはどうしようもない問題だ。


で現在に至る訳だが、私は案内や説明などで疲れたよ。

大阪は食いだおれの街というだけはある。外務省の金を使って各国外交官と賢王に串カツやたこ焼きをあげてるのだ。外務省についていて得することは職務中ならいくらでもお金を使えることだ。いや、いくらでもでは無いんだよ。1人何円までという上限はあるよ。

なおドワーフの胃袋はブラックホールということが証明された日でもある。


「このたこ焼き、熱くて美味しいな。普段冷えたご飯しか食べてないからか美味い。このたれも、青のりも上手く合っていて美味しい。そこの店長、うちの国にこないか?」


突然勧誘しだしたぞこの賢王。店長も困った顔してるぞ。なお丁寧に断った模様。


「ほう、リグルード王国では熱いご飯はないのか?」


そこに興味が湧いたのか質問したドニラス外交官。

これに対し悲しい顔で答える賢王


「毒味ということでいつも冷えたものしか食べられないんじゃ。つらいぞ。」


「なるほど。でも我がドニラス帝国では毒味なんて存在しません。何しろ探知系魔法を使って調べてるので出来たてではないですが暖かい料理は食べられますよ」

「なんと!うらやま、いやなんでもない」


残念そうな賢王。

こうして大阪でひたすら色んなものを食べた。

みんな異界の料理だからと片っ端からたべていったのだ。

お好み焼きからハンバーガー、カレーなどといった洋食まで。

中にはカレーの作り方を教えてくれと聞いてきたので困った店長が簡単に作り方を教えたら、

「おい、カレーって軍艦料理にピッタリじゃねぇか」なんて新発見のように言ったアトランティアス外交官。

残念だな。すでに海軍はカレーを採用している。

金曜日はカレーの日なんだぞ?私だってリグルード王国に行く時に乗った船でカレーを食べたのだ。

なお揺れで全て海に吐いてしまったが。


あの船だけは二度と乗るものか!


気がつけば夜になった。なので宿泊地、京都に向かった。

京都 四条烏丸近くにある高級ホテル。

京都市内は景観を壊さないために建物の高さ制限がある。

このホテルもあんまり高くは無いが最上階に近いこの部屋は京都市内を見渡すことができるのだ。


「これは、すごいなぁ。なぁキョウトって他の街に比べてなんでこんな綺麗にガリアの目みたいな作りをしてるんだ?それにあんまり高い建物もない。それに教会も他に比べたら多い。」


ガリアというのは囲碁に近い遊びである。リグルード王国最大の遊戯でもある。


「ここ京都は昔、今から約1300年以上、平安京がつくられました。平安京は当時、世界最先端の国中国の都市を参考につくられました。そのため碁盤の目、そちらで言えばガリアの目みたいな通りになったのです。以後京都は都市が大きくなる事はあっても、街が戦で燃えても、変わることが無いのですよ。」


京都は度々火事や戦の戦火に飲まれたことがある。

例えば応仁の乱では京都は焼け野原になった。

それでも人々は必死に復興させてきたのだ。


「キョウトと似たような歴史を持つ都市は我が国にもあるな。」

「ええ、ドニラス帝国の西部の都市も戦争で焼けたが何度も復興してる。」

「我が国アトランティアスは高波の被害が酷くてな、場所によっては復興するのに10年以上かかった都市もあった。」

「リグルード王国にもあるぞ。たとえ国や文化が違えど、そういう所は変わらないものなのだな。」


「ちなみにあちらに見えるのは寺という世界三大宗教の1つ仏教の教会、お寺というものです。」

「ほう、ブッキョウか。ニホンにも宗教はあるのだな」


「ええ。我が国はこれといった国教はありません。自由信仰なんですよ。そのためたくさんの宗教があるのですがその中で最も多いのが、昔からある仏教と神道なんですよ。このふたつの宗教は結び付きが強すぎてひとつになった時もあるんですよ。」


「国教が存在しないなんて驚きだな。アトランティアスでも国教はあるし国民は国教を信仰しなければならないものなのだがな。」

「リグルード王国も国教はあるが信仰の自由は認められてますな」

「我らドワーフは精霊信仰だな。土の精霊に感謝するのが基本だしそれ以外の宗教を信仰するやつなどおらん。実質国教だな」


「日本は昔から色んな宗教や文化が入ってきてそれが日本の文化と混ざり合い発展していきました。拒絶される事もありましたが時間をかけて受け入れられてきました。それに宗教を選ぶのも自由ですからね。」


自由という言葉を聞き、不快感をあらわにするアトランティアスの外交官。

「我が国には、ニホンのような民主主義は存在してはいけないのだ。どうせ知ってるだろう?我が国はニホンが大っ嫌いだ。」

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